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企業説明

三菱地所の会社概要・活動内容

不動産業界の二大巨頭の一角を占める三菱地所。営業利益では首位の三井不動産を上回り、日本有数の地価を誇る丸の内エリア一帯を地盤に持つ総合ディベロッパーだ。同社のミッション「私たちはまちづくりを通じて社会に貢献します」が示すように、事業内容は街づくりの企画・開発から運営マネジメントに至るすべてに広がる。特に同社が力を入れているのは建物などのハード面だけではない、サービスやイベントなどのソフト面を含めた総合的な街の在り方を創造すること。地盤の丸の内エリアでの数々の試みと、そこでのノウハウを武器に今後も国内外への事業拡大を狙う。2030年には営業利益1500~2000億円増を目標としており、国内・海外ともに安定した成長を見込んでいる。

事業領域(ビジネスモデル)は主に下記4つのセグメントに分けることができる。

1.コマーシャル不動産事業
総資産の約70%、営業利益の60%超を担う看板セグメント。ビル事業とその他(アウトレット、ホテル、空港、物流施設等)に分けられる。
 1-1.ビル事業
 同社の総営業利益の約53%がビル事業によるもので、三菱地所最大の稼ぎ頭。ここから得られる安定的な収益が成長エンジンを担っている。丸の内エリアを中心に開発したビルの賃料や売却益、マネジメント費用などから構成される。
 1-2.その他コマーシャル不動産
 「プレミアム・アウトレット」に代表される商業施設、「ロイヤルパークホテルズ」に代表されるホテル事業、物流施設や空港事業から構成される。

2.住宅事業
分譲マンション、賃貸マンション、ノンアセット(管理運営)の3つの事業から構成される。「ザ・パークハウス」「ザ・パークハビオ」の両ブランドは高い評価を得ている。

3.海外事業
英国、アメリカ、アジア・オセアニアにそれぞれ支社を持つ。完全子会社化したロックフェラーグループやEurope Capital社のマネジメントも含め、各地域の事業総計で12%程の営業利益を構成している。

4.投資マネジメント事業
国内外で不動産投資信託のREITを運用。受託資産の増加、時価評価の高まりによって収益をあげる。

同社のポートフォリオで一番目立つのは、やはり丸の内一帯を中心としたビル事業による収益だ。三菱地所の歴史は1890年、当時三菱社の社長であった岩崎彌之助が、明治政府からの 要請を受け丸の内一帯を取得した時から始まる。当時、草が生い茂り原野と化した丸の内一帯を「ニューヨークやロンドンのようなビジネスセンター」にしたいという岩崎彌之助の想いが原点にある。そこから130年、今では「世界で最もインタラクションが活発な街」というコンセプトのもと、世界一を目指した丸の内の開発が続いている。創業者の「無から有を構想する」DNAを受け継ぐべく、未来視点かつ長期の街づくりが推進されている。

三菱地所の特徴や価値観

三菱地所の強みを端的に表現するとするなら「丸の内エリア一帯を有する地盤の強さと、長期にわたる同エリアの開発で得た知見」と言えるだろう。資金調達力や保有するアセットの多様さ、知名度などのハード面はもちろん強いが、業界1位の三井不動産と比べた際の特徴となると、やはり丸の内エリアにフォーカスしたい。単に良い土地を持っている事だけが強みではない。同エリアを世界一の都市にしたいと想う社員の結束力や、面で見た大規模かつ先進性の高い開発プロジェクト、ノウハウの効率的な海外展開など、丸の内から生まれる魅力は多様だ。以下では、同社の代表的な丸の内再開発プロジェクト「TOKYO TORCH」と、海外市場への参入に焦点をあてて、強みを具体的に掘り下げていきたい。

「TOKYO TORCH」プロジェクト
丸の内エリアとは大手町・丸の内・有楽町の3エリア(大丸有エリア)を指す。同エリアの開発自体は130年間続く三菱地所の基盤を成す事業だが、直近では2020年以降を「丸の内NEXTステージ」と位置付け、ポストコロナを見据えた未来型の都市を構想している。その中心を成すのが「TOKYO TORCH」だ。第1弾プロジェクト「常盤橋タワー」は2021年6月に竣工され、第2弾「TORCH TOWER」は2027年に完成を控えている。

