人気な「旅行・観光業界」を深堀る!業務内容とコロナの影響は…?【業界を5分で掴む】 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

人気業界ランキングでも毎年首位に入る旅行会社。

店頭販売員や添乗員だけではない実際の仕事内容とその魅力とは!?

これから就職活動を始める皆さんは旅行業界に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

店頭で旅行を販売しているスタッフや修学旅行の時に一緒についてきていた添乗員などが比較的イメージをしやすいかと思います。

しかしこれらの業務は旅行業界のほんの一部に過ぎません。むしろ皆さんに見えていない部分の業務のほうが圧倒的に多いのです。

本記事では旅行業界の中でも「旅行代理店」を中心に、表に見えてこない仕事やどんな会社があるのかなどを詳しくご紹介をいたします。これから旅行業界への就職を目指す人の新たな発見となれば幸いです。

日本の旅行業界のビジネスモデルについて

まずはじめに旅行代理店と呼ばれる会社は大きく2つに分類をすることができます。

1つ目はTTA(Traditional Travel Agent)と呼ばれるJTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行のように店舗を構えお客様に旅行を販売する従来型の会社です。

2つ目はOTA(Online Travel Agent)と呼ばれ、じゃらんや楽天トラベルのように店舗を持たずインターネットのみで旅行を販売している会社となります。

これら2つの旅行代理店はビジネスモデルが大きく異なっていますので、次で詳しくご紹介をさせていただきます。

多角化経営がすすむTTAのビジネスモデルとは

日本の大手旅行会社と呼ばれる旅行代理店のビジネスモデルの多くがTTAと呼ばれるスタイルになります。旅行商品をスタッフがお客様のニーズに答えながらプランニングを行い販売するスタイルです。

また店頭販売の他にも、修学旅行や社員旅行と言った団体旅行の手配などをおこなっている旅行会社もあります。

TTAはJTBや日本旅行、近畿日本ツーリスト、HISのように日本人なら誰もが知っている大手の旅行会社が多く上記以外にも多数のビジネスを行っています。ここからはより細かくどんな業務を行っているのかご紹介をいたします。

カウンターでの旅行販売(個人営業)

店頭に来たお客様へ最適な旅行プランを提案するお仕事となります。ホテルや飛行機、空港とホテルの間の送迎、旅先での観光ツアーなど旅行に必要なものを予め組み込んだパッケージツアーの販売や、航空券や宿だけのパーツの販売を行います。会社によっては、クルーズや列車の旅、リゾートウエディングなど様々な商品を取り扱っています。

お客さまのニーズは年々多様化しており一つとして同じ旅はなく、数ある商品の中から最適なものを選んでご提案するコンサルティング力とコミュニケーション能力が求められる仕事となります。

修学旅行や団体旅行の販売(法人営業)

学校や企業へ自ら赴き顧客のニーズに合わせて旅行をプランニングしていく仕事です。数百名規模の団体を扱うことが多く、企画から当日の添乗までを一気通貫して行えるところが仕事の醍醐味となっています。

また近年では単なる旅行の他、会議やイベントの手配も合わせて行うことが多く旅行知識の他にもイベントの進行など様々な知識を求められるようになってきています。

自治体や官公庁への地方創生事業

旅行代理店の集客力を活かし地方自治体との地方創生事業などを行っている会社もあります。

旅行代理店のHISと鳥取県は「インバウンド観光推進に関する協定を締結」を行い、東南アジア地域におけるインバウンド観光客の誘致に取り組んでいます。民間企業にいながら国や地方自治体の公益性の高い業務に関わることができるのも楽しさの一つとなっています。

※鳥取県とインバウンド観光推進に関する協定を締結 | HIS

商社事業

JTBやHISは世界各地にある拠点を活かし商社事業を行っています。各国の事情を知り尽くしている旅行会社ならではの力を活かし各地の名産品などを取り扱い、一般消費者もWEBサイトなどで気軽に購入が可能となっています。また取引先であるホテルへ歯ブラシなどのアメニティーを提供するなど旅行に関連する様々なものを取り扱っています。

このように、既存の旅行代理店は後に紹介するOTAと比較すると単に旅行を販売するだけではなく旅行から派生した様々な事業へ取り組み多角化経営を進めています。就職する際は1つの会社であっても入社後に様々なキュリアパスを描けるのもTTAの良さの1つです。

急成長市場!OTAのビジネスモデルとは

次にOTAと呼ばれる旅行代理店をご説明いたします。こちらは、日本国内の企業であればじゃらんや楽天、海外企業であればExpediaやAgodaと言った実際の店舗はもたずインターネットのみで旅行商品を販売している旅行代理店となります。

OTAの特徴はなんと言っても価格の優位性です。OTAは店舗を持たずインターネットのみで集客をおこなっています。そのため賃料や人件費を最小限に抑えることができるため、TTAと比べると安価に旅行商品を販売することできます。

また人件費を抑えるため、多角化は行わずホテルや航空券のみの販売といった単一商品に限定して販売している旅行代理店も多数見受けられます。

就職活動の面ではインターネット販売が主力となるため、WEBサイトのエンジニアやデザイナーといった既存の旅行代理店ではあまり求人の多くない職種も積極的に採用しているのもポイントです。

