【3分でわかる】サイバーエージェント(CyberAgent) - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

企業説明

「IT企業は何をしているのか」と感じることがあるのはITの守備範囲がとてつもなく広くなったからでしょう。買い物も自動車の運転も仕事も子育てすらも、IT抜きでは難しくなっています。

株式会社サイバーエージェント(以下、サイバーエージェント)も、何をしているのかわからないIT企業であり、そしていろいろなことをしている会社です。

ただ多くの人がこの会社を知っています。それはサイバーエージェントがABEMAやウマ娘といった知名度が高いブランドを持っていて、創業者兼代表取締役の藤田晋氏がマスコミによく登場するからでしょう。

会社設立から四半世紀を迎えようとしていて、7,000億円企業になり、もはやベンチャーとは呼べない規模に成長したサイバーエージェントの正体を明らかにしていきます。

記事中のデータは2022年11月現在のものです。

サイバーエージェントの会社概要・活動内容

サイバーエージェントのビジネスは6つあり、内訳は3つの主力事業と2つの強化分野とその他です。

・3つの主力事業
メディア、インターネット広告、ゲーム

・強化分野
AI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)

・その他
新規事業の立ち上げ。プログラミングスクール、eスポーツ、ポイント事業、ファッションなど。
このうち主力3事業を確認していきます。

会社概要

  • 本社:東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers
  • 代表取締役:藤田晋(創業者)
  • 設立:1998年3月
  • 資本金:約72.4億円
  • 東証プライム市場に上場
  • 連結売上高:7,106億円(2022年9月期)
  • 連結当期純利益:242億円(同上)
  • 大株主(多い順):藤田晋17.60%、日本マスタートラスト信託銀行15.45%、日本カストディ銀行5.85%など

サイバーエージェントは東証プライム上場の7,000億円企業でありながら、筆頭株主が創業者になっている、オーナー企業色が強い会社であることがわかります。

メディア事業の特徴
サイバーエージェントのメディアは

1)インターネットテレビのABEMA
2)ブログサービスのAmeba
3)マッチングアプリのタップル
4)音楽配信のAWA
5)公営ギャンブルのネットサービスのウィンチケット

の5つです。特筆すべきはABEMAです。

ABEMAはインターネット経由で提供するテレビサービスで、映画、ドラマ、アニメ、音楽、スポーツなどのコンテンツを配信しています。注目すべきはニュース番組を持っていること。ニュース番組を持つには報道体制を構築する必要があり、どのメディアでも持てるものではありません。それだけにニュース番組を持つことで、メディアとしての「箔」がつきます。箔とは社会的な影響力の強さと、国民からの信頼度の高さのことです。
ABEMAがニュース番組と豊富なコンテンツを持つことができるのは、株式会社テレビ朝日ホールディングス(以下、テレビ朝日)が運営と経営に関わっているからです。
ABEMAを運営しているのは、サイバーエージェントの連結子会社の株式会AbemaTVで、同社はサイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資して設立されました。AbemaTVにはさらに電通と博報堂も出資しています。
このような強力な後ろ盾があるからこそ、ABEMAは魅力的で強いテレビ・メディアに成長したといえるでしょう。

インターネット広告の特徴
サイバーエージェントは創業当初から、インターネット広告事業を展開しています。インターネット広告は、インターネット・サービスの利用拡大や広告効果がみえやすい性質などから驚異的に成長しています。インターネット広告の広告費は2021年に初めて、新聞、雑誌、ラジオ、テレビから成るマスコミ4媒体の広告費を上回りました。インターネット広告の黎明期から投資を続けてきたサイバーエージェントは、この市場の成長の恩恵を大きく受けている会社の1つといえます。
さらに、ABEMAを使って広告主企業を紹介する番組やイベントを実施するなど、テレビ事業との相乗効果も生んでいます。

