脱炭素 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

脱炭素とは、地球温暖化の原因になっている炭素を減らす取り組みのことである。炭素とは元素記号Cの無味無臭の固体のことで、石炭やダイヤモンドとして存在しているが、脱炭素の取り組みでターゲットになるのは主に二酸化炭素である。

地球温暖化を促進する温室効果ガスには二酸化炭素以外にもメタン、一酸化二窒素、フロンガスがあるが、人為起源の温室効果ガスの総排出量の8割は二酸化炭素である。

脱炭素は「炭素を減らす」ことを示すのみであるため、かなり広い概念であり、スローガンのようなものといえる。したがって脱炭素だけでは、社会や国民や企業などの目標になりにくい。脱炭素の考え方をより具体的にしたのが「カーボンニュートラル」である。カーボンの意味は炭素、ニュートラルは中立という意味だ。

日本政府は2020年に、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。この用語の使い方からも、カーボンニュートラルが具体的な目標で、脱炭素が最終目標、または理想の姿であることがわかる。この宣言のポイントは「温室効果ガスの排出を”全体”としてゼロにする」としている点である。つまり「温室効果ガスの排出をゼロにする」とはいっていない。温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素の排出をゼロにすることは、人類が生きていく以上ほぼ不可能である。しかし人類の英知を結集すれば、二酸化炭素の排出を「全体として」ゼロにすることは可能である。全体としてのゼロとは、排出量から吸収量と除去量を差し引いた数字をゼロにするということで、二酸化炭素の吸収技術と除去技術が人類の英知となる。例えば、植林を行うと植物が行う光合成によって二酸化炭素が消費されるため、大気中の二酸化炭素が減る。これは二酸化炭素の吸収と考えることができる。また、二酸化炭素回収・貯留技術(CCS技術)を使えば、発電所や工場などが排出した二酸化炭素を地中深くに貯留することができる。これもまた二酸化炭素の除去になる。

ただ、吸収技術と除去技術は開発途上にあり、地球温暖化を食い止めるほどの能力を有するにはまだまだ時間がかかる。そこで世界には、やはり二酸化炭素の排出を大幅に減らすことが求められる。石炭火力発電やLNG火力発電は大量の二酸化炭素を排出するので、これらの代わりに再生可能エネルギーを活用すれば、カーボンニュートラルに貢献することができる。また、二酸化炭素を出しにくい社会インフラを作っていくことも重要な課題になる。