常盤橋タワーにおいてはただの働く場所としてのオフィスではなく、「社員が出社したくなる『豊かな』空間を提供する」ことが目指された。これまでの週5日×8時間決められた場所で働くのが当然という価値観から、センターオフィス(=常盤橋タワー)をコミュニケーションコアとした多様な働き方を提案している。例えば就業者の共用カフェテリアラウンジ「MY Shokudo」は、食事は勿論、料理をしながらチームビルディングを行う等の先進的なコミュニケーションプログラム、サービスを提供している。自社のみならず他社の社員との交流も可能だ。このような、建物+αのソフト面、付加価値に力点を置いた開発が同社の方針であり強みでもある。

「TOKYO TORCH」の特徴をもう一つあげるとするなら、プロジェクトの長期的な視野と関わった社員の結束感だ。企画自体は2007年から本格スタートし、シンボルである「TORCH TOWER」は2027年の完成予定。その間、一貫して携わる社員は一人もいない。数十人の社員が前任者の想いを受け継ぎながら、自分のこだわりを持って仕事をする。1つの仕事に対して長期的に数十人が取り組むには、メンバーの熱量や見つめているゴールが一致している必要がある。丸の内から未来の都市の姿を発信したいという想い、それが企業価値を高めることに繋がるという価値観が強く共有されていること。ここから生まれる社員の結束感も同社の大きな強みだろう。

海外市場への参入
三菱地所の海外市場参入は1970年の米国法人の設立に始まる。それ以降、開発のみならず買収や投資も含めて欧州・アジア・オセアニアへ順次参入を果たしてきた。海外事業は売上高、ポートフォリオ構成比ともに国内1位の三井不動産を上回っており、三菱地所に一日の長がある。米国、欧州、アジアそれぞれの戦略はすべて異なる。米国では子会社のロックフェラーグループによる回転型の事業の拡大、欧州ではロンドンの8ビショップスゲートの再開発を中心とした大型開発プロジェクトの推進、アジア・オセアニアでは丸の内開発ノウハウを活かした複合施設の開発案件推進、とそれぞれだ。今後も国内の少子高齢化を背景に海外事業の拡大方針は続く。地域ごとに独自のノウハウを蓄積した開発案件と、日本で成功を納めているビル事業の着実な展開で2030年までに利益500億円増を狙う。

三菱地所の最近の動向

直近の企業活動として一番着目すべきは、前述した「TOKYO TORCH」で間違いないだろう。稼働を始めた常盤橋タワーに加え、日本一の高さとなる東京の新たなシンボルタワー「TORCH TOWER」が完成を控える肝入りプロジェクトだ。ここには三菱地所の丸の内に懸けてきた誇りや見据える未来が凝縮されている。同社の仕事が集積されているため、三菱地所に興味を持った方は是非、このプロジェクトを自分なりに調べてほしい。ここでは前述したこともあり、敢えて丸の「外」に目を向けてみたい。

「CO・MO・RE YOTSUYA」プロジェクト
「CO・MO・RE YOTSUYA」は丸の「外」における同社の主要プロジェクトの1つだ。2006年に四谷で再開発協議会が立ち上がり、UR 都市機構と三菱地所が協働して再開発に取り組んだ。四谷のランドマークになる高層タワーを中心とした複合施設に、三菱地所がそれまで培ってきた大規模開発ノウハウを活かして多種多様なアセットと緑豊かな景観が組み込まれている。だが、ここで注目したい仕事は企画やサービスではなく、地権者との関係構築だ。地盤ではないエリアの開発において地権者との信頼関係は最重要事項の1つ。しかも「CO・MO・RE YOTSUYA」の場合、地権者は1人ではなく公民入り混じった多数に渡る。それら地権者の要望を取りまとめるのは一筋縄ではいかない。UR 都市機構と協働することで、それをやり遂げた「CO・MO・RE YOTSUYA」プロジェクトは丸の「外」における同社のモデルケースになりうる。