ビジネスモデルは代理販売が基本

旅行観光業界サブ1

ここまでTTAとOTAのビジネスモデルの違いについてご説明をさせていただきました。販売手法などはそれぞれ異なりますが、共通して言えることはホテルや航空券など他社が持っている商材を組み合わせてお客様に提供を行う点です。

そのため自社のリソースにこだわることなく、時代のニーズに合わせて柔軟に良いものを仕入れ提供できるためアイディア次第で様々な商品を造成・提供できるのが仕事の醍醐味となっています。

日本の旅行業界の市場規模について

2019年に日本旅行業協会から発行された資料をもとに、日本の旅行業界の市場規模についてみていきましょう。

まずはじめに2016年における日本人の国内旅行や海外旅行での消費金額は合計で「26.4兆円」、生産波及効果(直接効果を含む)は53.8兆円となり日本のGDPの5%を占める巨大産業となっています。

訪日観光客も年々増加し、2019年には初めて3,000万人を超えるなど観光市場の広がりが顕著となっています。この数字は世界に目を向けてみると、海外から訪れる外国人数において世界12位と健闘した数字となっています。1位はフランスとなっており、日本の約3倍の観光客数となっています。

消費者思考においても、「生活のどのような側面に力を入れていきたいか」というアンケートにおいて、1983年の調査開始以来「旅行や余暇」が1位に選ばれており世の中から常に必要とされる物となっています。

また日本政府も2007年に制定された「観光立国推進基本法」など観光立国を世界に掲げ、重要な政策の一つとして力を注いでいる業界の1つとなっています。

数字が語る 旅行業 – JATA

新型コロナウイルスが与えた旅行業界への影響は!?

旅行業界は世界情勢や景気に大きく左右されます。

旅行は生活需品ではないため、景気が悪い時は真っ先に支出カットの対象とされます。また天変地異や情勢不安の際には渡航先から除外されるため、その地域の旅行者数が減少すると言ったことが過去に何回も起きています。

また最近では2020年から広まった新型コロナウイルスの影響により、国内の移動制限や海外への渡航が禁止されてしまったため、どの旅行会社も軒並み赤字となる過去類を見ない深刻な影響を受けています。

2020年度の決算を見てみると、JTBが1052億円の赤字、HISが500億円の赤字となっています。

このような話題もありますが、2021年以降はワクチン接種の加速も進み各社赤字幅の縮小が進み経営の健全化への動きも見せています。

また航空業界では2年ほど停止をしていた新卒者の新規採用が始まるといった明るい兆しも見えてきています。

JTB連結決算、過去最大の最終赤字1052億円に、来期は黒字化へ、構造改革は順調 ー2021年3月期

HIS、過去最大の赤字500億円、前期比2倍、旅行事業の想定シナリオを発表、海外旅行回復は来夏 -2021年10月期決算

コロナ禍の就活生からの旅行業界の人気度は?

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた旅行業界ですが、就活支援サービスの株式会社ディスコによると、2021年度の業種別ランキング<その他サービス>においてJTBグループが3位、観光に携わる成田国際空港が12位とその人気の高さが伺えます。

総合ランキングでは、JTBが64位と前年の14位から大幅にポイントを落とす結果となりました。

またJTB以外の旅行会社のランクインは見ることができませんでした。

ランクインをしている会社が少ないのは新型コロナウイルスの影響で採用活動をストップしている企業が多くあることや、OTAなどは会社規模が小さく採用人数が少ないことなどが影響していると考えられます。

就職希望企業ランキング その他サービス

旅行業界で働く魅力とは

旅行観光業界サブ2

「お客様に喜ばれる仕事だから」なんと言ってもこの理由が1番ではないでしょうか?みなさんも旅行に行く時ってワクワクしませんか?嫌々旅行に行くと言う人はいないと思います。

自分が手配した旅行でお客様を笑顔にすることができ、感謝の一言をもらえる。

こんな素晴らしい仕事は世の中でも限られているのではないでしょうか。

また旅行代理店は航空会社・ホテル・観光地の土産物店など1つの商品を作り上げるまでに多くの人との協力が必要です。普段は関係を持たない人たちも、旅行代理店が間に入ることで新たな交友関係やビジネスを始めるきっかけを生み出すことができます。このように多くの人を巻き込みながら仕事をすすめる醍醐味を味わうことができるのも旅行代理店の仕事の魅力の一つとなっています。

深堀りした業界研究がおすすめ

旅行業界のお仕事や現在の状況などを解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

一般的に目のつきやすい職種以外にも旅行業界にはたくさんの仕事があることがお分かりいただけたかと思います。またWEBデザイナーなど直接旅行業界とは関係ないお仕事も、実は旅行会社の中にあったりします。

ぜひ「旅行業界」という単一の視点だけではなく「どんな仕事がその会社にはあるのか」と言った深堀りした視点で業界研究を進めていただければと思います。そうすればより良い仕事と巡り合える機会が増えることと思います。

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた旅行業界ですが、「人が旅をする」といった行動自体はどんなにオンライン化が進んでもけしてなくなることは有りません。

その土地でしか味わうことのできない感動や空気感、匂いは行ってみないと体験できませんので。

これから就活を始める皆さんは、そんな人生の素晴らしい体験をお手伝いすることのできる旅行業界の研究をしてぜひ興味を持っていただければと思います。

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