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企業説明

日本経済新聞社の会社概要・活動内容

日本経済新聞社は、読売・朝日・毎日・産経と並ぶ国内全国紙5紙のうちの一つの「日本経済新聞」(日経新聞)やその他専門紙の発行、ウェブメディアの運営を主な事業としている企業である。ほか4紙は政治・経済・国際関係・社会・スポーツなどのニュース全般を幅広く扱う総合紙であるが、日経新聞はその名の通り、経済記事を主軸に置いている全国紙唯一の経済専門誌である。ニュースでよく目にする「日経平均株価」は日経新聞社が算出・公表するものであり、「NIKKEI 225」として海外でも広く知られている。

日経新聞の始まりは明治初期に発行された「中外物価新報」で、国内で最も歴史の長い新聞のうちの一つであり、2024年から新一万円札に記載が決まっているあの渋沢栄一もかつて重要な役割を務めていた。

各種媒体の紙から電子への流れは新聞業界にも影響を与えている。紙の新聞の発行部数の減少による新聞各社の業績悪化が顕著な昨今だが、日経新聞は電子版に力を入れており、向かい風の中でもその成果を出している。電子版の有料会員の会費は他社に比べても割高だが、唯一無二の専門性と日本全国の経済情報をカバーする幅広さのため、登録者数は国内ナンバーワンを誇る。金融業界を始め、ビジネスパーソンの間でももはや共通言語として扱われる日経新聞のプレゼンスは今後も揺らぐことは考えにくいだろう。事実同社が実施した調査によると、信頼できる・ステータス性がある・取引先との話題になる・ビジネスに役立つ・産業界に影響があるというイメージを同業他社と比較しても持たれているということが指摘されている。NIKKEIプラス1・NIKKEI The STYLE・THE NIKKEI MAGAZINEという関連発刊物に関しても合わせてターゲットを明確にしながら発刊している。

平均年収を始めとした社員の待遇面についても同業他社の中ではトップクラスを誇ると言われており、就活生からの人気は高い。募集枠は記者職・エンジニア・営業や総務など事務職の大きく3つに分けられる。日本経済新聞社に限らず新聞社全般に言えることだが、一般的にはこれら3つの間をまたぐような人事異動はそれほど多いものではない。編集局・営業局など局が違えば、まるで別の会社のように雰囲気や働き方も異なる。

また、記者職やエンジニアなどは基本的に土日出勤は当たり前であるし、深夜や早朝の勤務もある。さらに記者は入りたては日本全国の支局に行って、そこで記者のいろはを学ぶことになる。それから東京や大阪の本社に戻って記事を書くことになる。とにかく現場へのこだわりというのが記者職の特徴なのだ。そのため、どこか一つの部署にずっとい続けるということは記者職に関しては考えない方が無難だろう。一方でエンジニアなどは基本的に本社勤務であるし、営業や総務など事務職勤務時間や異動の傾向などはマスコミ以外の一般企業とさほど変わらない。新聞という一つの商材が完成するまでのプロセスで、どのような関わり方をしていきたいかを明確にしておく必要がある。

日本全体で紙の新聞の発行部数が今までにない勢いで減少し、行く末を案じられることの多い新聞業界であるが、その中でも日本経済新聞社は電子版では他社に比べてかなり奮闘していると言える。日経国際版も日本の新聞では例年海外最大の発行部数を誇っており、海外への意識づけも強い。また、海外の主要経済紙ともタッグを組み、全世界にネットワークを張り巡らせている。

日本経済新聞社の特徴や価値観

日本経済新聞社の特徴と言えば、やはり経済関係のニュースの高い専門性と太いパイプであろう。経済界の動向や企業の買収・合併・市場の浮き沈みなどについて幅広い業界をカバーしており、多くの企業の経営者や投資家などが記事に目を通している。そのため、経済界に与える影響も大いにあり、日経新聞のニュースがきっかけで株価が大きく変動することも多い。また、先ほども述べたように電子版に力を入れており、ほとんどの新聞社が紙の新聞では採算が取れなくなっているなか、日経新聞は有料の電子版が堅調なため、紙の新聞の赤字分を電子版の収益で補填する形になってはいるが、毎年安定した業績を上げている。

