【3分でわかる】丸紅株式会社 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

企業説明

丸紅の会社概要・活動内容

丸紅は三菱商事・伊藤忠商事・三井物産・住友商事と並ぶ国内五大総合商社の一角を担う企業である。

伊藤忠商事と同じく非財閥系の企業であり、1921年に設立された丸紅商店を起源とし、1949年に丸紅株式会社が誕生した。こちらも伊藤忠商事と同様に近江商人をルーツに持っているため三方よしの精神が浸透しており、現在の社是である「正・新・和」の精神にも少なからず受け継がれている。

五大商社の中では五番手と言うイメージを持たれる方も多いかもしれないが、2022年3月期決算では純利益4243億円と住友商事に迫る水準で過去最高益を叩きだした。2020年3月に1975億円の損失を出したこと・2000年代前半には経営危機に陥るほど財務体質が悪化していたことから考えても、直近で大きく業績を伸ばした企業であり、2022年度も4000億円程度の利益を見込んでいる。セグメント別に見ると、やはり資源価格の影響で金属資源の分野で2000億円近い利益を出した面が大きく業績を引っ張った。同様にアグリ事業も業績を伸ばしており、丸紅にとってのエース格となる分野に成長している。アグリ事業ではGavilon 肥料事業が大きな存在感を誇っており、穀物事業売却後一時的に収益性が落ちることが予想される中、継続保有している肥料事業を起点に今後どういった資本配分を取っていくのか注目されている。財閥系総合商社のように各業界に巨大なグループ企業を有しているわけではないが、農業のソリューションプロバイダであるHelena・石炭火力発電分野のMarubeni Coalといった高収益の関係会社も合わせて有している。元々電力分野で独立系発電事業者等の事業で収益を確保していた中、他分野でも伸びを見せてきたというのは大きな好材料と言えるだろう。

組織体制としてはセグメントと組織名称は1対1では紐づいておらず、輸出第一部・輸出第二部・輸出業務部それぞれの下に各事業が置かれる形となっている。2019年の組織改革では、グループ数を6⇒5・階層を4⇒3へと変更した。近年は総合商社の価値発揮の中でも横連携に注目が集まっていることから考えても、自律的かつ活発なコミュニケーションに基づく連携がしやすい形態という見方もできるかもしれない。

丸紅の特徴や価値観

丸紅は従業員数・拠点数といった企業規模で言うと五大総合商社の中では低いところに位置している。そんな中でも特徴的な事業展開により、個別で見るとプレゼンスを発揮しているところがいくつか存在している。今回はそんな丸紅の特徴を「電力分野」「アグリ事業」「ポートフォリオ配分」の3つの観点から解説をしていく。

一つ目の「電力分野」について。2022年3月期こそ台湾発電所EPC案件における工事遅延等に伴う追加コストの引当計上が要因で、実績対比269億円のマイナスとなった。しかし長年丸紅にとって電力分野は強みと言える領域となっている。小売電気事業者である丸紅新電力については、ウクライナ情勢の影響もあり新規供給を停止しているが、丸紅の電力分野を語るうえで欠かすことができない事例となった。中期経営戦略2024でも、電力供給調整等も含むエネルギーマネジメント事業が成長アプローチの一貫として挙げられている。2019年には初のエネルギー本部出身である柿木真澄が社長に就任したこともあり、脱炭素社会に向けた更なる価値発揮をしていきたいところである。

二つ目の「アグリ事業」について。先述の通り、丸紅は近年アグリ事業での業績を伸ばしている企業である。もちろんアグリ事業は資源分野ほどではないが肥料価格等によって業績が左右されるが、「穀物商社」と呼ばれることもある丸紅にとっては代表的な領域にまで成長した。事実、食料分野の利益に占める割合やROAについては、2022年3月期決算で五大総合商社の中で最も高い数値をとなっていた。また、アグリ事業は環境ビジネスとの親和性も高い。関連会社に丸紅プロテックスを置き、太陽光発電・完全人工光型植物工場建設といったアグリビジネスのトータルサポートを実現している。昭和電工などと共同しドバイに建設した完全自動型植物工場などはその代表例である。丸紅出身の小林武雄氏が片倉コープアグリの社長に就任するなど、界隈に人材を展開している側面もある。丸紅全体としても、2030年までに再生エネルギー比率をネット持分発電容量ベースで20%程度とする目標も掲げている。1997年にフィリピンのサンロケ水上発電所へ参画して以降、総合商社の中でも長く環境に配慮したエネルギー発電に携わっているノウハウもある。1987年に丸紅グループに参画したHelena社に続く「第二のHelena」創設に向け、農業資材事業と北米穀物事業が相乗効果を保ちつつ、世界的な関心事である食料分野での更なる飛躍に今後も期待していきたい。

