【デジタルコンサルタント】大学院を卒業した私たちの、PwCでの働き方 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜
【デジタルコンサルタント】大学院を卒業した私たちの、PwCでの働き方

今回は、東京大学大学院を卒業されたのち、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)にデジタルコンサルタントとして入社されたお二人、饗場亮介さんと蔦森杏奈さんへのインタビューをお届けします。お二人がどのような就活をして、なぜデジタルコンサルタントを選ばれたのか、また実際に入社されてからの業務や働き方などについてもお聞きしました。


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―最初に、就活についてお伺いさせていただきます。まず饗場さんから、いつ頃からどのような軸で就活をされていたかというところを教えてください。

饗場さん:私は修士1年の夏ごろから就活を始めました。当時は人事の方に就活の軸を聞かれても明確な答えを持っていないように感じていました。しかし、今振り返ってみれば「誰と働いて、何をするか」に重きを置いていたように思います。何か特定の軸を持って就活をするというよりは、企業の説明会やその企業にいた先輩のお話を伺う中で「面白そうだな、これなら自分は少なくとも数年間は楽しんでやっていけるな」と思った企業へさらに話を聞きに行って、本当に自分の興味とマッチしているかを考える、ということをずっとやっていました。業界を絞ることなく金融、メーカー、ベンチャー、コンサルなどさまざまな業界を見た中で、人に興味を持つことができ、その人と一緒に働いている自分をイメージできたところに行こうという考えで就活をしていました。

―なるほど。そういった中で、アカデミアや研究職ではなく、貴社に就職することを選ばれるまでの経緯を教えていただけますか。

饗場さん:仮説を立てて、それをデータなり実験なりで裏付ける。正しければよし、正しくなければ失敗から示唆を考える。このサイクルを回すことが科学の基本であり、自分はこのサイクルにやりがいを感じていると大学院生活の中で気が付きました。しかしこれは仕事においても業界や職種を問わずある程度共通しているサイクルですから、アカデミアにいなくても実現できると考えました。

―PDCA的な観点で言えば、確かに仕事と研究は似ていますね。

饗場さん:仮説を立てて検証していくというサイクルに興味を感じているのならば、データから有益な示唆を抽出するいわゆるデータサイエンスが自分に合っているのではないかと思い至りました。そこでデータサイエンスの業種において、いわゆるR&D(リサーチ&ディベロップメント)的な研究職からアナリティクスコンサルタントのようなコンサルの分野まで、迷いながら比較しました。

―その中で最終的にコンサルという職種を選ばれたのは、どんな理由だったのでしょうか。

饗場さん:すぐに人の役に立っていることを実感できることが決め手でした。研究職では研究開発した内容が世に出て実用化され、実際に人の役に立ち、リアクションが来るまでには何十年もかかるサイクルです。それに対してコンサルタントは、スピーディに成果を出してクライアントから感謝される。最終的には目の前の人の役に立ちたい、そしてそれを実感したいという思いからアナリティクスコンサルタントを選びました。

―なるほど。理系の学生はそもそもコンサル業界を見ていない学生も多い気がしますが、饗場さんはどうしてコンサルという業界を見てみようと思われたのでしょう?

饗場さん:私の場合は業界を絞らずに見ていたので、その中に自然とコンサルも入っていました。「誰と一緒に働けるか」を大切にして身近にいる先輩や社会人の方に話を聞きに行くことがファーストステップでした。なるべく網羅的に色々な人に話を聞くことを心掛けていたことで、自然とコンサル業界も選択肢に入っていました。

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―就活を迎える学生にとって、すごく有用な情報だと思います。では続いて、蔦森さんにもお伺いします。まず実際に、いつ頃からどういった軸で就活されていたのかというところを教えてください。

