【3分でわかる】農林水産省(農水省) - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

農林水産省の概要・活動内容

「生命(いのち)を支える「食」と安心して暮らせる「環境」を未来の子供たちに継承する。」

これは農林水産省のミッションですと、現在の農林水産省事務次官の枝元真徹氏がホームページで紹介しています。農林水産省は、国民の生活に必要な食料を供給するとともに、地域の経済社会を支えています。農業が基幹産業である地域はいまだに多いものです。

昨今、日本の食料自給率が低下しているとの報道がされています。食料自給率は、日本全体に供給された食料に占める日本国内で生産された食料の割合を指しますが、指標を「量」とするのか、「カロリー」とするのかで自給率が大きく変わります。令和元年度の供給額は15.7兆円で、国内生産額は10.3兆円だったため、食料自給率は66%となります。他方、カロリーで見ると、38%となります。また、品目別に見るとさらに特徴があり、日本人の食生活が変化して、お米の消費が減少し、輸入の多い肉類や油脂類の消費が増えたことが、自給率の低下に直結していると言われています。

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻により、食料自給率への関心が高まっています。平和な世であれば、自由に貿易を行うなかで、良質で安価な食料が流通するのは何の問題もありませんが、有事や異常気象や災害などにより、予定した生産や円滑な流通が不可能な場合を考えると、食料自給率を高めることは眼下の課題であり、また、安定した「食」の提供は、国民の生命を支え守ること、そして何よりも暮らしの安心をもたらすことに他なりません。

以下、私たちの生活基盤の維持に大きく関わる農林水産省の業務について、解説していきたいと思います。

規模
職員は約20,000人、年間予算は約2兆1,000億円。設置は1978年で、それ以前は農林省と称されています。組織は大臣を頂点に、大臣官房と6つの局、2つの庁などから構成されています。
6つの局は、消費・安全局、輸出・国際局、農産局、経営局、農村振興局、畜産局。2つの庁は、林野庁と水産庁です。施設等機関として、植物防疫所や動物検疫所、動物医薬品検査所、農林水産研修所、農林水産政策研究所などが、特別の機関として、農林水産技術会議、食育推進会議などもあります。地方支分部局として、7つの地方農政局と北海道農政事務所があります。

沿革
1881年 農商務省が設置される
1925年 農商務省が分割され、農林省と商工省となる
1943年 農林省が廃止され、農商省と軍需省が設置される
1945年 農商省が農林省となる
1948年 水産庁が設置される
1949年    農林省設置法に基づく農林省となる
     食糧庁と林野庁が設置される
1978年    農林水産省に改称される

業務範囲
農林水産省では、食の安全確保と安定供給、農業経営の安定、農業構造の強化、農山漁村地域の活性化など、幅広い取組を行っています。
近年、海外でブームの「和食」を好機ととらえて、農林水産物、食品の輸出拡大を狙ったり、AIやDX、ドローンなどの最新技術を農業や企業の現場に実装したりするほか、農山漁村の美しい風景や豊かな食材などの地域資源を活用し、外国人観光客などを呼び込むなど、農林水産業の成長に資する取組を複合的に進めています。
多くの省庁は政策分野が限定的ですが、農林水産省は「食」をキーワードに、産業政策、地域振興、インフラ整備、文化、外交、環境政策など、幅広い政策分野を総合的に担うため、「総合政策官庁」と呼ばれています。

具体的な業務
では、具体的にはどのような業務が行われているのでしょうか。農林水産省の業務は広範なため、ここでは「農地と農業者」にスポットを当て、その業務の一端を事例として紹介します。

「農業従事者の減少・高齢化と農地の減少」
農業従事者の平均年齢は67歳であり、毎年、確実に高齢化しています。農地面積も50年で25%も減少しています。新規就農者は、2万人程度で推移していますが、日本の農業が持続可能なためには、少なくとも離農者と同数の就農者が必要です。
若者が就農しない理由は様々ですが、それを一つずつ解決していかないことには、日本の農業、食糧自給率の向上、食の安定供給は達成できません。ここに、農林水産省の政策を講じる領域が広がっています。農業が魅力ある仕事であるためはどうしたら良いのか…言い古された言葉を使えば、「稼げる農業」もその一つです。農業で1,000万円を稼げるようにすれば、機械やITを駆使して生産効率を飛躍的に高めることができれば、それも夢では無くなるはずです。
日本の農林水産業が魅力ある仕事として若者の目に映り、国民に安定して「食」を供給できる能力を持たせること、そのためにあらゆる政策を立案し、総動員する。これが農林水産省の業務でありミッションと言えるでしょう。

農林水産省の最近の動向

農林水産業に変革をもたらすものと言えば、AIと脱炭素、そして産地直送・直売でしょう。産地直送・直販は、中間流通事業者を排した第一次流通革命を経て、今や当たり前のようにインターネットを介した通信販売が農林水産分野にも浸透しており、コロナ禍の影響もあってか、その流れが一層強まりました。市場を通さず、農家や漁師が直接、生産物等を消費者に提供・販売するというものです。

AIは生産性の飛躍的な向上にとどまらず、防災や減災への効果も期待されています。例えばセンサーと監視カメラを駆使すれば、農業水路の増水を目視で確認する必要はなく、農家の危険回避に効果的に使うことができます。

脱炭素は、CO2削減と省エネルギーに直接的に関係します。農林水産省が担当する山林の緑や海中の緑は、CO2吸収という視点から、脱炭素化の取組においても重要でしょう。

こうした世の中の変化を、農林水産業に関わる政策にしっかりとタイムリーに落とし込む作業も、農林水産省職員の大切な役割です。

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企業情報

企業名 農林水産省(農水省)