三つ目の「ポートフォリオ配分」について。丸紅は伝統的に資源分野・非資源分野の収益バランスが良く、資源価格に依存しにくい収益構造が取れている。中期経営戦略 2024では2024年度の全社純利益を4000億円目標に掲げているが、そのうちの67.5%を非資源分野で達成するという内訳を発表している。直近の決算説明会の内容を見ても、これらの達成は現実的だ。資源分野は資源価格の変動で大きく業績が左右されるのに対し、先述した丸紅の強みである農業・食料といった生活基盤に関わる分野は、需要が大きく変動するということも比較的少ない。総合商社の事業運営の中では避けられないリスクをうまく分散しながら業績を挙げている企業と言えるだろう。

丸紅の最近の動向

丸紅の企業活動で直近目立っているのが、デジタル分野への取組みだ。2018年にデジタルイノベーション責任者の役員配置をすると、2019年には次世代事業開発本部が営業本部のレイヤにまで組み込まれた。事業部の一部にデジタル部門がある他社は多いが、他事業部と同列に並べるケースはそれほど多くない。デジタル革命を起こしていくには、既存ビジネスや制度の枠にとらわれず、俯瞰的な視点に基づく投資方針の変更や外部人材の確保といった新たな取組みが必要になってくる。AI・ブロックチェーン・デジタルマーケティングといった関連分野もこの対象に含まれるだろう。丸紅のイノベーションに対する姿勢がこうしたデジタル分野でも活かされることに期待したい。

また、これまではそれほど事例が無かったモビリティ分野でも動きが出てきている。中古車販売金融のNowlake事業については近年好調であり、2021年度の連結利益は242億円となった。Nowlake社はアメリカでの中古車販売が主要事業ではあるが、堅調な成長を遂げるアメリカはカントリーリスクが少ない国と総合商社内でも認識されている。この点も、前述したポートフォリオ配分に繋がっていると考えられる。自動車販売は確かに農業・食料と比較すると景気変動等で販売台数が上下するリスクがあるが、中古車へのシフトの可能性も含め消費財の中では大暴落のリスクは少ない分野と言える。こういった事例も含め様々な分野でリスク分散をはかる姿勢が読み取れる。他にもEVの分野では韓国メーカーと提携して急速充電システムの販売も手がけており、自動車分野で総合商社が以前から手がけていた国内メーカーの輸出支援という側面から、サービス分野にどのように切り込んでいくか今後の展望にも注目が集まっている。

丸紅での働き方・キャリア

丸紅は例年五大総合商社の中で採用人数が最も少ないことで知られている。また、採用比率では女性の採用比率が相対的に高いことも特徴である。事実2022年8月には女性活躍推進2.0が提唱され、女性採用比率を50%程度とすること・各部署や役職に割合目標値を設定するなどといった方針が打ち出された。単なる意識づけとしてこうした宣言をしている企業は数多く存在するが、具体的な定量目標をここまで定めていることからも、女性の人材登用への本気度がうかがえるだろう。2017年時点で丸紅はなでしこ銘柄に認定されていたが、同年の認定は五大総合商社の中でも丸紅が唯一だった。タレントパイプラインの拡張に伴い、より多様な視点から各分野でイノベーションを起こしていくことに期待したい。