蔦森さん:修士1年の冬くらいから、インターンをきっかけに始めました。就活の中で軸にしていたのは「専門性が付くこと」と「知的好奇心を持ち続けられそうな業務内容であること」の2つです。前者については、文系だと専門性を示すのが難しいという一面もあり、自分がビジネスの世界で生き延びていくためには独自の専門性が必要だと考えたのが理由です。後者については、自分が仕事を継続していく上で、知的好奇心を持ち続けられるような業務内容が良いと思っていたので、常に新しいことにチャレンジし続けられる環境がある業界を選ぼうと考えていました。

―蔦森さんの学科は、アカデミアですとか、国際機関、官僚などに進まれる方が多い傾向だと思いますが、その中でコンサル業界に絞られた理由というのは何だったんでしょう?

蔦森さん:コンサルを選んだ理由としては、ほかの業種よりも専門性が付くだろうというところが大きかったですね。数年ごとに必ず部署異動がある官公庁や大手企業よりも、コンサルのように「専門性」を要求される業界で自分の専門性を身に付け、伸ばしていくほうが自分のキャリアイメージにあっていると考え、コンサル業界を選択しました。

―コンサル以外で見られていたのは、どういった業界だったのでしょうか。

蔦森さん:コンサルのほかに見ていたのは、主にシンクタンクでした。シンクタンクもコンサルと同様に、一定の「専門性」が身に付き、新しいテーマを取り扱い、調査・レポート作成するという点では知的好奇心も持ち続けられそうだったので、魅力のある業界だと思いました。ただ、実際にシンクタンクでインターンしてみた際に、どちらかと言うと、あるテーマについて調査して、レポートにまとめていくシンクタンクよりも、コンサルでクライアントと一緒に何らかの課題に取り組んで解決していく、という方が性格に合っていると感じたので、シンクタンクは選択肢から外れましたね。

―その後、実際に就職なされたのがテクノロジーコンサルティング部門ということですが、このデジタルというところに何かバックグラウンドがあったのですか?

蔦森さん:ずっと文系だったこともあって、そういったバックグラウンドは一切ありませんでした。入社後に、本当にゼロから勉強を始めました。

―そうだったんですね。では、PwCコンサルティングには戦略コンサルやビジネスコンサルがありますが、なぜデジタルコンサルティング部門を選ばれたのでしょうか?

蔦森さん:大学院の時に、「国際関係とサイバー空間」のテーマを授業で扱ったことをきっかけに、サイバー空間やサイバーセキュリティというものが非常に面白いなと感じました。それに加えて、ビジネスの面からみても、セキュリティの専門家は市場価値が高そうだなと思い、サイバーセキュリティに関わる職業に就きたいと考え、コンサルのなかでもサイバーセキュリティを扱うデジタルコンサルティング部門を選びました。

―なるほど。ありがとうございます。では、次に饗場さんにお伺いしますが、PwCコンサルティングを選ばれた経緯や、ここが決め手だったというポイントについてお聞かせください。

饗場さん:PwCコンサルティングが良いなと思った点は2点あり、一点は、出会う職員が魅力的だったことです。皆さん仕事への熱意に加えてコンサルタントのイメージからは遠い緩かさも持ち合わせていて、良い意味で驚きました(笑)。ここでなら自分もやっていけそうだという感覚があり、大きな魅力を感じました。

もう一点はデータサイエンティストの職種を比較した中で一番自分のやりたいことに近いと感じたことです。データサイエンティストには、研究開発をするR&Dというポジション、事業会社において自社のデータサイエンスを担うポジション、ITベンダーで他社のデータを分析するポジション、それから他社の課題をデータドリブンに解決するコンサルティング会社のアナリティクスコンサルタントのポジションがあります。最後の2つは少し似ていてわかりにくいので後ほどご説明します。それらの中で自分がやりたいことはツールの開発そのものではなくて、色々な企業の課題に向き合って幅広くビジネスとデータサイエンスの両面から知識を吸収していくことでした。そうして自分自身も成長していける点に魅力を感じ、PwCコンサルティングにたどり着きました。

