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企業説明

博報堂の会社概要・活動内容

博報堂は国内最大手広告代理店の一角を担い、電通と並んで“電博”と称されることもある日本を代表する大手企業である。採用ページ等では、「博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ」という記載を見かけることも多いが、両者は法人としては別組織であるものの、例年一括採用を行っており、人事交流も活発である。本記事では大元の「株式会社博報堂」について主に解説をする。尚、冒頭では未だによく使われるため「代理店」という表記をしたが、近年では単純な広告枠の販売代理というのは、広告業界のあくまで一要素に過ぎない存在になっていることから、「広告会社」という表記をしていく。

日本国内で広告が事業として登場し出したのは、おおよそ1880年頃からと言われている。博報堂の歴史は電通よりも深く、1895年に設立された東京広告代理店が起源とされている。創始者である瀬木博尚の「まず知ってもらうことが大事だ」「不当な利益を求めず、細く長く最小限の利益を得て、博くお客さまに奉仕報酬する」という思いは企業名の”博”の字にも込められており、長年博報堂が掲げている「パートナー主義」の考え方にも少なからず影響を与えていることだろう。また、パートナー主義と並んで博報堂がフィロソフィーに掲げている「生活者発想」についても、広告主・媒体社・ユーザーを含めた多様なステークホルダーを抱えている広告業界のビジネスにおいて、単なる「モノの売り買い」ではなく生活をよりよくする踏み込み方をしていく気概が読み取れるだろう。

2022年3月期の有価証券報告書によると、平均年収は1036万円と国内企業の中でもトップクラスの水準を保っており、「働きたい会社」「就職人気ランキング」といったランキングでも毎年のように上位に位置している。組織は大きく分けるとマネジメント統括・グループ戦略統括・デジタル統括ユニット・テクノロジー統括の4ユニットに分かれ、その下に業務ベースの組織が紐づいている。担当毎の組織形態に寄っている電通とはこの点で異なっている。

2003年に「博報堂」「博報堂DYメディアパートナーズ」「読売広告社」「大広」の持株会社として現行の博報堂DYホールディングスが設立され、業界トップをひた走る電通への追撃をはかった。広告会社では国際会計基準を採用し、取扱額を計上しない総収益が最も一般的な財務指標になるが、この基準に統一するとまだまだ電通とは差があるのが現状である。ショップジャパンの「ワンダーコア」や東京メトロの「Find My Tokyo」に代表されるような斬新な視点から生み出されるセールス・プロモーションを武器に、今後の事業動向により注目が集まる企業である。

博報堂の特徴や価値観

広告業界は、特定の媒体に特化した専門広告会社・関連会社の広告を専門的に担当するハウスエージェンシー等に分類されるが、国内で総合広告会社と言うと、電通・博報堂・ADKが頭一つ抜けた存在になっている。一部この3社以外との比較も入れつつ、総合広告会社内での特徴についてを中心に指摘していく。博報堂の特徴を語るにあたって、「スケールメリット」「インターネット広告」「クリエイティブ」の3つのキーワードをベースに見ていきたい。

一点目の「スケールメリット」について。広告会社の業務は、原料と投入し製品を生み出す生産工場のような、分かりやすいインプット・アウトプットの図式があるわけではない。そのため規模の経済性のイメージは湧きにくいかもしれないが、広告業界にも「大手だからこその強み」というのは複数存在している。もちろん規模感にもよるが、広告主からすれば何十社もの広告会社と取引を並べるのは現実的ではない。コミュニケーションコスト等の複数要因を鑑みると、一社や多くても数社程度の広告会社に発注する方が効率的になる。逆に言えば、それだけの体制を出してくれるだけの集中投下をすることが双方のメリットになるとも言える。その点、過去の媒体実績や豊富な体制を敷く大手広告会社だからこそ受注できる案件というのは数多く存在している。特にマージン比率が高いと指摘される日本国内においてはよりこの傾向は顕著になっていくだろう。もちろん“電博”としばしば言われるように、電通と比較すると業界2番手の博報堂はこの点でのメリットは活かしにくいことは事実ではあるが、総務省の日本標準産業分類で「広告業」に分類される企業だけでも20000社はゆうに超えることからも競争優位性があると言うことはできるだろう。

