ゼロエミッション - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

ゼロエミッションとは、廃棄物が資源として活用され、廃棄物がゼロになる取り組みのことである。エミッションの意味は”放出”。1992年に開催された国連環境開発会議を受け、国連大学が1994年にゼロエミッション研究構想を提唱したことが由来となっている。ただ近年は、脱炭素やエネルギー問題の文脈でゼロエミッションという用語が使われることが多い。

経済産業省は企業に対し、「ゼロエミ・チャレンジ」に取り組むよう促している。このキャンペーンは、政府の革新的環境イノベーション戦略の1つのメニューになっている。同戦略には、1)新しい環境施策のコストをイノベーションによって社会実装可能なレベルにまで下げていく、2)世界全体で温室効果ガスの削減を進める、3)2050年までにカーボンニュートラルを実現する、4)そのために革新的な技術を確立する、5)パリ協定の長期成長戦略に掲げた目標を達成することなどが盛り込まれている。

経済産業省は、ゼロエミッションや脱炭素、カーボンニュートラルなどを実現していく領域として、A)エネルギー転換、B)運輸、C)産業、D)業務・家庭・その他・横断領域、E)農林水産業・吸収源、の5つを設定している。この5つの領域で進める行動をイノベーション・アクションプランと呼び、いずれも現在と将来のビジネスに深く関わっている。各領域の具体的な行動例は以下のとおりだ。

A)エネルギー転換領域
再生可能エネルギーを主力電源にする取り組み、水素利用の拡充、高効率かつ低コストのパワーエレクトロニクス技術による超省エネの推進など

B)運輸領域
グリーンモビリティや高性能蓄電池による自動車の開発、バイオ燃料航空機の拡充など

C)産業領域
水素還元製鉄技術によるゼロカーボン・スチールの実現、人工光合成を用いたプラスチック製造の実現、CO2を原料とするセメント製造、CO2吸収型コンクリートの開発など

D)業務・家庭・その他・横断領域
温室効果が極めて低いグリーン冷媒の開発、シェアリングエコノミーによる省エネ、テレワーク、働き方改革、行動変容の促進など

E)農林水産業・吸収源領域
ブルーカーボン(海洋生態系による炭素貯留)の追求、農林水産業における再生可能エネルギーの活用、スマート農林水産業の構築など

国土交通省は、国際海運温室効果ガス・ゼロエミッション・プロジェクトを推進していて、高効率プロペラを搭載した船や、水素やアンモニアなどを燃料にする船、AI(人工知能)やビッグデータを駆使して運航する船など、新しい船づくりにも取り組んでいる。