―次に、蔦森さんが色々な選択肢の中でPwCコンサルティングを選ばれた理由についてお聞かせください。

蔦森さん:一つ目は饗場さんと同じで、就活中に出会った人や先輩のお話の中でも、職員の方々の人柄がとてもいいなと感じたのが決め手でした。二つ目は、自由な社風であるというところです。例えば、「新卒で入社しても、個人の裁量が大きく、自分で考えながら仕事ができ、上司に対しても自由に意見を言うことができる」という話を多く聞いていたこともあり、フラットな環境で自由に働くことが可能そうだなと感じていました。また、新卒であっても実力が評価されれば、年齢関係なく昇進していくようなところも大きな魅力だと思い、PwCコンサルティングを選びました。

―ありがとうございます。続いて、入社後についてのお話を伺います。まず饗場さんにお聞きしますが、そもそも“テクノロジーコンサルタント”とはどういう職種なのでしょうか?

饗場さん:テクノロジーコンサルティングには5つ部門があって、一つがいわゆる経営層向けのアドバイザリーを行う“テクノロジーアドバイザリーサービス”です。それから私が所属しております、データの活用によって企業の変革を支援する“データ&アナリティクス”。それから蔦森さんが所属している、セキュリティを請け負う“デジタルトラスト”。さらに、最新技術の社会への実装実験などを行う“エマージングテック”。これはドローンなどを使って、社会の課題を解決できないか検証する部門になります。最後が、“Technology Laboratory”です。これは産官学連携で、エマージングテックが考える近い将来の、さらにその先の未来を考える研究室のような立ち位置の部門です。ここではどういう技術やテクノロジーが今後必要な社会になるのか、今ないものでどういうものがあったらいいかといったことを考えています。

―なるほど。饗場さんが所属されているデータ&アナリティクス部門について、もう少し詳しくお願いいたします。

饗場さん:データ&アナリティクスはクライアントのデータを活用したり、整備したりすることによって、経営、業務、あるいは風土の変革を目指す部署です。デジタルトランスフォーメーション(DX)というデジタル技術の活用による企業変革を表現する言葉が流行っていますが、そもそも会社というのは誰かが何かを「変えろ」と言ってもすぐに変わるものではありません。特に大きな企業では独自の文化・風土が組織の土台として脈々と受け継がれてきています。それ自体は組織として大切なことだと思う一方で、変革を導入するにはそこに所属している人たちの意識から変えていくことが大事になるわけです。従って、データ利活用のための基盤の整備や分析業務に加えて、人材の育成や、時には、その会社にどんな組織があって、どこの組織とどのように協業することでデータうまく活用して経営方針を決める体制を構築できるか、といった支援まで行うのが私たちの業務です。

―単純にデータをもらって、それを分析するというところに留まらないんですね。

饗場さん:そうですね。そこは先ほどご説明したかったことで、受領したデータに対して適切に分析をして示唆を返すサービスが一般的なデータ分析ベンダーの提供サービスのイメージだと思います。

こうした会社とコンサルティング会社の一番の違いは、プロジェクトの出発点がデータではなくてクライアントの課題であることです。コンサルティング会社ではただデータを渡されて「こんな分析をしてください」というご依頼が来ることは滅多にありません。なぜなら、やりたいことが明確にあって、使うべきデータも分かっていて、打つべき施策まで見えている会社は、コンサルに支援を求めないからです。そこまで分かっていれば自社で内製化するなりベンダーの提供するツールを活用するなりして安価に自社知見を集積しつつ分析するはずです。

そうではなくて、そもそも「データをどう使えばいいかわからない」「こんなことに困っていて、テクノロジーで解決できないか」という課題を持った方々が私たちのクライアントになります。データ分析自体はツールの一つなので、データの分析ではなく「まず組織設計から一緒に考えましょう」という提案をさせていただくこともあります。

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―大変良く分かりました。では、対して蔦森さんの部署ではどういったことをなされているのでしょうか?