二点目の「インターネット広告」について。数値については後述するが、国内全体で見ると、広告費については15年間過去最高額を更新できていない。その中で、インターネット広告については近年高い成長率を維持しており、2019年にはこれまで花形であったテレビ広告を・2021年には広告四媒体(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞)の合計額をそれぞれ上回るまでの水準に至った。インターネット広告ではサイバーエージェントが業界トップを走っているが、この市場動向から見ても博報堂を始めとした広告会社も注力せざるを得ない存在となっていることは確実だろう。博報堂の直近の四半期決算(2023年3月期第一四半期)を見ても、インターネット領域売上高は約935億円と前年比6%超えの順調な成長を遂げている。インターネット広告に関しては、2018年のD.A.コンソーシアムホールディングス完全子会社化が大きな一手になったと言えるだろう。インターネット広告において、先述した博報堂フィロソフィーの「生活者発想」というのは広告四媒体以上に重要性を増すと考えられる。テレビに代表されるように、これまでは認知・販促共にいかにマス層に効率的に訴求するかというのが広告成果を出すうえでキーポイントとされてきた。例えばテレビ広告はもちろん絶対的な出稿費用は高いが、番組提供の形でマス層に訴求したい場合はむしろコスト効率が高いというのが業界サイドの見立てとされていたぐらいである。しかし今では、「男は働きに出て女は家庭を守る」といったような価値観も絶対的なものではなくなり、リモートワークも含めたライフスタイルの多様化が進行している。その点、「平日日中は主婦層しか家にいないから、オールタイムゾーンには主婦層向けの広告を打てばいい」といったような考えが通じる時代でも無くなっている。この点、広告に触れる存在を「生活者」として全方位的に捉え深く洞察する博報堂の特性は、今後インターネット広告の事業拡大をはかるにあたってより活かされていくことが期待できるだろう。これだけ技術革新が進みニーズも多様化する時代だからこそ、生活者発想のプレゼンスは高まっていくのではないだろうか。

三点目の「クリエイティブ」について。“電博”を語るにあたって、よく「電通は体育会系」「博報堂はクリエイティブ系」といった比較のされ方を見かける。「博報堂はクリエイティブが強み」と企業の特徴として語られることも多い。どちらかというと企業のイメージやことばが一人歩きしているような印象のある”クリエイティブ”というワードだが、では博報堂にとってのクリエイティブとは何か?クリエイティブ=創造的であることから、語源的には「これまでにないところから全く新しいものを創り出すこと」という意味に聞こえるかもしれない。一方、水島正幸取締役社長は「粒ちがいが集まり、ぶつかりあうことで、常識を打ち破る「別解」を提示していく。それが博報堂のクリエイティビティだと私は考えています。」と述べている。ここでポイントになるのは「別解」というキーワードだろう。もちろんこれまでない発想という側面もあるだろうが、既にあるものについてより多面的な見方をするという意味合いも「別解」には込められていると推測できる。例えばリオデジャネイロオリンピック閉会式で話題になった「安倍マリオ」の演出は電通出身の佐々木宏氏の企画によるものだが、考えも無いような発想から爆発的なインパクトを与えたあたりが「電通らしい」と言われることもあった。一方同じゲーム業界でも、Pokémon GOの初公開映像や5周年記念映像は博報堂が制作しているが、「なぜ私はPokémon GOをプレーするのか」を問いかけるという、まさに生活者視点に対する別解を提示する内容にまとまっている。このような別解を提示しそれを導く力こそが博報堂の特徴であり、クリエイティブにも反映されていると言えるだろう。

博報堂の最近の動向

広告業界全体の動向を掴むには、電通が毎年発表している「日本の広告費」の調査が参考になる。2021年のデータによると、日本の総広告費は6兆7998億円となっており、2020年と比較すると大幅に増加したものの、コロナ禍前の2019年(6兆9381億円)・過去最高額を達成した2007年(7兆191億円)の水準までには至っていないのが現状である。こうした状況下で動向を語るうえでキーワードになるのが、「海外進出」「DX」「インターフェース化」の3つになる。

