同一労働同一賃金 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

同一労働同一賃金とは、同一企業内における正規雇用(正社員)と非正規雇用との間の不合理な待遇の差を無くすことを目的として施行された制度だ。

同一企業における通常の労働者(無期雇用・フルタイム社員)と、非正規労働者(アルバイトやパート・契約社員・派遣社員)の賃金を同一にしようと、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から導入された。

総務省によると、日本人における非正規雇用の割合は4割(統計局ホームページ/令和元年 労働力調査年報 (stat.go.jp))になっているが、時間当たりの賃金は正規雇用の約6割(参照元:平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp))にとどまっている。

同じ労働をしているのにもかかわらず、雇用形態だけで差があることに不満を持つ非正規労働者も少なくないだろう。非正規労働者が適正に評価され待遇が上がれば、労働に対するモチベーションが上がり、生産性の向上にも期待できるのだ。

同一労働同一賃金は、あくまで「正社員と非正規労働者の職務内容が同じ場合に適用される」ということが根底にある。

正社員と非正規労働者の職務内容に明らかな差がある場合は、同一労働同一賃金は適用されない。そのため、同一労働同一賃金を達成するためには、正社員と非正規労働者の職務内容を明確にする必要がある。非正規労働者からの要求があった際に、事業主は正社員との待遇差の内容・理由・待遇決定に際しての考慮事項を説明する義務が定められている。非正規労働者が納得できる説明がない場合、待遇を同じにする是正措置が求められるだろう。また、説明を求めた労働者に対して、不利益な取扱いをすることは禁じられている。

同一労働同一賃金を実現させることのメリットとして、労働参加率の向上などが期待できる。

非正規労働者でも納得できる賃金・待遇を得ることができれば、未就業者の労働意欲も高まるほか、人手不足の解決にも繋がるのではないだろうか。賃金の底上げにより個人消費が拡大し、経済を活性化させることも期待されている。

同一労働同一賃金のデメリットとしては、事業主側が同一労働同一賃金を進めることで、人件費が高騰してしまうという懸念がある。しかしながら、そのために正社員の賃金を下げるということは難しいだろう。また、待遇面において、福利厚生も対象のため、想定よりも経費が圧迫される可能性もある。

非正規労働者を多く抱えている企業は、人件費の高騰に注意しつつ、同一労働同一賃金を進めるという難しいかじ取りを迫られているのだ。