コンピテンシーモデル - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

コンピテンシーモデルとは、正しい活動を遂行する人や、難易度の高いタスクを完了させた人、社会の要求に応える能力を持っている人をモデル化したもの。最もシンプルな定義は、見本となる人物、である。

コンピタンスは、教育上、あるいは職業上の文脈で行動し、関係する他者と相互に影響を与え合う形で育まれるスキルであり、単に高度な知識を有していたり、ただ経験している期間が長かったりしているだけでは足りない。

ビジネスシーンでコンピテンシーモデルの構築が求められるのは、企業などが、高い実績をあげるハイパフォーマーを量産したいからである。コンピテンシーモデルという見本をつくることで、ローパフォーマーたちが真似ることができる。

また、企業が文章で自社の理念やミッションを掲げても、その本質を従業員に理解させることは難しいだろう。コンピテンシーモデルをつくり、それを社内で公表することで会社と経営者が求める人物像を、従業員が理解できるようになる。

コンピテンシーモデルを構築するときは、自社のハイパフォーマーをベースにしたほうがよい。なぜなら、一般的なコンピテンシーモデルを自社に持ち込んでも、そのモデルが有する能力が自社のビジネスにマッチするとは限らないからである。コンピテンシーモデルはオーダーメードでなければならない。だからといって、自社のハイパフォーマーをそのままコピーすればコンピテンシーモデルになるわけではない。例えば、他者を押しのけて営業成績をあげる者はハイパフォーマーかもしれないが、コンピタンスを有するとはいえないからである。コンピテンスと呼べる能力は、実績を生む行動力、専門知識、経験、スキル、技術、ノウハウ、基礎的な能力、人間性、寛容さ、倫理感などの総合力だからだ。しかし、コンピテンシーモデルをつくるときに、他者を押しのけて営業成績をあげているハイパフォーマーを、参考にする人物から外す必要はない。なぜなら、誰よりも優れた営業成績をあげている事実は、コンピテンシーモデルに盛り込みたいからである。コンピテンシーモデルは理想の人物ではなく、自社で到達できるモデルでなければならない。

コンピテンシーモデルをつるく作業それ自体が、社内で「我が社のコンピタンスとは」や「我が社のハイパフォーマーとは」といったことを考える切っ掛けになる。

そして、企業が大量に人材を採用するときに、事前にコンピテンシーモデルを設定しておくと、採用の基準になる。採用面接を担当する者が複数人になると採用担当者の好みで合格、不合格を出してしまうが、それでは戦略的な人事を行うことができない。社内でコンピテンシーモデルが確立していれば、すべての採用担当者が、コンピテンシーモデルに近い人物を選ぶことができる。