日本ロレアル

企業説明

日本ロレアルの会社概要・活動内容

ロレアルグループは110年以上の歴史を持つ、世界をリードする世界最大の化粧品会社だ。世界中で88,000人が働いている同社は、現在36のブランドを150カ国で展開しており、世界で最もマルチカルチャーなブランドコレクションを誇っている。フランスのオー＝ド＝セーヌ県クリシーに本社を構えるロレアルは、1909年にフランス人科学者のウージェンヌ・シュエレールが創設した。ボーイッシュなスタイルの短いブロンドヘアーが流行していた当時、ウージェンヌ・シュエレールは流行に合わせた画期的なヘアカラーを開発した。健康に害を与えない安全なヘアカラーを原点に、現在では、世界の多様な美の追求・要望に応えるべく、多くのブランドを保有するに至った。

グローバル企業として、世界各国のニーズや需要、伝統における違いを捉え、理解と尊重をし、世界中一人ひとりの消費者にオーダーメイドの美を提供して願いを叶える「ユニバーサリゼーション」を事業戦略としている。しかし、外資系企業としては珍しい事例だが、グローバルで統一した戦略を持ってはいるものの、オペレーションは分散している。各国のチームに権限が与えられることによって、すべての国において消費者に近く、共感しえる存在であることを実現してきた。また、この「ユニバーサリゼーション」戦略には、化粧品の開発・製造を各国で実施することも含まれており、あらゆる地域の消費者のニーズを満たしてきた。アメリカ、日本、ブラジル、中国、インドそして南アフリカといった戦略的市場に、それぞれ研究開発およびマーケティング拠点を置き、ネットワークを構築している。この他にも世界中に生産拠点を持ち、製品開発を補完することで、ロレアルは新しい革新的な技術を市場に迅速かつ効果的に提供することも実現した。

現在ロレアルではグローバルで展開するブランドを4つのディヴィジョンに分類している：プロフェッショナル・プロダクト（ケラスターゼ等）、コンシューマー・プリダクト（ロレアル・パリ、メイベリン・ニューヨーク等）、ロレアル・リュックス（ランコム、シュウ・ウエムラ等）、アクティブ・コスメティックス（ラ・ロッシュ・ポセ等）だ。110年以上科学的なアプローチで美容に変革をもたらしてきた同社は、今日も臨床試験を経た安全な商品を世界に提供している。

日本ロレアルの特徴や価値観

ロレアルは、創業者のウージェンヌ・シュエレールのDNA、すなわち科学的観点から社会を変えてきた企業だ。

有名なのは、1989年にすべての製品における動物実験を廃止していることである。これは、EUで動物実験が法的に禁止される14年も前で、動物実験の代替にEPISKIN （エピスキン）技術を用いて商品の安全性を確保した。 EPISKINは、成人ヒト表皮細胞を培養して作製したもので、特殊な培養方法により、正常な角化過程を経て正常な角層機能を持つ再生表皮が形成される。この技術は、ロレアルグループの生物学者が1983年に人の表皮を再現することに成功したことから始まり、現在まで30年以上にわたって研究がされてきたものだ。2010年にはアジア人の皮膚についても完全な再現が可能になった。EPISKIN技術によって、同社は生き物を犠牲にすることなく人間の皮膚のメカニズムを解明する研究を可能にしたのだ。

また、「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」という理念のもと、ロレアル財団と国連専門機関のユネスコは、世界の女性科学者の業績を称えるとともに、同分野で活躍する女性たちの更なる飛躍と地位向上を目的とした女性科学者を支援するプロジェクトを1998年に共同で創設している。女性の科学分野進出の現状について考えると、残念ながら世界における女性研究者の割合は33%で、日本における女性研究者の割合についてはさらに低く17%以下、女性ノーベル賞受賞者に至っては全体の4%以下である。

日本ロレアルの最近の動向

ロレアルの代表的な美容ブランド、ロレアル・パリは、業界のサステナビリティリーダーになるべく、まずは2030年までにCO2排出量を半分にすることを目標にしている。その中には、2025年までに同社のプラスチックパッケージを100%リサイクル可能、再利用可能、堆肥化可能にすることも含まれており、ヘアケアラインのエルヴィーヴでは、既に100%リサイクルプラスチックのボトルになっている。その他にも、全てのガラス製容器にリサイクルガラスを使用すること等、CO2削減に向けた様々なスモールステップと合わせて、科学的なアプローチの現在の状況もウェブサイトで公表している。これらの目標を着実に実現し、同社は2005年から2020年の間に工場と物流センターでのCO2排出量を82%、水の消費量を44%、廃棄物の35%削減を実現している。