一点目の「海外進出」について。博報堂が電通と比較して遅れを取っていると指摘される理由の一つにこの海外進出が挙げられる。単純な事業展開国数で見ても、電通は145カ国・博報堂は19カ国程度と大きく差がついている。こうした背景から海外進出を強化していくために、2020年4月の組織再編では、これまでの「海外事業ユニット」は「Hakuhodo International Unit」に名称が変更された。また、先述したD.A.コンソーシアムホールディングス完全子会社化だけでなく、

2022年2月デンマーク設計会社のArchitects Holding・2022年9月イギリスの戦略コンサル会社Lexington Limitedの株式をそれぞれ取得した。近年は特にコンサルティング会社の広告事業への参入は顕著になってきており、マッキンゼーの「McKinsey Digital」設置などはまさにその代表例になる。これは次のDXとも深く関わっている。

二点目の「DX」について。DXの推進は広告業界に限らず多くの業界でテーマになっているが、博報堂の場合も例外ではない。2022年2月のソウルドアイド社買収・2022年9月の楽天データソリューションズ株式会社設立辺りは、DX戦略推進を狙った側面が大きいと言えるだろう。

三点目の「インターフェース化」について。近年ICT技術の普及により、日常のあらゆるモノがインターネットとの繋がりを持つようになった。博報堂はこれらを相互に情報をやり取りする関係性として「生活者インターフェース市場」と名付けた。インターネット広告は広告四媒体と比較して、トラフィック分析や効果測定のしやすさが高いのが特徴である。インターフェース化の流れの中で、どうデータを取得しどう活用していくかというのは広告業界によってもより一層のキーポイントになることが予想されるだろう。また、近年ではライブボード社の設立に代表されるように、インプレッションをインターネット広告以外からも抽出する動きが以前よりは広がってきていることから、これまで博報堂が持っていた媒体領域に対してもインターフェース要素が高まってくることも考えられる。「発想から実装まで」をテーマに」1対1の広告打ち手にどどまらない統合型クロスメディアプロモーションを今後どう実現していくかは、今後の成長を見越しても重要になってくるだろう。

博報堂での働き方・キャリア

広告会社の主要となる職種は、一般的に営業系・クリエイティブ系・マーケティング系に大別される。博報堂も大枠はこの3つのどれかに当てはまることになる。新卒の段階から全ての部署に配属される可能性があるが、全社的に見ても6割以上が営業系(=アカウントエグゼクティブ職)に従事していることもあり、営業系のキャリアについては少なからず入社前から触れておくべきだろう。広告業界の特徴として、企画を練っていく段階では、どの担当がどの部分を考えるかについて、明確に取り決めがされていないことが多い。例えばデジタル部門に属しているからと言ってデジタル領域にしか口を出してはいけないというわけではなく、誰しもが立案者になる余地を持っている。そのため、自担当にとどまらず高いアンテナを保ち続ける姿勢が重要になってくると言えるだろう。例えば新卒就活の頻出設問である「学生時代頑張ったこと」でも、独自の視点やアイデアを出すにあたってのプロセスまで明確に伝えることがポイントになってくる。博報堂では早い段階から大規模案件に携わる可能性もある一方で、ディレクターまでは基本的に一律昇進するということから、いわゆるUp or Outのような厳しさはないと言えるだろう。組織体系では支社制を取っており、地方勤務になった場合は手当が支給される一方、比較的転勤は少ないライフスタイルになる。また、広告というのは人そのものが創り出すものであることからも、人的投資には積極的な印象がある。事実、人材育成のための教育投資額は2021年3月期には16.8億円に及んでおり、社内・社外問わず多様な研修も用意されていることから、文字通りクリエイティビィ人材を目指す人には選択肢の一つとして考えたいと言えるだろう。

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企業情報

企業名 博報堂
代表者 戸田 裕一
本社住所 東京都港区赤坂5丁目3番1号 赤坂Bizタワー