近年で丸紅の働き方関連で話題になったのはやはり「15%ルール」だろう。発表された当初は、「副業なのに必須とするのはどうなのか」といった論調もあったが、実際は「副業」でも「必須」でもなく報道のミスリードになっている。やるべきことが決まっているルーティンワークや定型作業ではなく、業務改善・イノベーションに分類されるような取組みに、業務時間の15%程度を割こうというのが本来の取組みだ。「人間は期限いっぱいまでタスクに時間をかけてしまうもの」というパーキンソンの法則があるが、明確に15%という区切りを設定することで、メリハリをつけながらイノベーションを生み出す狙いがある。先述した女性の人材登用も含めた施策に一貫性があることも読み取れるだろう。

こうした取り組みは、人材確保の観点にも寄与している。世間の風潮として働き方が多様化し、副業解禁が推し進められている中で、単純な給与水準だけでなく働き方を重視している求職者も増えている。特に上位学生の場合は新卒カードでは大手に入っておきたいと考える者も多く、丸紅も十分ブランド力がある企業ではあるが、単純な給与水準では三菱商事を始めとした業界上位の企業を上回るのは容易ではない。新卒からベンチャー企業に入るという選択をせずとも、丸紅のような基盤がしっかりとしている大企業に属しつつイノベーションにも時間を割けるという働き方に魅力を感じる就活生は多いのではないだろうか。事実、2022年3月に社内で調査したエンゲージメントスコアは2020年と比較すると約10%向上しており、リモートワーク・フリーアドレス化といった施策もあいまって社員の満足度も高まっていると言える。中期経営戦略2024GCにおいては”Global Cross Value Platform”をキーワードとしているが、こういった非画一的な採用や働き方改革も「価値創造企業グループ」を目指すうえでの核となるだろう。

余談ではあるが丸紅では「丸紅コレクション」と呼ばれるアート作品を多数保有している。こういったところからも、即時的・直接的には利益をもたらさない部分を重要視し、クリエイティブな性格を持っているところも特徴と言えるのではないだろうか。

採用形態として、2021年からはキャリアビジョン採用を導入している。これは伊藤忠商事の先決め採用に近いもので、営業かコーポレートか・その中でもどの商材に携わりたいかを決めたうえで選考を受けることができる。ちなみに丸紅は年度にもよるが総合商社業界内では比較的コーポレート採用の割合が高いとも言われている。総合商社の事業領域の広さゆえ、配属の変動要因というのは非常に大きいため、やりたいことが決まっている就活生にとっては有益な選択肢の一つとなり得る。2019年からはナンバー1採用も導入しており、特定の分野で突出した成果を出した人材を評価する動きも進んでいる。

海外派遣制度については、総合商社他社と比較すると制度化されているものは少なく、国内の勤務が継続するというケースも多い。一方で、海外駐在員数は伊藤忠商事より上回っている年が多いことからすると、比較的キャリアを積んだ後に海外常住に向かうというモデルも比較的あり得るのかもしれない

人材育成の観点では、2021年度の延べ総合研修受講時間は170,000時間と、2020年度と比較して2.4倍程度にまで伸びた。産労総合研究所が発表した「2021年度教育研修費用の実態調査」によると、コロナ禍の影響もあり1社当たりの教育研修費用総額は2020年度と比較して29.9%減となっていた。育成の体制としては、一般的にメンター・メンティーという形を取る企業が多い中、丸紅ではトライアングルメンターの形を取り、部署や世代が異なる先輩社員からの指導を受けるという営みもある。こうした状況下でも人への投資を惜しむことなく継続して続けていることからも、全社的に能力開発を推し進めている方針が読み取れる。

選考情報

選考時期

内定者数

150人程度

内定者の所属大学、学部

東京一工、早慶、その他国立大

入社人数

150人程度

年収(新卒)

約550万円(一般的な残業代込み)

この先の閲覧には大学メールアドレスの認証が必要です

大学メールアドレスを認証する

企業情報

企業名 丸紅株式会社
設立日 1949年12月1日
代表者 代表取締役社長 柿木 真澄
本社住所 〒100-8088 東京都千代田区大手町一丁目4番2号
オフィス数 132拠点
(本社、国内支社・支店・出張所 12カ所、海外支店等 56カ所、海外現地法人 29社およびこれらの支店等 34カ所)
従業員数 4,379名(丸紅グループの従業員数 46,100名)(2022年12月現在)
資本金 262,947百万円