蔦森さん:私の所属するデジタルトラストでは、大きく三つのチームがあります。一つがいわゆるサイバーセキュリティのサービスを提供しているチームで、企業のセキュリティ対策状況の評価やセキュリティに関する体制整備の支援、インシデントが発生時の対応支援など、一般的なサイバーセキュリティに関するサービスを提供するチームです。二つ目がもう少し技術的なチームで、実際にシステムに対して疑似的な攻撃を行って、クライアントのNWやシステムに侵入できる脆弱性があるかどうかテストするチームになります。三つ目は、プライバシーサービスを提供しサービス提供しているチームで、各国の法律に準拠したセキュリティ対策の実装やルールの検討などを支援するチームです。

―いわゆるホワイトハッカーのような業務ということでしょうか。

蔦森さん:そうです。ホワイトハッカーのような形態で、企業さんと契約して合法的に攻撃させていただいて、脆弱性を発見することを主業務としているチームですね。

―そんな業務もあるんですね。PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)内の他の職種との関わりはあるのでしょうか?

蔦森さん:もちろんあります。例えば、セキュリティアセスメントをした結果、その企業の主業務を担うシステムの刷新が必要になれば、業界を担当しているインダストリーチームに連携し、業界知識をサポートしてもらうために、プロジェクトを一緒に遂行するケースもあります。インダストリーチームというのは、ビジネスコンサルタント職がまさにそこにあたります。新卒でビジネスコンサルタントとして入社した人たちが、たとえば金融や製造業といった業界で、その専門のコンサルタントになります。私たちデジタルコンサルタントのIT関連での専門知識とビジネスコンサルタントの業界の専門知識の両方を活かして、クライアントへサービスを提供できるところも、PwCのいいところだと思います。

―グループ全体で、一つの案件に対していろんな視点で価値提供ができるというのは、  PwC Japanならではの魅力ですね。ではそのITソリューションコンサルティングとデジタルコンサルティングの区別は、どのようになっているのでしょう。

饗場さん:そもそもの発想として、ITソリューションはビジネスアプリケーションの専門家という性格が強く、何を導入してどう課題を解決するか、というような考え方です。一方でデジタルコンサルティングは、アプリケーションを前提とせず幅広い解決策を採っており、専門としている領域とアプローチが少し違うイメージですね。

―なるほど。具体的に今の業務内容を教えていただけますか?

饗場さん:私は今、クライアントのデータ利活用による業務変革を目指す組織の支援をしています。第一段階としてPwCコンサルティングのデータ&アナリティクスとStrategy&が一体となって立ち上げと組織戦略の策定を支援し、第二段階としてクライアントのデータサイエンティストの育成をしつつ実際に社内外のデータを活用してクライアントの業務変革に取り組んでいます。

―もう少し詳細にお願いできますでしょうか。

饗場さん:まずデータ利活用の企画を立てていきます。基本的に私たちコンサルタントの仕事はクライアントが抱える課題を特定するところから始まるので、まずは業務を担当されている部署の方々にヒアリングをし、業務遂行上で困っていることや「将来こんなことを実現したい」という想いを吸い上げます。そこからクライアントの中にどんな課題がどこにあるのか特定し、それぞれの課題に対してどんなアプローチで解決できそうかを考えていく、という流れですね。この段階ではデータ利活用に限らずPwCとして提供できるあらゆるアプローチを考慮し、データ利活用が適さない課題についてはフランクにPwCの他部署に相談します。その上でデータ利活用が適切な課題に対しては実際にデータを活用した解決アプローチを具体化していきます。クライアントのどのシステムのデータをどんな分析にかけるのか、そしてその結果がどう業務変革につながるのか。そういったデータ利活用の企画を立てたのち、クライアントの育成を兼ねたOJTとして現場で実行を支援します。クライアントと議論を重ねながら、クライアントがデータを自分たちで扱えるようになるまで寄り添うイメージです。

―データ&アナリティクスという名前の印象とは違って、とてもクライアントに寄り添った形の業務をされているのですね。実際にコードを書く時間と、クライアントと向き合っている時間は何対何くらいになるのでしょうか?