そして、海外進出に力を入れていることも特徴的で、海外支局数は大手の中で一番多い。日本経済新聞社はテレビ東京に対して出資している関係で強い影響力を持っているが、テレビ東京が報じる海外ニュースは日本経済新聞社の海外支局の記者がテレビ東京の分も取材していることが多い。さらに、日本経済新聞社とテレビ東京ということで言えば、テレビ東京の番組づくりに日経ならではの色が強く出ていることもあげられる。テレビ東京の代表的な番組である「ワールドビジネスサテライト」や「ガイアの夜明け」はどちらもテレビ東京の番組の中で一番知られた経済情報番組の一つであるが、当然日本経済新聞社の取材網や取材力を活用した番組であることは言うまでもない。この影響力の強さは、実際に日本経済新聞社とテレビ東京では日本経済新聞社の方が売上高が大きいことが影響している。このような関係は他の全国紙や全国ネットのテレビ局ではみられない関係だ。どのメディアグループも新聞社よりテレビ局の方が売上高が高く、テレビ局の方が力関係では上に位置するためだ。このことも日本経済新聞社の経営の堅調さを物語っていると言えるだろう。

日本のほぼ全ての新聞で部数減少が危惧されているなか、日経新聞は部数ではかろうじて横ばいに近い推移をを保っている。そこに電子版の購読者を含めてコンテンツの購読者として考えると、むしろ購読者数は伸びている方に入る。紙の新聞の部数減少が国内のみならず世界的な潮流である中、極めて珍しい傾向である。

購読者の経済状況をみていくと、世帯年収1000万円超が35%超、平均世帯金融資産が約2300万円というデータがある。世帯年収1000万円超は日本全体で見ても20%に満たないことから、これは読者が国内でも極めて高い購買力を持ち、当然ながら株式などの資産運用への関心も高いことも推測できる。これはすなわち、新聞社の主な収入源の一つである広告料にも良い影響を及ぼしている。高額商品などを販売する企業が広告を出したがり、広告単価も高くなるためだ。そこで優秀な人材の確保や取材等に投資することによって、正のスパイラルを起こしていくことが期待できるだろう。このような購読者の資産状況も日本経済新聞社の経営の堅調さを支える一翼を担っている。既存の新聞社や後発組がこの立場をおびやかすことは容易ではないだろう。

日本経済新聞社の最近の動向

日本経済新聞社は2015年に、イギリスに本拠地を置くフィナンシャル・タイムズを買収し、傘下に置いた。フィナンシャル・タイムズは「シティ(ロンドンの金融関係の企業や団体が集まる街。ニューヨークのウォール・ストリート、東京の兜町と併せて世界金融の中心地)の象徴」とも言われる最大手の経済メディアで、イギリス国内よりも国外の方が発行部数が多い。そのような大手を日本企業が傘下に置いたことは歴史上なかなか見られないことであり、新聞業界に限らず各業界にインパクトを与えた。この買収施策はデジタル化とグローバル化に大きな影響をもたらしている。

まず、フィナンシャル・タイムズはかねてデジタル化に注力しようとしていた企業であり、すでにデジタル化に力を入れて電子化において国内で一番成功していた日本経済新聞社が買収したことにより、自社のデジタル化をますます加速させ、フィナンシャル・タイムズにも好影響を与えることになった。フィナンシャル・タイムズは長いことデジタル化を課題としていたが、なかなかうまくいかなかった。そんな中で日本経済新聞社の買収後に伸び始め、ついにフィナンシャル・タイムズの有料サブスクリプション会員は100万人を達成した。このWin-Winの関係を築くというのは当時のコメントを見ても狙いとして組み込まれていたと推測できる。

