人生を飛躍させる原動力「キャリア戦略」とは何か?|キャリア戦略論① - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜
人生を飛躍させる原動力――「キャリア戦略」とは何か

現代のビジネス界では、日本を代表する大手メーカーでも大規模リストラをしたり、海外企業によって買収されたりすることが珍しくありません。学生の皆さんの中にも、このようなニュースを目の当たりにし、将来に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

いまや日系大企業の雇用安定神話は終焉(しゅうえん)を迎えています。「大企業に入社して勤め上げることが、安定していて有利」と考えられてきた日本のキャリア設計の前提が、急速に崩れてきているのです。20~30年前では考えられないような大きな変化です。

一方で、20~30代の起業家やNPO創業者、日本企業の海外進出をリードする戦略コンサルタント、伝統企業の再建を担う投資ファンドのマネジャーなど、若くして活躍するビジネスリーダーたちが続々と登場してきています。

「自分の好きなことで、社会にインパクトを与えながら、恵まれた収入も得る」という充実した人生を、彼、彼女らは早くから歩んでいます。これも、以前には想像もできなかったような変化です。

このように見てくると、社会構造が変わるとともに従来のキャリア設計法が通用しなくなり、不安や閉塞感を覚える方がいる一方で、この変化をうまくとらえ、自分の夢や志を実現させている人もいることが分かります。

若いうちから活躍するビジネスリーダーたちは、どのようにして、豊かなキャリアを歩めるようになったのでしょうか。本記事では、その秘密について解説していきたいと思います。

「キャリア戦略」が人生を飛躍させる原動力となる

人生を飛躍させる原動力――「キャリア戦略」とは何か チェス

ビジネスリーダーたちが人生を飛躍させた鍵は、大きく発達した人材市場を活用した「キャリア戦略」にあります。キャリア戦略とは、望む人生を実現する上で重要な要素を把握し、それらを習得するキャリアを描いた中長期的なプランのことです。

理解を深めるために、コンコードのご相談者の事例をみてみましょう。35歳の女性が、大手事業会社のマーケティング部長職への転職を成功させました。ベースとなる年収は1600万円。そこに諸手当などで200万円程度が加わります。一般的には、考えられないような好待遇です。

この女性は、なぜその若さで、このような高いポジションに就くことができたのでしょうか。

彼女は新卒で日系大手企業に総合職として入社し、同期入社の社員と一緒に営業部門へ配属されました。しかし、数年が経ち、本人が希望する経営企画やマーケティングの仕事に就くまでには何年もかかるという現実に気づきます。しかも、異動が確約されているわけでもありません。仮に運良く異動できたとしても、その部門の幹部となるには、さらに十数年もの歳月が必要となります。

「入社前に描いていたイメージと異なる」――彼女に限らず、多くの社会人が、このような悩みに直面していることでしょう。20代後半となった彼女は、悩んだ末に、転職活動を行うことを決断します。

しかし、ここで1つ大きな問題がありました。営業職の人材を経営企画職やマーケティング職で採用する企業は、かなり限られるのです。

転職活動は難航し、悩んだ彼女は私たちの会社へ相談にきました。私たちは彼女の夢を実現するために、キャリア戦略を設計し、まずはコンサルティングファームへ入社することを提案します。

コンサルティングファームであれば、大企業の戦略立案や海外マーケティングのプロジェクトを数多く経験することができます。また、多くのコンサルティングファームでは、未経験者でも中途入社することが十分に可能なのです。

その後、コンサルティングファームへ入社した彼女は、34歳でプロジェクトマネジャーへ昇格しました。そして、豊富なマーケティング経験と高いリーダーシップを買われ、外資系大手企業のマーケティング部長に、35歳という若さでスカウトされることになります。同社でも最年少クラスでの抜擢(ばってき)でした。

振り返ってみると、たった7~8年で、念願だった事業会社のマーケティング部門の幹部となることができました。このように、適切なキャリア戦略を持つことは、人生を大きく飛躍させる原動力となるのです。

一方、もし新卒で入った日系企業に残ったままだったとしたら、毎日どんなに仕事をがんばっても、経営学修士号(MBA)やUSCPAなどの学位や難関資格を取得したとしても、この年齢でマーケティング部長に抜擢されることは難しかったでしょう。

キャリア戦略をつくるコツは「キャリアの階段」にある

人生を飛躍させる原動力――「キャリア戦略」とは何か 階段

では、どのようにすれば、優れたキャリア戦略をつくることができるのでしょうか?

キャリア戦略をつくるコツは「キャリアの階段」にあります。キャリアの階段とは、望むキャリアのゴールに至るために、中継地点につくる足場のことです。

一足飛びにゴールにいくのが難しい場合でも、中継地点となるキャリアの階段をつくることで、その実現可能性は飛躍的に高まるのです。前述の女性も、コンサルティングファームへの転職を挟んでから、事業会社の経営企画やマーケティングの経営幹部を目指しています。

営業職というポジションから、いきなり他の大手企業のマーケティング部門や経営企画部門へ転職するというのは、かなり難しい。しかし、コンサルティングファームに入社して、戦略立案やマーケティングの業務経験を積むことで、即戦力人材として事業会社の企画部門への道がひらかれました。

一見すると寄り道をしているようにも感じるかもしれませんが、コンサルティングファームにいくことは、彼女にとっては事業会社の経営幹部に至る“最短ルート”になったのです。

また、キャリアの階段をつくるという発想は、安全・着実にスキルを高めながら、目指すビジョンに近づくことができるという点でも優れています。この女性も、決してハイリスクな勝負をしていたわけではありません。

一般的にリスクが高いと考えられている起業を目指す場合でも、キャリアの階段をつくることは有効です。確かに、スキルや経験が不十分なままいきなり起業するのは、リスクが高い。車の運転に例えるならば、教習所での練習をせずに、公道に出るようなものです。

しかし、経営スキルや必要な業界知見を得た後で起業すれば、その成功確率は飛躍的に高まります。私たちのご相談者でも数多くの方が、キャリアの階段をつくり、スキルやリーダーシップ、ネットワークを身につけてから、起業家として活躍されていっています。

なお、キャリアの階段は、その方の職歴や要望などに応じて、さまざまな選択肢があります。場合によっては、キャリアの階段をツーステップ、スリーステップと挟むこともあるでしょう。

もちろん、自分が欲しいスキルや経験の習得だけを目的に在職するのは評価されません。所属する企業でしっかりとした価値を生み出し、組織に貢献することは大前提となります。その点はぜひご留意ください。

現在エグゼクティブとして活躍する皆さんも、軸となるキャリア戦略を持ち、個々の仕事で顧客や組織に対して成果を生み出すことで、人生を飛躍させていっているのです。

次記事以降では、キャリア戦略が重要になった理由や、キャリア戦略の具体的な設計方法について解説していきたいと思います。

著者

コンコードエグセクティブグループ代表・CEO 渡辺 秀和

2008年、コンコードエグゼクティブグループを設立。外資系戦略コンサルタント、PEファンド、ベンチャーCxOなどへ1000人を越えるビジネスリーダーのキャリアチェンジを支援。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVPを受賞。2017年に東京大学で開講されたキャリアデザインの授業「キャリア・マーケットデザイン」のコースディレクター。2022年、「キャリア教育プラットフォーム」コンコードアカデミー代表取締役会長就任。 著書 『未来をつくるキャリアの授業』、『ビジネスエリートへのキャリア戦略』は東京大学の教科書に選定された。『新版 コンサル業界大研究』は東大生協本郷書籍部で第1位を獲得。

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