饗場さん:私の場合で言えば、コードを書いている時間は全体の3割ぐらいですね。ただ、プロジェクトのフェーズによってかなり様相が異なり、最初の企画段階ではヒアリング、調査、議論などずっとクライアントと向き合っているのでほとんど0になります。一方でその後の、分析モデルを作成するフェーズやクライアントの育成課題としてプログラミングをしてもらうフェーズでは業務の3割から5割がコードを書く作業です。ただ、データ&アナリティクスチームの中でもコーディングの時間は個人差が極めて大きく一概には言えません。データ&アナリティクスにはスキルに応じてやりたいと言えばやらせてくれる文化があるので、ガッツリとプログラミングをして最先端の技術をどんどん調査・実装していきたいという方の業務はほとんどがコーディングになりますし、一方でデータ利活用戦略を検討したいという方はもっと割合が少なくなります。もちろん全部の希望が通るとは限らないですけれども、とても融通が効く環境です。

―データアナリティクスをやっている人の中には、「最先端のことをアプライするのがとにかく楽しい」というような方もいると思うのですが、そういう方の居場所もあるということですよね。

饗場さん:はい、まさしくそうですね。論文や最先端の事例から技術的な提案をすることにも大いに価値があり、実際にそういったことを専門でやっている方もいらっしゃいます。

―とても面白いですね。では、仕事と大学院での研究の違いというところで、仕事をしているからこそ楽しいということがあればお伺いしたいです。

饗場さん:仕事ならではの楽しさとしては、PwCはワンチームとしてチームワークをとても大事にするファームなので、幅広いビジネスに携われる点が挙げられます。所属部署の中でケイパビリティがなくとも他のチームに相談をしたり、実際にプロジェクトへ入ってもらったりすることができるので、自分にできるか、あるいはデータ&アナリティクスの支援メニューに入っているかということには全然関係なく、まず案件をお受けして自信をもって進めていくことができるんですね。ここは研究との大きな違いだと思います。研究では分野によるとは思いますが、どうしても限られたリソース、スキルで進めていかなくてはいけないこともあります。それに対して今の環境では大胆な動きができてワクワクしながら働いています。

―それもPwC Japanだからこその楽しさで、とても魅力的ですね。続いて蔦森さんにもお伺いしたいのですが、今のお仕事は、業務ベースでは実際どういったことをされているのでしょうか?

蔦森さん:今担当している業務は二種類ありまして、一つが、クライアント社内のセキュリティチェックの設計です。具体的な作業レベルで言うと、想定するリスクや確認すべきポイントといったセキュリティチェックのコンセプトの整理、チェック方法など運用面の検討、チェックリストの確認項目の作成を行っており、セキュリティチェックに係る一連の作業を全て行っています。もう一つはセキュリティ製品の導入支援というところで、こちらはセキュリティ製品の選定を支援する業務になります。まず、現状の脅威やリスクを調査して、次に脅威やリスクに対する対応優先度を整理します。そして最終的に製品に求めるセキュリティ要件を定義し、要件を満たす製品の選定および比較を行うことで、クライアントの選定作業を支援することが具体的な業務です。

―もともとテクノロジーのバックグラウンドはなかったということでしたが、そこからどのようにして、テクノロジーコンサルタント職としての専門性を突き詰めていこうとしているのでしょうか。

蔦森さん:入社して、一言にサイバーセキュリティと言っても、支援内容は幅広く、まずは色々な領域を知る必要があるなと思いました。そこで、これまでプロジェクトを選ぶ際は、過去のプロジェクトと異なる支援内容や異なる業界のプロジェクトを希望しており、知見を広めることを意識していました。今後は、自分が面白そうかつ、得意だなと思う領域を見つけて、その領域のプロジェクトの経験を積むことで、専門性を突き詰めていきたいと考えています。

―業務のアサインにも自由が利くんですね。それでは次に饗場さんにお伺いしたいのですが、ズバリ、貴社で働かれていて楽しいことはなんでしょうか?