また、日本経済新聞社が伸ばそうとしていたグローバル化には逆にフィナンシャル・タイムズ側が良い影響を与えることになった。全世界50都市以上に記者を派遣しているフィナンシャル・タイムズと日本経済新聞社の記者が連携をし、同社にとってこれまで以上に海外へのネットワークが広がる形となった。その結果、国内向けにより幅広い海外マーケット情報を発信できるようになり、投資家や経営者として活躍する購読者には必須の情報源となっている。より業界内での立ち位置を確固となるものにするためのきっかけとなることだろう。

このようなグローバル化、デジタルシフトは他の新聞社も目指しているところではあるが、どの社もそれほどうまくはいっているものではない。その理由としては昔、ほぼ全ての家庭で新聞をとっていた日本の事情とそうではない海外の事情が違いすぎる点が挙げられる。例えばメーカーのように海外のニーズに沿った商品を開発・展開していけばいいというものではなく、市場を根本的に変えていくことは非常に困難になる。日本の新聞社が海外に適応することはなかなか難しかったことがあげられるだろう。

しかし、日本経済新聞社のような経済専門誌は先ほどのフィナンシャル・タイムズのようにいくつか存在し、際立って多くない発行部数の中で1部あたりの単価をあげることによって専門性の高い情報を発信するという事情が共通していたため、他社に比べてグローバル化をスムーズに進めることができた。これは単なる総合新聞にはない強みになる。これにくわえてデジタル化も進めて速報性を高めることで、日本経済新聞社はクオリティーペーパーとしての側面をこれからも強くしていくことだろう。

日本経済新聞社での働き方・キャリア

新聞社は「職種のデパート」とも言われている通り数多くの職種が存在するが、冒頭でも述べた通り大きく分けて記者・事務・エンジニアといった職種別に採用をすることが多く、日本経済新聞社の場合も例外ではない。今後キャリアの流動性が高まっていく可能性自体は考えられるものの、入社後は本人のよっぽどの希望や事情がない限り、これらの職種間での異動というのは多くないのが現状だ。

記者職は取材記者・写真記者・校閲記者に分けられ、特に取材記者と写真記者は深夜早朝勤務、国内各地や海外への出張または転勤は当たり前なので、バイタリティーやガッツがないとなかなか務まらない職種である。

事務職は営業・事業・総務などがあり、基本的には東京または東京の本社へ勤務することとなり、勤務体制については他の一般民間企業と大きく変わらない。特に営業については、斜陽産業と言われている新聞業界でどのように業績を伸ばしていくかが今まで大きな問題であり、これからも重要な課題であるだろう。

システムは電子版や系列別サイトの保守運営・開発を行う部門と、紙面制作システムの保守運営を行う部門に分かれる。こちらは一般的なコンピューターの知識だけではなく、制作システム独自の機能や輪転機システムの知識も必要とされ、職人的な働き方が求められる。ただ、これは裏を返せば他業界や他社では通用しないスキルが身につくことを意味する。例えばSIER業界では、モダンな技術よりも特定のシステムに対する仕様理解が価値を発揮するというケースもあったりするが、これに近い感覚を言えるだろう。

このシステムの業務もしかり、記者の業務もしかりだが、新聞社の仕事は潰しがきかないと言われることが多い。たしかに、100年近く昔からある伝統的な業種ではあるが、それだけ歴史が長いがゆえに、現代社会とずれている部分や新聞業界だけで通用する特殊な事情などが業務内容含めて数多くある。そのような部分が他の業界では通用しないことが多いため、他社で経験として活かせる部分が少なくなりがちだ。もちろん、転職しない前提であれば全く問題ないのではあるが、この先どうなるか分からない新聞業界でそのような考えの人はごく一部であろう。そのため、潰しがきかないということも踏まえたうえで志望する職種を決める必要があるだろう。一方で、やはり日本経済新聞社の立ち位置というのは先述の通り新聞業界の中で頭一つ抜けたところがあるため、洞察力・ヒアリング能力等を活かしてキャリアアップしていった事例もそれほど少なくない。

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企業情報

企業名 日本経済新聞社