空港事業
日本の空港事業は長らく国と都道府県が運営を行ってきた。2016年に初めて関西国際空港が民営化され、現在までに11都道府県、17空港が民間事業者に経営委託(空港コンセッション)されるようになった。三菱地所はそのうち北海道7空港を含む10空港の運営を担っており、民間事業者としてはパイオニア的な存在である。2018年4月、それまで新規事業創造部の1セクションだった空港事業が部署として独立し、現在は30名以上が在籍する空港事業部になっている。空港コンセッションは丸の「外」での事業であることはもちろん、新規事業から1つの事業部に成長を遂げたという点で注目されるべきだろう。魅力的なコンセプトを作り、商業施設を誘致してくる街づくりノウハウの展開だけでなく、国際線の誘致や空港間連携などのタフな調整・交渉が必要な仕事だ。同社は増加傾向にある空港コンセッションの更なる参入を目指している。

三菱地所での働き方・キャリア

三菱地所本体の従業員数は974名、例年は40名程度の新卒採用がある。総合ディベロッパーは人気業界だが、門戸は狭い。同社は就職四季報プラスワンの「入社するのが難しい有名企業トップ200社」で、集英社に次いで2位にランクインしている。一方、三井不動産と同じく入社した後の定着率は極めて高く、新卒が辞めない会社でもある。それはつまり、働く環境やキャリアが高水準に整備されているということだ。以下、キャリアと働き方(働く環境)に分けてその特徴をみていきたい。

キャリア
若手は基本的に10年で3部署を回るジョブローテーション制度に基づいてキャリアを歩み始める。部署によって特性は変わる。丸の内に代表される大規模な開発案件は注目度が高いし、住宅事業の回転型案件に携われば個人の裁量が大きくなる。経理や法務といったバックオフィスは会社の事業を俯瞰することができる。社内で連携する機会は非常に多いため、特に若手のうちは他部署の仕事にアンテナを張り、自分らしさを活かせる環境やキャリアを模索するのが良いだろう。三菱地所では人財に求める要素として、「志ある人」「現場力・仕事力のある人」「誠実・公正である人」「組織で戦える人」「変革を起こす人」の5つを掲げている。多様な事業部門やコーポレート部門を横断する人財育成スローガンだ。総合ディベロッパーの世界は一見華やかに見えるが、どの部門になったとしても大企業ならではの時間のかかる社内調整や、行政や地権者との協議・取りまとめなどの地味な作業が集積された仕事によって出来ている。自分なりに真摯な想いを持ってそれらの仕事に取り組んでいけるかがキャリアを築いていく鍵でもあるだろう。

2022年に公開されている三菱地所の平均年収は約1265万円、三井不動産とほぼ同額だ。少数精鋭の社員のため、トレーニー制度や海外研修制度、ビジネススクールへの通学など多様な教育機会がある。一度入社したならば、じっくりと腰を据えて働ける会社だ。

働き方
不動産業界のワークライフバランスは担当する仕事によっても大きく異なる。無論、新規事業や開発案件の推進に携わるのであれば、それなりに仕事をやり遂げる覚悟は求められると考えた方が良いだろう。そのような前提はあるものの、三菱地所では健康経営に関する取り組みを明文化しており、フレックス制度や早帰りデーなど社員の生活に配慮した制度が多くある。特に女性管理職の比率を上げるため(同社の目標は2030年度までに20%)に、今後も制度の設定のみならず、その運用に力を入れていく方針だ。

また、ワークライフバランス以外のところで2点紹介したい。1つは2018年に移転された新本社のオフィス。フロア間の壁をなくして部門間の交流をスムーズにする導線設計がなされ、階段や食堂でも社員のコミュニケーションが活発になるデザインが採用されている。ボトムアップから始まるオープンな社風の醸成を目指した取り組みで、この新本社自体が三菱地所の発信する未来のオフィスになっている。2つめは新規事業提案制度。社内ベンチャーを応援する仕組みだ。新事業のシーズを探し出すことはもちろん、従業員のキャリア支援のための制度でもある。会社と従業員の未来に向けた働き方が模索されている。

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企業情報

企業名 三菱地所
設立日 1937年5月7日
代表者 代表執行役 執行役社長 吉田 淳一
本社住所 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビル
従業員数 880名、連結:9,982名(2021年3月現在)
資本金 1,424憶1,426万円(2021年5月現在)