饗場さん:繰り返しになりますが、一番楽しい点はチームワークがとてもいいところです。ワンチームとしてクライアントに対して支援をしていくことが実践されているので、枠を決めずに夢物語を描くことができるんですね。自分一人ではできないことであっても「こんなことができるといいな」と構想し、ケイパビリティのある人や部署に相談する。無責任のように聞こえるかも知れませんが、PwCの他のチームへの信頼があるからこそできることです。

もう一点、働き方としては、裁量の大きな仕事を新卒の1、2年目から担当できる環境が整っていることです。私は新卒入社2年目にはPwCのメンバーとクライアントのデータサイエンティスト見習いの方、計8名から構成される2チームのリーダーを任せてもらいました。チームとして何をすればクライアントにとって最も価値が出せるかを自分自身で考え設計し実行しました。優秀なマネージャーの下でプロジェクト推進のノウハウを教えてもらいつつ、心理的安全性を保って裁量の大きなチャレンジができた点がとても楽しかったですね。

―2年目でそこまでできるんですね。

饗場さん:はい。モチベーションさえあれば、いくらでもやらせてもらえる環境が整っていると思います。

―裁量の大きさには驚かされます。ちなみに、先ほどから業務内容をお伺いしていると、まさに大学でのデータ分析のご経験がそのまま応用できているように感じます、理系学生がこのテクノロジーコンサルタント職に就職することの良さというのは何か感じますか?

饗場さん:強く感じています。大学での研究は基本的に、何か解決したいことであるとか、あるいは実証したいことが研究の課題や研究テーマという形で設定されています。そこに対して「こんなふうにやったらこんなことが分かるんじゃないか」という仮説を立てて、次にそれを実験や数学的な問題を解くことで裏付けを取り証明します。最後に、次は何をすべきか検討をするという一連のサイクルこそが、研究の本質だと思っています。このサイクルはコンサルティングの仕事と同一のプロセスで、クライアントの課題を特定し、仮説ベースで解決アプローチを考えていく。その裏付けを取り、最後にそれをクライアントに提案し未来につなげていく。理系学生としてそうしたサイクルを経験してきたことが、今、間違いなく活きているという感覚があります。

―研究の時点でコンサルティングに通じるサイクルを経験しているということを理系の学生が認知できると、就活の選択肢が広がりそうですね。次に、入社前とのギャップについて、蔦森さんにお伺いしたいと思います。入社前はこう思っていたんだけれど、実際に入ってみるとこんなギャップがあったということはありますか?

蔦森さん:入社前はワーク・ライフ・バランスがとれるのか不安はあったのですが、入社したら定時で退社しようと思えば退社できるような環境でした。特に今のプロジェクトでは、18時以降は絶対に連絡し合わないというようなルールになっているのでとても健全です。社内全体として定時時間内で仕事を終わらせないと一人前のコンサルタントとしてダメだよね、という風土があるので、プライベートの時間もきちんと確保できるという点で、良いギャップでしたね。

―貴社は“これからのコンサル”というコンセプトを打ち出されていると思うのですが、そういった文脈でダイバーシティや、育休・産休制度についてのエピソードがございましたらお伺いしたいです。

蔦森さん:デジタルトラストに所属している先輩で、昨年から育休を取り、近く復帰する予定の方がいます。子育てをしながら働いている職員はたくさんいて、男性の上司でも定時後は家事や育児のため仕事はしませんと宣言している方もいます。それぞれの働き方に理解ある環境が整っていると感じます。

