【3分でわかる】森・濱田松本法律事務所 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

企業説明

森・濱田松本法律事務所は国内5大法律事務所の一角を占め、さまざまな法律事務所ランキングで必ず上位にランクインする実力を有しています。同事務所のミッションは、企業活動に必要なあらゆる法分野をカバーすることであり、つまり企業案件、ビジネス案件を専門にしています。刑事事件や離婚や債務整理などを扱う法律事務所ではありません。ビジネス・サポートでは海外業務を強みとして、アジア各国に拠点を設けています。特に中国ビジネスには30年の経験があります。大学で法学を学び、弁護士資格の取得を目指している学生にとって、同事務所は憧れの就職希望先になっているのではないでしょうか。そこでこの記事では、同事務所の概要や業務内容、最近の動向などについて紹介します。

記事中のデータは2022年12月現在のものです。

森・濱田松本法律事務所の会社概要・活動内容

森・濱田松本法律事務所の業務領域は以下のようになっています。

M&A、コーポレート・ガバナンス、争訟/紛争解決、競争法/独占禁止法、規制法対応/取引、事業再生/倒産、税務、ファイナンス、ウェルス・マネジメント/相続・事業承継、労働法務
IT/ライフサイエンス/知的財産、ヘルスケア/医療/薬事、フィンテック、インフラ/エネルギー
国際業務、通商法

これらの業務領域のうち、M&A、コーポレート・ガバナンス、紛争解決、独占禁止法などは、一般的な企業系法律事務所も手掛けている業務といえるでしょう。その一方で同事務所は、IT、ライフサイエンス、医療、フィンテックといった高度な専門知識を必要とする業務にも幅広く対応しています。また、国際業務や通商法など、海外業務や貿易に関わる法務ニーズにも対応していて、グローバル展開している企業には同事務所は頼りになる存在のはずです。

事務所概要
森・濱田松本法律事務所の概要を紹介します。少し複雑なのですが、「森・濱田松本法律事務所」といった場合、「森・濱田松本法律事務所」と「弁護士法人森・濱田松本法律事務所」という2つの事業体が業務提携契約を結んで共同事業を行っている状態のことを指します。しかも2つの事業体の住所は同一です。なお「単なる法律事務所」と「弁護士法人」の違いは法人格の有無になります。

  • 開設:2002年12月(前身は1971年開設の森綜合法律事務所)
  • 住所:東京都千代田区丸の内2丁目6番1号丸の内パークビルディング
  • 東京以外の国内拠点:大阪、名古屋、福岡、高松
  • 海外拠点:北京、上海、シンガポール、バンコク、ヤンゴン、ホーチミン、ハノイ
  • 弁護士の人数:計715人
  • 内訳:日本法の弁護士563人、外国法の弁護士152人
  • 税理士と弁理士:計7人

同事務所の起源は1971年開設の森綜合法律事務所です。森・濱田松本法律事務所は2002年に、森綜合法律事務所と濱田松本法律事務所が統合して誕生しました。弁護士法人森・濱田松本法律事務所は2013年設立。所属する弁護士の人数は、日本の弁護士制度の弁護士と外国の弁護士制度の弁護士を合わせて715人。これは国内最大級の規模になります。東京、大阪、名古屋、福岡に拠点を置く法律事務所はいくつかありますが、高松に置くところは大手では珍しいでしょう。海外拠点はアジアが中心で、欧米には拠点がありません。

特徴的な業務その1「海事法務」
資源に乏しい日本は、生産したものやサービスを外国に販売して外貨を稼いでいますが、日本は島国なので海外ビジネスは必ず海を越える必要があります。そのため、グローバル企業は海事法務のサポートが必要になります。同事務所は船舶金融(シップ・ファイナンス)を数多く手掛けてきました。海運事業に関わる企業は船舶の調達に多額の資金を必要とします。しかし外国企業との取引はどうしても法的リスクが大きくなりますし、海運関連の税制は複雑です。船舶を含むアセットに関わるファイナンスや、オペレーティング・リース案件、ファイナンス・リース案件などに携わってきた同事務所は、貿易に関わる会社の心強い味方になるはずです。また、船員たちが担う海上労働は孤立性、自己完結性、危険性、職住一致という特殊な事情があることから、関連企業は船員法や船員災害防止活動の促進に関する法律、船員職業安定法といった特殊な労働法を遵守しなければなりません。海事法務が得意な同事務所は、船員の人事労務業務でもさまざまな形でサポートが可能です。

特徴的な業務その2「知的財産権法務」
同事務所は、特許権、商標権、著作権、営業秘密といった領域の訴訟や仲裁を得意としています。また、企業がせっかく大きなビジネスチャンスをつかんでも、ライセンス契約や技術移転契約、共同研究開発に関わるルールづくりといった法務に失敗すると果実を得られない可能性があります。同事務所は知的財産権に関わる法務スキルを駆使して、企業のビジネスチャンスを結実させ、相応の報酬が得られるようサポートします。最近はNFT(非代替性トークン)やメタバースといった領域にもいち早く進出しています。

