シェアリングエコノミー - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

シェアリングエコノミーは、直訳すると共有する経済となる。経済用語としては比較的新しいものだが、概念自体は古くからある。例えばレンタカーは、1台の自動車を複数人で使うのでシェアリングエコノミーである。貸別荘や貸衣装も同様である。そのため、現代的なシェアリングエコノミーは、レンタカーや貸別荘、貸衣装などのいわばレジェンド的なシェアリングエコノミーと区別して考える必要がある。

レジェンド的なシェアリングエコノミーの主な目的は支出を減らすことにあった。人生で数回しか着ないドレスを、多額の費用を支払って購入することは無駄な支出と考えることができる。それならば「他人が着たもの」ということを我慢して貸衣装を利用すれば、大幅に支出を抑えることができる。

一方、現代のシェアリングエコノミーの意義は、スマートな生活を送ることにあるだろう。モノがあふれたなかで暮らすことはスマートとはいえない。シェアリング・サービスを利用すれば、持たずに利用できる。

物欲が強いとどうしても所有欲が強くなりがちで、それがモノを増やすことにつながってしまう。したがって物欲や所有欲から解放されると「買わなくてよい、使えればよい」と考えることができる。シェアリングエコノミーは、消費者の志向が所有から利用に移った現象ととらえることもできる。

シェアリングエコノミーの対象は、モノや移動手段だけでなく、空間、スキル、マネーへと広がっている。

空間のシェアリングエコノミーでは、例えば、貸事務所からシェアオフィスへの変化がある。貸事務所はレジェンド的なシェアリングエコノミーで、シェアオフィスは現代的なシェアリングエコノミーといえる。シェアオフィスは1人でも短期間でも短時間でも狭いスペースでも利用できるので、より「シェア度」が高くなる。

スキルのシェアリングエコノミーには、家事代行、クラウドソーシングなどがある。家事代行は、かつての家政婦の進化版と考えることができる。クラウドソーシングとは、一時的、短期的にフリーランスの労力を購入する手法である。

マネーのシェアリングエコノミーは、クラウドファンディングが代表格といえる。クラウドファンディングでは、新製品を開発、販売したい人や企業が専用サイトで自身や自社の商品をPRして、不特定多数の人たちから資金を集め、資金を出してくれた人に新製品を譲渡する。資金提供を受けた人は、その資金を返済する必要がない。クラウドファンディングは事業を行うために資金を募っているので、構図としては株式投資と似ている。ただクラウドファンディングは、資金調達の方法が圧倒的に簡素である。また、個人が試作品レベルの商品を簡単に市場に問うことができる。新しい可能性や新しい価値を生んでいる点でも、クラウドファンディングはシェアリングエコノミーといえる。

シェアリングエコノミーが拡大すると、製造する製品の点数が減るので、経済を押し下げることになりかねない。しかし、より魅力的な商品やサービスが、早くかつ安価に消費者の元に届くことになるので、消費を喚起する効果も期待できる。