―なるほど。

饗場さん:私が所属しているデータ&アナリティクスチームでは、男性の育休取得率が現在100%です。パートナーが取得したことで、チーム内の男性はぜひ取ってくださいねという風土ができています。学生向けのインターンシップを実施する中で、職員がお子さんをおんぶしてイベントに参加していたこともありました。それを学生が見て、「お子さんも一緒に参加されている会社なんだ」と思っていただけたようです(笑)。

―とても和やかな雰囲気で、とても魅力的ですね(笑)。続けて蔦森さんにお伺いしたいのですが、テクノロジーコンサルタントと聞くと、今までテクノロジーのバックグラウンドがない人は尻込みしてしまう場合もあるのかなと思いました。そういう意味で、研修制度などのサポート体制について教えてください。

蔦森さん:研修としては、最初にコンサルの全体研修というのがあったあとに、今度はデジタルコンサルとしての研修があり、IT関連のベーシックな知識に関する研修があります。その後、部署に配属された後の研修ではより実業務に近いケースの研修が行われます。ですので、プロジェクトに入るまでの研修は充実していると感じました。さらにその後のOJTの段階では、PwCには教えることが好きな職員が多く、1を聞くと10が返ってくるような環境だったので、自然と知識が身に付いていきました。私自身、先輩方にたくさん教えていただいたおかげで特に不安もなく進むことができましたので、何でも聞けるような風土は、PwCのすごく良いところだと思います。丁寧に教えていただく中で知識を付けていき、いつの間にか業務を1人でこなせるようになっているというイメージですね。

―かなり手厚いサポートで、事前知識がなくても安心できそうですね。文系の学生はビジネスコンサルタントや戦略コンサルタントなど、他のコンサルタント職とも比較しながら見ていくと思うのですが、その中でどういう学生がデジタルコンサルタント職に向いていると思われますか?

蔦森さん:そうですね、テクノロジーに興味があるとか、新しいことに興味があるという人には向いていると思います。特にデジタルコンサルタントが魅力的だなと思うところは、コンサルスキルと同時に、テクノロジーに関する知識も一緒に付けられるというところです。ビジネスコンサルでも一定の専門知識は付くと思うのですが、テクノロジーの知識はこの現代、今後どんな業界・業種に行くとしても必要な知識だと思います。コンサルスキルとテクノロジーの知識、これを一緒に身に付けたいという意欲に溢れる文系の学生さんにとっては、とても楽しい環境だと思います。

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―続いて、今後のキャリアについてのお話を伺います。饗場さんは、身に付けた専門性を今後どういうふうに活かしていくのか、もしくは社内でどういった専門性を今後追求していくのかといったところをどうお考えでしょうか?

饗場さん:当面の間はコンサルティング業界に身を置いて、色々な経験を積みたいです。データ&アナリティクスの仕事は、業界を問わないさまざまなデータを、触りたいだけ触れるというところが魅力の一つだと思っているので、当面の間はその魅力を存分に活かして携わっていきたいと考えています。

時代は目まぐるしく変化し、今後、データをそろえてツールにインプットをするだけで専門知識がない方でも、高度なプログラミングを実行できてしまうような、ノーコードの分析ツールが一般に普及していくと考えられます。そこで、自分がアナリティクスコンサルタントとして価値を発揮し続けるためには、自分自身がプログラミングをする、データを見て加工をするというところにこだわらず、あくまでそういったツールが出てくることを前提に、「データを活用して何どんな価値を生み出せるのか」「企業、あるいは社会はどんな課題を抱えていて、それに対してどんな解決策があるのか」ということを提言するということにこそ重きを置くべきだと思います。今後はそういった方向性でお仕事をしていきたいと考えています。