森・濱田松本法律事務所の特徴や価値観

森・濱田松本法律事務所が、他の国際法律事務所と差別化できる特徴の1つに、中国法務があります。同事務所は、日本企業の中国進出ラッシュに沸いた1990年代前半には中国で業務を始めています。北京オフィスは1998年に設置、上海オフィスは2005年に開設しています。中国は日本にとって、最大の貿易相手国というビジネス・パートナーでありながら、米中貿易摩擦の当事国という取り扱いが難しい相手でもあります。民間セクションも、最重要製造拠点でありながら、目まぐるしく変わるビジネス・ルールに翻弄される難しい市場という2面性を持ちます。同事務所は中国ビジネスと中国法務のよい面も悪い面も熟知しているので、日本企業の中国での会社設立や企業買収、証券投資、労働問題解決、独占禁止法対応などのサポートができます。また、日本企業が中国から撤退するときも、同事務所が関連案件の処理を手伝います。同事務所の弁護士のなかには、日本経済新聞の中国関連ニュースのなかでコメントを求められている弁護士もいます。つまり同事務所の中国に関する知見は、プロの経済ウォッチャーから信頼されるレベルであることがわかります。

森・濱田松本法律事務所の最近の動向

森・濱田松本法律事務所の最近の動向を確認していきましょう。

「頼りがいがある法律事務所」3位
日本経済新聞は毎年、企業の法務担当者に「頼りがいのある法律事務所」アンケートを行っていて、同事務所は2022年ランキングで3位を獲得しました。1位:長島・大野・常松法律事務所、2位:西村あさひ法律事務所に次ぐ快挙なのですが、森・濱田松本法律事務所は前年は2位だったので、惜しい結果ともいえます。企業の法務担当者が同事務所を評価したポイントは「幅広い分野に対応できる」力でした。

グリーンボンドの発行をサポート
NTTファイナンス株式会社(以下、NTTファイナンス)は2021年に、無担保普通社債のグリーンボンドを発行しました。これを同事務所がサポートしました。グリーンボンドは、企業が環境施策に関するプロジェクトを行うときに使う資金の調達手法で、「グリーンボンド」という名称の債券を発行します。NTTファイナンスがグリーンボンドで調達する資金は3,000億円で、事業会社が1回で発行するものとしては世界最大規模。実に国内外235社・団体がこのグリーンボンドを購入しました。NTTファイナンスはこの資金を5G関連や再生可能エネルギーなどのプロジェクトに投資していきます。利率は10年債で0.27%。同事務所は、新しい投資に挑戦する企業をサポートすることで、環境問題にコミットしています。

森・濱田松本法律事務所での働き方・キャリア

森・濱田松本法律事務所の働き方・働かせ方とキャリア形成の特徴を紹介します。

新人研修に英語研修を含めている
新人弁護士が同事務所に入るとまずは新人研修を受けることになり、ここには法務の講義の他に英語研修が含まれています。これは同事務所がグローバルに活躍できる弁護士の育成に力を入れていることを示しています。なお英語研修は新人研修が終了しても行われ、毎週、ネイティブ・スピーカーの1対1レッスンを受けることもできます。

ジョブ・ローテーションで総合力を身につけさせる
大手法律事務所の育成方針には大きく、専門性を高めるプロフェッショナル型と、総合力を身につけさせるゼネラル型の2つがありますが、同事務所が重視するのは後者です。それを象徴するのがローテーション制度です。若手弁護士は、一定期間ある専門分野の仕事で経験を積んだあとに、別の専門分野で一定期間仕事をします。例えば、6カ月間M&A業務をしたあとに、6カ月間金融取引に従事する、といったようにです。6カ月でのジョブ・ローテーションは、事業会社では滅多にみかけないものであり、相当ハードな内容のはずです。同事務所が総合力を重視するのは、社会と経済が複雑化するなかで、企業案件を抱える弁護士に専門性と総合力の両方が求められるからです。専門分野は自助努力で高めていくことができますが、総合力を身につけるには組織のサポートが必要になります。

32のプラクティス・グループ
同事務所のプラクティス・グループ制度を紹介します。これをあえて和訳すると「業務領域別グループ」となるでしょうか。プラクティス・グループは、会社法やM&A、ベンチャー、情報・通信、通商法、訴訟、SDGsなど32の業務領域にわかれていて、それぞれのグループにその領域に精通した弁護士が在籍しています。プラクティス・グループに所属する弁護士たちは、自分たちの専門領域の最新情報や、判例や法改正の情報を集めたり、勉強会や研究成果発表会を開いたりしています。所属弁護士はいずれかのプラクティス・グループに属することになります。そして、これは同事務所のユニークなところなのですが、弁護士は自身の関心に応じて複数のプラクティス・グループに登録することができます。自分の頑張り次第でいくらでも成長できる環境が用意されています。そしてここにも専門性を高めつつ総合力を磨く育成方針が宿っています。

まとめ~ワンストップのために「真の総合法律事務所」になる

森・濱田松本法律事務所は自分たちを「企業活動に必要なあらゆる法分野をカバーする専門家集団」であり「真の総合法律事務所」であると自負しています。同事務所がこの姿になったのは、クライアントである企業が、法律事務所にワンストップ・サービスを求めているからです。つまり今は、どのような企業案件、ビジネス案件にも対応できなければ総合法律事務所として存続できない時代なのです。IT企業が金融サービスを提供したり、家電メーカーが電気自動車をつくったり、プラントメーカーがITソリューションを手掛けたりする時代なので、企業系法律事務所に総合力が求められるのは当然の流れといえます。

同事務所が所属弁護士たちの総合力を高めようとしているのは、現代にマッチした法律事務所づくりに欠かせないからでしょう。

企業情報

企業名 森・濱田松本法律事務所