ゲームの特徴
サイバーエージェントはゲーム事業でも新しい時流に乗ることに成功しました。ゲームのトレンドが家庭用ゲーム機からスマホ・ゲームに移行するタイミングで、スマホ向けロールプレイングゲーム「グランブルーファンタジー」をリリース。このヒットにより一気に「ゲームのサイバーエージェント」の認知度を高めました。
さらにまったく毛色が異なる「ウマ娘プリティーダービー」というゲームをヒットさせ、ゲーム事業は経営の屋台骨に成長しました。

ゲームとメディアで集客して広告で稼ぐ
2022年9月期(2021年10月~2022年9月)決算における連結売上高と主力3事業の売上高は以下のとおり。
なお、主力3事業の売上高の合計額が連結売上高の7,106億円を超えていますが、これは連結以外の額も含まれていると推測されます。

 2022年9月期(2021年10月~2022年9月)決算
 連結売上高 7,106 億円 主力3事業の売上高 連結売上高に占めるシェア
 メディア事業の売上高 1,121億円 15.8%
 広告事業の売上高 3,768億円 53.0%
 ゲーム事業の売上高 2,283億円 32.1%

連結売上高7,106億円の53.0%に当たる3,768億円を広告事業で稼いでいます。サイバーエージェントはIT企業、インターネット企業である前に、広告代理店なのです。
連結売上高シェアの2位は32.1%のゲーム事業(2,283億円)で、メディア事業は3位の15.8%(1,121億円)でした。
ゲームもテレビも消費者への訴求力が強いので、広告主企業には魅力的に映るはずです。
しかもサイバーエージェントは、ゲームとテレビを広告の呼び水にするだけでなく、しっかり収益化しています。
この3本柱はかなり強固といえそうです。

サイバーエージェントの特徴や価値観

広告とゲームとテレビの3つの事業を同時に成功させている企業はサイバーエージェントぐらいなので、同社には同業他社はいないといえるでしょう。

しかし主力3事業のそれぞれにはもちろんライバル会社があるので比較してみましょう。

インターネット広告でライバルを圧倒
サイバーエージェントは広告業界では、インターネット領域に注力していることから専門広告代理店というジャンルに属します。
インターネット系の専門広告代理店には株式会社オプトがあり、同社は株式会社デジタルホールディングス(以下、デジタルホールディングス)の傘下にあります。そしてデジタルホールディングスの連結売上高は985億円(2021年12月期)でした。
サイバーエージェントの連結売上高は7,106億円で、そのうち広告事業の売上高だけでも3,768億円。「広告代理店サイバーエージェント」の規模の大きさがわかります。

ガンホーの倍以上
スマホ・ゲームでは、パズル&ドラゴンズなどのガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下、ガンホー)が知られています。同社の2021年12月期の売上高は1,046億円でした。
サイバーエージェントのゲーム事業の売上高が2,283億円(2022年9月期)なので、ガンホーの倍以上になります。

企業規模ではテレ朝を凌駕
テレビ朝日の2022年3月期の売上高は2,983億円で、サイバーエージェントのメディア事業の売上高1,121億円の2.7倍になります。
しかし本体で比べると、サイバーエージェントの連結売上高(7,106億円)はテレビ朝日の2.4倍になります。
以上のことから競合他社と比較するとサイバーエージェントは、インターネット広告とスマホ・ゲームでライバルを圧倒し、テレビ業界で存在感を強めつつある会社であることがわかります。

サイバーエージェントの最近の動向

オーナー企業や同族企業は、よくも悪くも経営が独断的になることがあります。創業者が代表取締役で筆頭株主であるサイバーエージェントの場合、その独断的な性質はよい効果を生んでいるといえそうです。

