「内定獲得への道」業界研究編~キャリアの可能性を広げる「業界研究」徹底解説 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

自己分析の次のステップは「業界研究」です。自分の軸にフィットする仕事や会社を見つけるために、業界研究は欠かせません。

しかし、世の中には膨大な数の業界と仕事があります。いざ調べようと思っても、どのような手順で進めていけば良いのか悩む方が多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、業界研究のポイントと効果的に進めていく方法を具体的に紹介します。

業界研究とは

業界研究とは

業界研究とは、世の中にある多様な業界の存在を知り、それぞれの業界の特徴や仕事内容を把握することです。視野を広げてさまざまな業界について調べることは、自分の志望に本当にフィットする業界や企業と出合う上で、とても大切なプロセスです。また、業界研究を通じて、志望業界の仕事内容や求められる適性について理解しておくことは、面接を受けていくフェーズでも重要な意味を持ちます。

業界研究の目的

具体的には、業界研究には以下の4つの目的があります。

  1. 視野を広げて、新たな選択肢を見つけるため
  2. 志望業界を決めるため
  3. 志望業界から志望企業を見つけるため
  4. 説得力のある志望動機、自己PRを考えるため

(1)視野を広げて、新たな選択肢を見つけるため

業界研究に取り組む1つ目の目的は「視野を広げること」にあります。「自分にフィットする業界はこれしかない」と思いこみ、応募業界を狭めてしまう学生を見かけます。しかし、業界研究を通して知識が増えていくことで、これまで関心のなかった仕事や、存在を知らなかった業界に対して、興味がわいてくることも十分にあり得ます。実際、社会人になってビジネス界の知識が増えたことで、新卒時に受けなかった別業界への関心が高まり、キャリアチェンジをしたいというご相談は珍しくありません。

可能であれば、ファーストキャリアから自分のやりたい仕事に就きたいものです。まずは視野を広げることを意識して、先入観を持たずに各業界の全体像を把握してみてください。遠回りのように感じられても、それが自分に適した仕事を探す近道になることでしょう。

(2)志望業界を決めるため

2つ目の目的は「志望業界を決めること」にあります。興味のある業界を知ったつもりでいたけれど、詳しく業界研究をしてみたら想像と違っていたということはよくあることです。また、意外な業界の仕事が、志望業界と同様の魅力を持っていることに気づくかもしれません。志望業界の仕事内容を正しく認識し、具体的なイメージを持てるようになれば、入社後のミスマッチを避けることにもつながるでしょう。

(3)志望業界から志望企業を見つけるため

3つ目の目的は「志望企業を見つけること」にあります。志望業界の中にもたくさんの企業が存在します。その中から、自分にフィットする企業を見つけるためにも業界研究は必要です。

例えば、「コンサルティング業界」と聞いた際に、マッキンゼーやBCG、ベインなどの戦略ファームを思い浮かべる方もいるでしょう。しかし、メジャーな外資系戦略コンサルティングファームだけでも10社以上ありますし、同様のプロジェクトを行う国内系戦略コンサルティングファームもあります。さらに、組織人事系やデジタル系のコンサル、M&A戦略を支援するFAS、製造業やエネルギー業などの業界特化型コンサルなどのファームも多数存在します。社会課題解決やSDGs領域などに関心がある方は、総合系ファームやシンクタンクの当該部門もフィットするかもしれません。

このように、1つの業界内でもさまざまな企業が存在しており、魅力的な企業は想像以上に多いのです。自分にフィットする企業を見逃さないように、しっかりと業界研究を行いましょう。

(4)説得力のある志望動機、自己PRを考えるため

4つ目の目的は「説得力のある志望動機、自己PRを考えること」にあります。応募書類や面接では、その業界を志望する理由や適性が深く問われ、合否に直結します。業界研究を通じて仕事内容やビジネスモデルをしっかり把握し、求められるスキルを具体的に理解したうえで説得力のある志望動機や自己PRを用意しましょう。

業界研究の具体的な方法

業界研究の具体的な方法

業界研究は以下の3つのステップで行っていきます。それぞれについて詳細に解説していきましょう。

  • 就活の軸をもとに、書籍から「気になる業界」を広くピックアップする
  • 気になる業界のビジネスモデルや仕事内容を知り、「志望業界」を選ぶ
  • 志望業界内の企業を知り、「志望企業」を選ぶ

(1)就活の軸をもとに、書籍から「気になる業界」を広くピックアップする

最初は、自分の価値観にフィットしそうな業界をラフにピックアップしましょう。自己分析でつかんだ自分自身の就活の軸を念頭に置きながら、業界を絞らずに幅広く見ていくことをお勧めします。実は、自分のやりたいことが、複数の業界に存在していることは珍しくないのです。

全産業界を「ものをつくる」「ものを売る」「サービスや情報を提供する」「社会基盤を整備する」「資金を動かす」と、5つに分ける方法がよく見受けられます。しかし、このような分類を過信して業界研究の対象を絞ってしまうと、自分の志向にあった仕事を見落としてしまう可能性があります。例えば、自己分析をした結果、「人々の健康に貢献したい」という軸を見つけたとします。この場合、医療業界(社会基盤を整備する)だけでなく、製薬業界や医療機器業界(ものをつくる)も考えられます。さらに昨今ではヘルステックとして、IT業界(サービスや情報を提供する)にも医療業界に革新をもたらす優良企業が数多くあります。このように、自身の価値観にフィットする業界は、上記の5つの分類のうち3つに点在しているということも十分にあり得るのです。業界分析においては、あくまで自分の軸を中心として、幅広い業界を俯瞰(ふかん)するようにしましょう。

