【3分でわかる】国土交通省(国交省) - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

国土交通省の概要・活動内容

「国民の命と暮らしを守る」が、国土交通省の使命であるとされています。国家公務員であるならば、この使命はすべからく持っていて欲しいところですが、これではあまりに抽象的ですので、もう少し具体を見てみます。国土交通省のホームページには、政策紹介として7つのストーリーを掲載しています。例えば、「まちづくり」です。地価の安い郊外や地方で住宅開発が進み、結果として市街地(まち)の面積は拡大し続けてきましたが、人口減少局面に突入した我が国では、市街地の低密度化が進行しています。具体的な問題としては、いわゆる中心市街地の空洞化などが挙げられます。商業はもとより、医療や福祉などの生活を支えるサービス産業が継続できない状況となり、それを補おうと政策を出動することにより、行政コストが嵩み、地方財政への影響も深刻になります。こうした状況においても、どうすれば人々が豊かに暮らせて、活気あるまちを創れるのか…これを考え実行することが国土交通省の仕事になります。

一例を挙げると、コンパクトで高密度なまちづくりを進めようという「コンパクトシティ」の制度や、東日本大震災から得た教訓や、昨今の猛烈な降雨が続くような異常気象への対応から進められている、まちづくりと災害対策の連携などがあります。これらまちづくりの他にも、移動手段(モビリティ)や物流の高度化、建設業の生産性向上、観光振興、物流の高度化、防災などが国土交通省の業務範囲となります。私たちの生活に欠かせないものをより良くしようと活動する国土交通省の業務について、解説していきたいと思います。

規模
職員は約56,000人、年間予算は約6兆円。設置は2001年で、それ以前は建設省、運輸省、北海道開発庁、国土庁などがありました。組織は大臣を頂点に、大臣官房と13の局、4つの外局などから構成されています。13の局は、総合政策局、国土政策局、不動産・建設経済局、都市局、水管理・国土保全局、道路局、住宅局、鉄道局、自動車局、海事局、港湾局、航空局、北海道局です。4つの外局は、運輸安全委員会と観光庁、気象庁、海上保安庁です。施設等機関として、国土交通政策研究所や国土技術政策総合研究所、国土交通大学校、航空保安大学校が、特別の機関として、国土地理院、小笠原総合事務所、海難審判所があります。地方支分部局として、北海道、東北、関東、北陸信越、中部、近畿、中国、四国、九州に地方運輸局が、同様に地方整備局が(北海道は北海道開発局を置く)、東京と大阪には地方航空局が、札幌、東京、福岡、神戸には航空交通管制部が設置されています。

沿革
2001年 中央省庁再編により、北海道開発庁、国土庁、運輸及び建設省を母体に国土交通省が設置される

業務範囲
国土交通省では、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、気象業務の発展並びに会場の安全及び治安の確保などを担う官庁とされています。政策目標として大きく5つが掲げられています。「自立した個人の生き生きとした暮らしの実現」「競争力ある経済社会の維持・発展」「安全の確保」「美しく良好な環境の保全と創造」「多様性のある地域の形成」です。

  • 「自立した個人の生き生きとした暮らしの実現」
    人々が自由かつ自発的に活動し、それぞれのライフスタイル、ライフステージを生き生きと安心して暮らす社会を実現するという大きな役割を、国土交通省は担っています。
  • 「競争力ある経済社会の維持・発展」
    国際的な競争力を有し、持続的に安定成長する経済社会の実現を目指しています。経済産業省と類似しているように感じますが、生産だけではなく物流や交通を含めて、トータルの経済競争力を維持発展を推進しています。
  • 「安全の確保」
    災害による被害の最小化、陸海空交通の安全確保や秩序と治安の維持など経済と国民の生活の基盤となる安全の確保に力を注いでいます。
  • 「美しく良好な環境の保全と創造」
    地球環境に関する様々な課題の解決に向けた貢献、良好な環境の保全・創出、国民が誇りを持てる美しい日本の形成を目指しています。
  • 「多様性のある地域の形成」
    地域の特性を活かした個性豊かな発展、地域間の相互補完を含めた自律的な発展を進めています。

具体的な業務
国土交通省と聞いて思い浮かべるのは、道路やダムの仕事かも知れませんが、それだけではありません。ソフトからハード、ローカルからグローバルまで、仕事の領域は多岐に渡っています。人口が減少し、少子高齢化が加速する状況に適応し、人々がより豊かで暮らしやすい国、頻発し激甚化する災害から命と財産を守る強靭な国(国土)を目指し、社会基盤の整備、そのデザインに取り組んでいます。国土交通省の業務は広範なため、ここでは「まちづくり」に関わる業務について例示してみます。

「安全を犠牲にした都市であってはならない」

皆さんの生まれ育ったまちの20年後を想像してみてください。駅前や商店街の様子はどうでしょうか。学校や病院、防災設備、まちの景観は十分に保たれていますか。そして何よりも、そこに暮らす人々は元気に暮らしていますか。日本は4人にひとりが65歳以上という超高齢社会を迎えるなど、暮らし方の変化に合わせて、暮らしの場となるまちも変わっていくものです。どのような生活空間が安全で快適な暮らしをもたらすのか…。国土交通省の職員は、目の前にある問題に捉われることなく、現場の声を聞き、調べ上げながら、まちを構成する箱モノや人々の活動としてのコト、そして産業までも一体的に創造しようと悪戦苦闘しています。暮らしの充実をもたらす政策の一つとして、国土交通省は日本全国のまちづくりを推進し、地方を活性化することにより、持続可能な経済社会の実現を目指しているといえます。

国土交通省の最近の動向

世界は今、脱炭素化に向けた取組を急ピッチに進め始めました。日本でも、2030年度までに、2013年度と比較して温室効果ガス(ほとんどが二酸化炭素)を46%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを実現しようという目標を掲げています。年間で12億トンを超える温室効果ガスを排出していますが、これを2050年には実質ゼロにしなければならないことになります。「脱炭素」「カーボンニュートラル」への挑戦は、産業構造や経済社会に変革をもたらすことから、企業活動においても脱炭素への対応は回避できない眼下の経営課題です。国では環境省が主体となり、脱炭素に関連する政策を展開、各省庁の政策も総動員して、まずは2030年の46%削減を目指している状況です。実は国土交通省の取り組みは、日本の脱炭素、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献するものと予想されています。物流では航空、鉄道、自動車、船舶の各分野での燃料転換、要するに二酸化炭素排出量の少ない燃料への転換の推進が不可欠ですし、港湾や空港、ビルや住宅においても、太陽光などの再生可能エネルギーの有効活用が進められなければなりません。さらには、二酸化炭素を吸収する森林や里山、海洋を含め、これらを所管するのが国土交通省であることから、日本の脱炭素化をけん引する「ダイナモ」かもしれません。このような状況は、30年前には想像できませんでした。あっという間に2030年や2050年はやってきてしまいます。地球の存続に関わる重大な取組である「脱炭素」と「カーボンニュートラル」は、国土という名の示すとおり、国土交通省が担うべき大切な業務なのです。

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企業情報

企業名 国土交通省(国交省)