バイオマス - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

バイオマスとは生物由来の、再生可能な有機性資源のことである。bioは生物資源、massは量という意味であり、バイオマスに化石資源は含まれない。

バイオマスには1)廃棄物系バイオマス、2)未利用バイオマス、3)資源作物の3種類があり、具体的には次のとおりだ。

1)廃棄物系バイオマスの具体例
家畜排せつ物、食品廃棄物、廃棄紙、黒液(パルプ工場の廃液)、下水汚泥、し尿汚泥、建設発生木材、製材工場残材など
2)未利用バイオマスの具体例
稲わら、麦わら、もみがら、林地残材など
3)資源作物の具体例
サトウキビなどの糖質資源、トウモロコシなどのでんぷん資源、菜種などの油脂資源、柳、ポプラ、スイッチグラスなど

化石資源である石油は、一度利用すると再利用が難しいが、バイオマスは生命と太陽に由来するため、再利用が可能だ。植物は、太陽エネルギーと水と二酸化炭素を使って光合成を行ない有機物をつくる。動物がその有機物を食べ、排泄する。太陽エネルギーは半永久的に地球に注がれ、水と二酸化炭素は地球上で循環される。そのため、光合成からつくった有機物を資源にすることで循環が生まれ、再生可能になるというわけだ。地中から掘り起こし、燃やすことで二酸化炭素を増やす化石燃料とは対照的である。

バイオマスの領域で注目されているのは発電である。バイオマス発電で使われる資源は、二酸化炭素を吸収することで成長し、資源になっているため、バイオマス燃料による発電で二酸化炭素が発生してもプラスマイナス・ゼロになるという考え方だ。バイオマス発電は実質的に二酸化炭素を排出しないというこの考え方は、京都議定書でも承認されている。資源エネルギー庁はバイオマス発電について、1)家畜排泄物、稲ワラ、林地残材を資源にできるため農山漁村の活性化と持続的発展が期待でき、2)家畜排泄物や生ゴミなど、捨てていたものを資源として活用することで、地域環境の改善に貢献できる、としている。しかし、バイオマス発電で使われる資源は広い地域に分散しているという特徴がある。そのため収集、運搬、管理に莫大なコストがかかり、バイオマス発電の普及をさまたげている。

バイオマスの利活用を後押しするには、経済合理性を高める必要がある。例えば全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、廃油や植物を原料にした持続可能なバイオ燃料(SAF、Sustainable Aviation Fuel)の航空機への活用を推進するため協業している。両社は二酸化炭素の排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げており、両社がSAFを使うことで、自社の脱炭素ミッションの達成につながり、経済合理性が生まれるのだ。またSAFについては、国の機関である国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が製造技術の研究開発に関わっている。NEDOによると、世界のバイオマス・エネルギーのポテンシャルは、世界のエネルギー需要の1割に達するという。地球レベルの環境問題の解決において、バイオマスの普及は欠かせない要素となっている。