この段階では、さまざまな業界を視覚的に広く知ることができる書籍を使うことをお勧めします。「会社四季報 業界地図」(東洋経済新報社)や「日経業界地図」(日本経済新聞社)のような“業界地図本”では、さまざまな業界について広く抑えることができます。「JobPicks 未来が描ける仕事図鑑」(ニューズピックス)や「未来が広がる! 世の中が見える! 仕事の図鑑」(ナツメ社)のような“仕事図鑑”も、自分の好きなことを軸に業界や仕事をイメージすることができるので役立ちます。ネット情報も有効ですが、業界全体を表示すると図が小さくなったり、ページをまたいでしまう場合もあります。さらに、情報が断片的な場合もあり、さまざまな業界と横並びで検討するには、書籍が最も有効です。これらの書籍に目を通して、ピンとくる業界には付箋を貼っていきましょう。可能性を広げるために、少しでも興味がある場合にはピックアップしておいてください。

(2)気になる業界のビジネスモデルや仕事内容を知り、「志望業界」を選ぶ

次は、①で面白そうだと思ってピックアップした業界について詳細に調べ、志望業界を選ぶ段階となります。各業界の仕事の特性が、自己分析で得た軸と合致しているのかをもとに判断していきます。漠然としたイメージのままではその業界が自分にとって適切な選択なのか判別できません。ここからはビジネスモデルや仕事内容について理解を深めるため、産学社の『業界大研究』シリーズ秀和システムの『図解入門業界研究』シリーズなど業界研究本やネット情報、さらにはビジネス書や関連する動画も活用すると良いでしょう。

ビジネスモデルとは、端的にいえば「事業が利益を生み出す仕組み」のことを指します。具体的には、「どのような商品・サービスを提供しているか」「顧客は誰か」「どのように提供して収益を上げているのか」に注目して理解していきます。

これらを知ったうえで、その業界の仕事内容を具体的に調べていきます。まずはネット情報を活用しながら、その業界で働いている人のインタビュー記事を読むのがお勧めです。また、特に関心を持った業界については、その業界を扱った書籍やビジネス系漫画・ドラマを活用して、理解をさらに深めていくのも良いでしょう。書籍やドラマの中で、働く上での指針となるロールモデルを見つける学生も少なくありません。このようにして仕事のやりがいや乗り越えてきた課題などを理解し、自己分析の好き嫌い分析で見つけた軸と照らし合わせて、志望業界を選んでいきます。

このフェーズを終える頃になると、働くことの醍醐味、顧客のために貢献する喜び、一筋縄ではいかない苦労などが理解できるようになり、社会に出ることへの心構えも育ってくることでしょう。

(3)志望業界内の企業を知り、「志望企業」を選ぶ

志望業界を選んだら、その業界内の企業を把握して志望企業をピックアップします。規模の大きい有名企業が自分にフィットするとは限りません。業界内のさまざまな企業について知ることが大切です。それらの特徴を把握することは、社会に出て働く際の基礎知識としても必要なものです。

業界研究本やネット情報などを使い、有力企業はどこなのかを把握していきます。業界研究本を精読することで、企業ごとの特徴や社風なども見えてくるでしょう。このような研究は、前述の志望業界を選定する際の研究とあわせて、志望動機や自己PRを作る上でも大いに役立ちます。

なお、この段階で選んだ志望企業は、いわゆる“第1志望群”、“第2志望群”となる志望度のとても高い企業になるでしょう。実際の応募では面接慣れなども必要となるため、幅広く応募していくことが大切ですので、その点はご注意ください。

就きたい職種が明確に決まっている場合は、職種別採用企業を選ぶ

就きたい職種が明確に決まっている場合は、職種別採用企業を選ぶ

自己分析の結果、自身の就きたい職種が人事職や経理職など、明確に決まっている場合は、業界分析の重要性はやや下がり、職種別採用を行っている企業を中心に検討していくことなります。

新卒時に、明確な職種別採用をしている事業会社は決して多くはないため、業界については幅広く検討する必要が出てきます。具体的には、一部の外資系企業やプロフェッショナルファームが有力な選択肢となるでしょう。例えば人事領域に関心を持っている場合であれば、職種別採用を行っているP&Gのような事業会社の人事職や組織人事系コンサルティングファーム、リーダーシップ開発などの研修企業などが候補としてあげられます。将来は事業会社で人事領域の幹部を目指したいというケースでも、組織人事コンサルティングなどプロフェッショナルファームでの経験は高く評価されるため、ファーストキャリアとして有力な選択肢となるでしょう。

まとめ

本記事では業界研究の目的やポイント、具体的な流れについて解説しました。この業界研究は就活をする上で重要なプロセスです。漫然と取り組むのではなく、なぜやるべきなのかという目的意識をしっかりと持って取り組むことが大切です。

転職や学びなおしなどという選択肢もありますが、楽しく充実した社会人スタートを切るためにも、できる限りファーストキャリアで、自身にフィットする企業に入社したいものです。業界研究をしっかりと行い、より良い選択ができるようにしていきましょう。

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