ワールドカップの全試合を無料配信
インターネットテレビのABEMA は2022年のサッカー・カタール・ワールドカップの全64試合を中継し無料配信しました。テレビ朝日が藤田晋氏に「ワールドカップを一緒にやりませんか」と打診して、それに応じたことで実現しました。
藤田氏が多額の費用を投じてこの大事業に取り組んだのは、ABEMAを「メディア」として成長させるためでした。ここでいうメディアとは、テレ朝やフジや日テレなどの在京キー局のような社会的影響力のあるメディアのことで、国民から信頼されるメディアのことです。
藤田氏がワールドカップ投資を決断したのは2021年暮れのことで、そのときは日本代表はまだワールドカップ出場を決めていませんでした。日本代表はその後、ワールドカップ出場を決めるわけですが、藤田氏は「きっとやってくれるはずだと信じていた」と振り返っています。
さらに元日本代表の本田圭佑氏が、「ABEMA・FIFAワールドカップ2022プロジェクト」のゼネラルマネージャーに就任。藤田氏は本田氏を「友人」と呼び、本田氏から「何かあったら手伝います」と言われていたことを思い出し、ゼネラルマネージャー就任を要請したそうです。
はたからみると「賭け」のようにみえる投資判断も、トップの人脈で著名人を起用することも、オーナー企業や同族企業が得意とする大胆な事業であり、ワールドカップの案件はその好例といえそうです。

サイバーエージェントでの働き方・キャリア

サイバーエージェントの働き方・働かせ方と、キャリア形成についてみてみましょう。

なお、サイバーエージェントの社員の平均年齢は34.1歳で、平均勤続年数は6.3年、平均年間給与は7,711,000円です。

健康的で効率的な職場づくりに熱心
サイバーエージェントは従業員の働きやすさを確保するために、ワークライフバランスの改善と健康施策に取り組んでいます。
2016年に、会社と従業員との対話を増やすために、健康推進室を設置。従業員1人ひとりの意思を尊重することを目指しています。
2020年には全従業員を対象にしたリモートワークを導入。
働き方改革では、ユニークな会議があります。

棚卸会議では、捨てる業務、やめる業務、形を変える業務を決めて、効率的で生産性が上がる職場環境を目指します。
雪かき会議は、チームのリーダーと健康推進室が協力して、労働時間を可視化。一部のメンバーに大きな負荷がかかっていれば、属人化を解消したり、業務の平均化を図ったりします。
従業員は月4回、無料でマッサージを受けることもできます。
サイバーエージェントは働きやすい職場づくりに熱心な会社といえそうです。

「成長したい」人向き
サイバーエージェントは、インターネット産業は大型の設備投資が必要ないため、人材が競争力の源泉であると考えています。そのため人材育成に力を入れています。
プロジェクトレポートは、チームのメンバー全員がマネジメント視点で組織の目標を考えて合意する取り組み。これによりチームに団結力が生まれます。また、若い社員にもマネジメント視点=経営者目線を持たせることで、成長を促すことができます。
全従業員は原則月1回、上長と1対1の面談を行い、課題と挑戦、決断と成果を振り返り成長につなげていきます。
所属している部署の在籍期間が1年を越えると、希望する部署への異動にチャレンジできます。これで人材配置のミスマッチを予防します。
社内研修は、トレーニングスキル研修、新任マネジメント研修、エンジニア向けゼミ制度とバラエティ豊か。
「成長したい」と思っている人を支援する制度がそろっています。

まとめ~新しいが手堅い

堅実でありながら大胆、華やかな事業を展開しつつも手堅い―サイバーエージェントを研究するとこうした印象を持つのではないでしょうか。

ABEMAの番組には在京キー局のテレビ番組に登場する芸能人が多数出演し、サッカー・ワールドカップの全試合を無料配信するという偉業まで成し遂げています。

しかもこうしたイベントは単なる「打ち上げ花火」でも「客寄せパンダ」でもなく、しっかり広告で稼いでいます。

ITビジネスやインターネット・ビジネスは比較的新しい事業であり、したがってサイバーエージェントは新興企業といえますが、その一方でレジェンド的ビジネスをしているテレビ朝日とがっちりタッグを組んでいます。

新しくて手堅いサイバーエージェントは稀有な企業といえるのではないでしょうか。

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企業情報

企業名 サイバーエージェント(CyberAgent)
設立日 1998年3月18日
代表者 代表取締役社長 藤田 晋
本社住所 東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers
資本金 7,203百万円(2021年9月末現在)