また、同社の長年にわたるキャッチコピー「Because I’m worth it/Because We’re worth it」についても紹介したい。このキャッチコピーは、1971年に業界で初めて女性に「自分らしさに自信を持とう」という考え方を発信した。このメッセージが現在でも全く古さを感じないのは、残念ながら世界がまだジェンダーロールの固定観念を放しきれていないためだが、若い女性コピーライターによって生み出されたこのキャッチコピーは、1971年に発表されて以来40以上の言語に翻訳され、世界中のあらゆる年齢、あらゆるバックグラウンドの女性の、美しさや存在価値を後押しするシンボルとなっている。

日本ロレアルでの働き方・キャリア

日本ロレアルは、110年以上にわたり「美」の創造を使命としビジネスを展開するロレアルグループの日本法人だ。約2700名の社員を有し、リサーチ＆イノベーションセンターと製造工場の両方をもつグループの戦略的な拠点である。「すべての人生に、美しく生きる力を。世界を日本へ。日本を世界へ。」というビジョンのもと、多様なブランド通じて革新的な製品や持続可能な美しさを届けることを使命としている。同社は1963年、株式会社小林コーセー（現　株式会社コーセー）と提携し、サロン事業部を立ち上げて日本での事業を開始した。1983年にはアジア初の研究開発施設が東京に開設し、1996年に日本ロレアル株式会社が設立された。2006年に本社を新宿パークタワーに移転している。ロレアルグループではアジア太平洋地域などの新興市場が急激に伸びており、日本は世界第３位の規模を誇るビューティー市場として、また戦略的な創造拠点として重要な役割を担っている。

同社のキャリアで特徴的なのは、決まったキャリアパスがないことだ。多様性を尊重するロレアルでは、キャリアは個々人で考え、その時々の会社の状況の中で切り開いていくものと考えているため、キャリア形成に関してはスタンダードや原則はありつつも、個々人にあわせたのキャリアパスをつくることができる。入社後は、自身の選択した職種でキャリアがスタートし、まずは担当ブランド、カテゴリー、取引先、プロジェクトなどをリードし、より規模が大きく戦略的な仕事を担当したり、視野を広げるプロジェクトに携わっていくことによってキャリアを積み上げていくことになる。世界でも活躍できるようなプロフェッショナル人材を育てる“Go Global”というプロジェクトで、国内の優秀な人材を海外へ送り出すこともある。入社から1年間は新卒入社社員限定のテイラーメイド型OJT研修プログラムでサポートがある。

その他にも、様々な研修を通じて年次・ポジション問わず自ら積極的に成長する場が設けられている。世界各国の研修センターと連携した豊富な各種研修トレーニングでは、ビジネススキル向上を図る研修と職種特有の専門能力を磨く研修が受けられる。特に、スタンフォード大学が始めた、世界トップクラスの大学・企業の講演をオンライン上で受講できたことは魅力と言えるだろう。受講後は、資格として活用できる修了証が発行される。

またロレアルでは、社員が勤務日の 1 日を使って社会貢献のためのボランティア活動に参加することができる「 Citizen Day」 を2010年より実施しており、日本ロレアルも本取り組み開始当初から毎年実施している。2019年の第10回目となるCitizen Dayでは、ロレアルグループ合計27,600人の社員がボランティア活動を行い、61カ国の969の非営利団体を支援した。これは156,200時間のボランティア活動に相当する。

ワークライフバランスについてもフランスカルチャーの影響からか、個性の尊重とメリハリのある働き方も特徴的だ。例えば、通常の計画年休の他、月10日間までの在宅勤務制度、フレックスタイム制度（コアタイムは10:00-15:00）、プレミアムフライデー、ワーキングペアレンツサポート （労働時間の柔軟性および財政的支援）などが制度としてあり、傷病休暇を含まない有給休暇の取得率は凡そ64%と日本企業の平均値を大幅に上回る。フランスは有給休暇取得率が高い国で、日本ロレアルにおいても「働くときは働き、休むときは休むという」メリハリのある働き方を推奨していることが影響していると思われる。育児休暇の取得率は90%以上、育児休業者の復帰率も90%以上だ。

日本ロレアルでの男女の割合は、社内全体で男性4割女性6割である。またロレアルグループ全体のリーダーシップポジションの55%を女性が占め、2022年には5年連続でジェンダー平等な企業をランク付けするEquileap’s Global Gender Equality Rankingのトップ20に選ばれている。