ランチェスター戦略 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

ランチェスター戦略は、弱者には弱者の戦い方があり、強者には強者の戦い方がある、と考える戦略術。第1次世界大戦時にイギリス軍が発案したといわれているが、現在はマーケティング戦略や販売戦略として認識されることが多い。

ランチェスター戦略の第1法則は弱者の戦略である。武器が同じなら兵隊の人数が多いほうが有利、という内容。弱者が強者と戦うとき、弱者と強者の武器が同じで、弱者の兵隊の人数のほうが強者のそれより少ないと、勝ち目はない。そうではなく、弱者の兵隊の人数のほうが少なくても、武器の質を高めれば強者に勝つことができる。弱者は局地戦、接近戦、一騎打ち戦に持ち込めば勝機を見出すことができる。

第2法則は強者の戦略である。1位の強者は、2位以下を引き離すことを考えなければならない。そのためには、量で勝てばよい。2位以下が武器の質を高めたら、愚直にそれを真似ればよい。そうすれば第1法則の「武器が同じなら兵隊の人数が多いほうが有利」に持ち込むことができる。強者は広域戦、遠隔戦、確率戦が有利である。

これをマーケティングに置き換えるとこのようになる。

<「弱者は局地戦、接近戦、一騎打ち戦で有利」をマーケティングに置き換える>
弱い企業は、商圏を狭くしてそこに営業資源を集中させたほうがよい(局地戦)。
弱い企業は、顧客により密接した営業戦略を取ったほうがよい(接近戦)。
弱い企業は、競合他社が少ない市場で勝負したほうがよい。可能なら、自社の他に1社しかない市場がよい(一騎打ち戦)。

<「強者は広域戦、遠隔戦、確率戦で有利になる」をマーケティングに置き換える>
強い企業は、全国規模の市場やグローバル市場で勝負したほうがよい(広域戦)。
強い企業は、広告を大量に出して、よさと強さを消費者にアピールしたほうがよい。個別に営業を仕掛ける前に勝負が決まっているようにしたい。直接販売と卸売販売の両方を強化する(遠隔戦)。
強い企業は、競合他社が多い市場や購買意欲が高い顧客を狙う(確率戦)。

ランチェスター戦略は、ある程度のビジネス経験がある人なら、直感的に合理的であると理解できるが、それが落とし穴になることもある。なぜなら、強い企業が強者の戦略を取り続けていると負けることがあるし、弱い企業が弱者の戦略を取り続けていると成長できないことがあるからだ。

強い企業がいわゆる大企業病に陥ると、市場での力を失うので、本来は弱者の戦略に切り替えなければならない。ところが大企業のプライドが邪魔をして弱者の戦略を取ることができないことがある。

弱い企業が、市場で存在感を示し始め、そして貯えが増えていたら、果敢に投資を行い強者の戦略を取り入れていかなければならない。商圏を広げたり広告を増やしたりして、見込み客を増やし、知名度を高めていかなければならない。なぜなら、優れた大企業は弱者の戦略も得意だからである。優れた大企業は、企業内企業を立ち上げたり、ベンチャー企業と協業したりして、ニッチ市場を狙っている。したがって弱い企業が弱者の戦略で勝ったとしても、その優位性が長く続くとは限らないので、営業力や販売力、ブランド力を強化する施策を打ち出していったほうがよい、といえる。