【自由化・電力】
電力自由化とは、旧一般電気事業者(東京電力、関西電力など)により独占されていた電力小売が2016年4月の法律改正により全面自由化され、さまざまな業種の企業が電力販売に参入することができるようになったことを指す。自由化により電力会社が独占していた市場を民間企業に開放し、料金やサービス内容など、会社ごとの特徴を生かして消費者へのアピールを競うようになった。ガス・石油会社、通信会社、鉄道会社、商社、ハウスメーカーなど、さまざまな企業が電気事業を運営できるようになっている。自由化後に新しく電力販売に参入した企業は、一般的に新電力と呼ばれている。
電力自由化の目的は以下の3つにある。
- 電力の安定供給を確保する
電力の供給網を地域に縛られずに整備することは、緊急時の電力の安定供給につながる。 - 電気料金を抑制する
自由化によって新しい企業が参入することで価格競争が始まり、電気料金が値下がりする。 - 企業の事業機会を拡大する
まざまな企業に電気事業というビジネス領域を与えることが、経済の活性化につながる。
【自由化・水道】
2018年12月に改正水道法が成立した。この改正では電気のように水道が完全に民営化され個人が自由に水道を選べるというものではない。水道事業はその公共性が高いことで、これまで競合となる民間企業も存在しなく、人々は自治体のルールや設備をそのまま利用してきたが、近年全国的に以下のような問題が表面化してきたことが理由で水道法が改正された。
- 水道管の老朽化による事業維持のためのコストの増加
水道管路の法定耐用年数は40年とされており、古く老朽化した水道管は交換していく必要があるが、高度経済成長期に整備された分の交換時期が現在多くなっており、いまだに全てが交換しきれていない状態のためコストがかさんでいる。 - 人口減少による水道料金収入の減少
少子高齢化や人口減少にともなって水道消費量が減少傾向にあり、水道料金の収益が減少している。収益が減少した分、コストや人員を削減せざるをえなく、現在水道事業の体制が弱体化している。
以上のような問題に対し、水道の基盤強化を図るため水道施設の所有権を自治体が有したまま、民間事業者にその施設の運営を委ねる公共施設等運営権方式に関する規定が盛り込まれている。
しかしながら、実際に公共施設等運営権方式を導入するか否かは、水道事業を運営している各自治体の判断に委ねられている。