フードロス - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

フードロスとは、本来食べられるのに捨てられている食品のことである。食品ロスと呼ばれることもある。

日本の食品廃棄物などの量は2018年の1年間で2,531万トン。そのうち24%を占める600万トンがフードロス(食べられる食品)で、これは日本人1人が毎日茶碗1杯のご飯を捨てているのと同じ量になる。

フードロスには、事業活動で生まれる事業系フードロスと家庭で発生する家庭系フードロスがある。600万トンの内訳は、事業系フードロスが54%、家庭系フードロスが46%である。さらに事業系フードロスの発生場所をみると、1位食品製造業(21%)、2位外食産業(19%)、3位食品小売業(11%)、4位食品卸売業(3%)(計54%)となっている。

フードロスを減らすために、消費者は食べる分だけ買ったり、スーパーで賞味期限の順番に買ったりする必要がある。食品関連業者のなかには、中身の食品は傷ついていないのにもかかわらず、運送途中で商品を保管する段ボールが傷ついただけで買い取りを拒否する事例が報告されているが、こうした慣習をやめる必要もあるだろう。これらの対策はいずれも農林水産省が提唱している。それでも年600万トンものフードロスをゼロにすることは容易ではない。フードロスが生じるのは、食品を捨てたほうが経済的なメリットが大きくなるからだ。食品関連業者の利益は、フードロスによって支えられている。フードロスが発生したとしても、より多くの商品を販売することで売上高が伸ばすことができるほか、フードロスが生まれるほど商品のラインナップを充実させれば消費者の需要を喚起できる。この悪循環を断ち切るには、フードロスを減らすインセンティブが必要になり、農林水産省はその1つとしてフードロス削減に効果的なビジネスを提唱している。ITやAI(人工知能)を活用すれば、需要を予測して適時適量の製造・発注・仕込みすることが可能になり、季節外れのものや消費期限・賞味期限が迫った商品を売り切るシステムの構築や、仕込みすぎてしまった料理を売り切ることができる仕組みをつくることもできる。

スタートアップ(企業)の取り組みも注目されている。あるパン屋は、終業が近づいたときに売れ残りそうなパンをセットで割引して販売している。割引情報はパン屋がつくったスマホアプリで配信し、ユーザーはそのアプリ上でクレジットカードを使って支払いを済ませ、パン屋に商品を取りに行くだけで良い。この仕組みにより、これまで廃棄していたパンを売上にすることができるほか、割引パンを求める人が増えれば、顧客の掘り起こしにもつながる。

世界の飢餓や食糧事情を持ち出すまでもなく、食べ物を捨てることは「良くない」ことだろう。フードロス削減の運動は国民レベルで広げて考えていくべきだ。