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ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を取った言葉で、企業や経済や社会が注目すべき観点と理解されている。

ESG投資といった場合、環境、社会、企業統治を考慮した投資を意味する。それが株式投資であれば、環境問題に取り組む企業や、社会貢献度が高い企業、ガバナンスに優れた企業の株式を購入することになる。

最近は投資家がESGに注目するため、企業側も環境問題や社会問題を解決するビジネスに注力する必要があり、それに加えて企業統治を強化していかなければならない。企業統治には、社外取締役や社会監査役などの経営を監視する仕組みや、労働者の働きやすさを確保する働き方改革、法令順守などが含まれる。

日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に、投資にESGの視点を取り入れることなどを盛り込んだ国連責任投資原則(PRI)に署名したことを機に、ESG投資が広がっている。世界のESG投資額は2018年に3,100兆円に達し、全投資額の3分の1を占めるまでに拡大した。

多くの投資家は、ESGに取り組む企業は今後成長すると考えている。それは社会や経済環境の変化が激しいからである。気候変動や人口動態の変化、技術革新が世界を変えようとしている状況で、それに巻き込まれない企業は少ない。この文脈では、ESGに取り組むことは企業の生き残り策と同義になる。

また、課題を解決することに大きなビジネスチャンスがあると考えると、混沌とした社会でESGの観点から課題解決に取り組むことは、企業が事業を拡大したり新規のビジネスを始めたりする好機となる。

ESG投資が広がった背景には、短期的なリターンを追求する投資への反省がある。これまでの投資家は、企業の業績や売上高、財務状況を考慮して株式投資を行っていた。その結果、企業も投資も儲け主義に走ってしまい、環境や社会が置いてきぼりになってしまった。そして環境破壊や格差社会が広がり、金融危機が繰り返されてきた。つまりESGを無視した経営や事業は、社会や世界にとって大きな損失となりうる。ESGへの取り組みは、働く人による企業の選別にも関わってくる。日本企業の人手不足は年々深刻化していて、国が支援に乗り出すほどである。また、企業統治に失敗して不祥事を起こしたり、過労死を発生させたりしている企業は、働く人から選ばれない企業になってしまう。企業や経営者はESG経営を進めることによって、働く人から選ばれる企業に変わっていかなければならないだろう。