―それでは次に、蔦森さんがご自身のキャリアについてどのように考えられているかというところをお聞かせ願います。

蔦森さん:考えている道が二つあります。1つは、特定の分野の専門家になることです。当社は今、セキュリティの中でもまだ発展途上な分野、例えば宇宙のセキュリティというような分野に取り組み始めています。そういった発展途上の領域というのは、専門家も少なく、PwCのように大きな企業にいるからこそ関わることのできる領域だと思うので、そういった領域に挑戦していき、将来的に「この分野は誰に聞けばいいんだろう?」という話が出てきたときに、「蔦森さんだよね」と言われるような専門家になることが一つ目の道です。もう一つは、セキュリティの知見や経験を積んだ後に、より広い視点でリスクを見るリスクコンサルへの転身です。というのも、大学院まで国際関係を専攻していたので、そういった意味で地政学のリスクであったり、経済安全保障であったり、もちろんサイバーもその一つだと思いますが、そういったもっと広い視野で見ていけるようなコンサルタントになりたいと考えています。そのどちらを目指そうかというのは、今迷っているところですね。

―セキュリティの専門家として身に付けたスキルが、今後どのように活きていくのか、その後どういう可能性があると考えておられますか?

蔦森さん:まず今の時代、セキュリティを全く気にしていない企業はどこにもいないと思うので、セキュリティの専門的な知識があれば、選択肢の幅が広くなるのかなと思っています。幸いセキュリティは特定の事業に依存する部分が少ないので、セキュリティの専門家としての行き先も同業他社に限らず、事業会社にもベンチャー企業にも行ける。行き先の幅が広いというのは非常に魅力的かなと思います。

―それでは最後に、まず、饗場さんからこれを読んでいる学生に対して何かメッセージをお願いいたします。

饗場さん:まず、「今やりたいことを追求していただきたい」というのが一番のメッセージです。学生の時間は限られたものですし、社会に出てからは自分のやりたいことに1カ月丸々使うというような経験がだんだんと難しくなっていきます。もし、今自分がやりたいと思っていることがある、しかもそれをやらない理由が「面倒くさい」「大変そう」であるとか、「自分にはできないかも」という尻込みであれば、そこは一度取っ払ってぜひチャレンジしてください。チャレンジしていただく際に私が学生の時には思っていなかったけれど、今大切だと思っていることが一つあります。それは「オーナーシップを握る」、つまり漫然と与えられたことをこなすのではなく、「自分が何をやりたいから、これをやるんだ」という意識を持つことです。例えば私は家庭教師をしていましたが、「案件が舞い込んできたから」「相談を受けたから」教えるということと、自分自身の目標があり、「こういう能力を身に付けたいから、家庭教師をしてここまでは達成しよう。達成したら、次はこれをしよう」という意識を持って向き合うのとだと、過程では同じことをしていたとしても、その先のゴールや自分自身が修得できるスキルは大きく変わっていただろうと思います。学生の皆さんにはぜひとも自分がやるべきことを自分で考えて、主体的に推進する意識を大事にしていただけるとうれしいです。

―ありがとうございます。次に蔦森さんも、読者である学生へのメッセージをお願いします。

蔦森さん:これからの学生生活で、特に就活で会社を選ぶ時ですとか、「興味があるけれど、自分にできるのかな?」と迷うようなタイミングが多く出てくると思いますが、私は、そういうことは全く気にしなくていいと思っています。「やりたいな」「興味あるな」と思ったものはとりあえずチャレンジしてみることがとても大事です。就職活動も、今は一度入社したらずっとそこに居なくてはいけないという時代ではないので、若いうちにやりたいことをやっておくということを重視してほしいですね。実際、私もゼロからスタートして受け入れていただいていますし、本当にやりたいことがあるのであれば、今の知識のあるなしに関係なく挑戦していってほしいなと思います。当社であれば知識がない方でも大歓迎ですから、「やりたいという気持ち」というところをとにかく大事にしてほしいなと思います。

―大変参考になりました。お二人とも、本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました!

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