総合系コンサルティング業界を研究する【内定までの業界研究#02】 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

この記事では、コンサルティング業界の中でも総合コンサルについて解説します

総合コンサルは、戦略立案、業務改善、システム導入・運用など幅広いサービス提供を行うのが特徴のコンサルティングファームです。

組織は業界(インダストリー)と機能(ファンクション)で部門が区切られており、それぞれの専門領域に精通したプロフェッショナルが在籍しているため、顧客に対して特定の一領域に拘らず首尾一貫しながらも、非常に水準の高い課題解決を行えることを最大の強みとしています。

この記事では、総合系コンサルティングのビジネスモデルや有力中心企業、業界の特徴、最近の動向、給与などを紹介します。

総合コンサルのビジネスモデル〜どうやって稼いでいるのか〜

総合コンサル

まず、コンサル業界の共通ゴールは「顧客の課題解決に寄り添い、導くこと」にあります。
顧客が自社の経営や方針になんらかの課題や改善の余地を感じた際にコンサルが活用されるのです。

総合コンサルの場合、扱う守備範囲は広く、提案対象は事業から人材まで多岐にわたるほか、一つの課題解決に向けて問題発見のフェーズから解決策の実行支援まで顧客を長期的にサポートしていきます。

顧客のニーズや案件内容によってプロジェクトの進め方が全く異なるのがこの業界の特徴ですが、ビジネスモデルの大枠は、これまでの知識の蓄積や広範にわたるネットワークを活用した最新知見の提供になります。

具体的に流れを見ていきましょう。

まず、クライアントと一緒に課題に徹底的に向き合い、現在の問題点や論点を徹底的に洗い出していきます

そして、解決策を練るための情報を集め、解決策として有効と考えられる仮説を立てます
これはあくまで仮説であり、実際に試行してみると新たな問題点が見えてくることもあるので、さらに情報収集・仮説立案を繰り返し、最終的な解決策の提案を行います。

さらに解決策の提案にとどまらず、実行までを支援して経営改善を手助けしていきます。これが総合コンサルの最大の特徴です。

総合コンサルの業務内容とは

代表的な業務内容は以下の通りです。

  • 経営状況の改善支援
  • 新たな事業戦略の立案支援
  • 企業革新に向けた戦略立案や実行支援
  • CRM(企業と顧客の関係管理)に関する戦略立案
  • 研究、商品開発に関する戦略立案
  • IT戦略の立案
  • システム設計、開発、導入支援
  • 業務の外部委託に関するプロセス分析
  • 情報システムの運用管理、効率化の推進
  • 機能変革の計画立案、実行支援

総合コンサルのビジネスの広範囲さがわかったかと思います。

逆に、実際に日々の業務として何を行っているのかのイメージが湧きづらいかもしれません。

総合コンサルのプロジェクト例

分析

後で紹介しますが、アクセンチュアは代表的な総合コンサルティングファームです。

ここでは、みなさんにも馴染み深い企業であろう吉本興業がクライアントだった事例を紹介します。
先程のビジネスモデルに当てはめると、新たな事業戦略、IT戦略の立案支援の具体例ということになります。

2020年、世界中がコロナ禍に見舞われた時、吉本興業もその打撃を受けた企業の一つでした。

コンサートや舞台の中止、入場制限が相次ぐ中、吉本興業はライブのオンライン配信を決定しました。

すると、これまででは地理的問題から来訪がなかったお客さんを含め全国に観客が広がったことに気が付き、これまで個別に運営していた映像配信やコミュニティ機能などを統合したライブ配信サービス「FANY」の作成に取り掛かることとしました。

これを支援したのがアクセンチュアです。

アクセンチュアは、徹底的な顧客分析を行い、あらゆるユーザーの行動特性を分析、潜在的な理解を数字で可視化し、ファンに対する提案機会やユーザー体験を最適化する機会など、次のアクションにつなげる示唆を生み出すことを狙いました。

すると、実際にマヂカルラブリーのチケットが1.8万枚売れるなど、吉本興業のデジタル化を一気に進めるきっかけとなりました。

この案件について、興味のある方はこちらをご覧ください

このように、総合系コンサルは顧客の課題解決に寄り添い、解決へ導くことをゴールとするため業務内容は多岐にわたります。

今後さらに業務内容が拡大し、多様なビジネスモデルが提案され続けていくことになるでしょう。

中心企業3社を紹介!

日本では主要4社を「Big4」と呼ぶことが定着しています。その4社とは、「デロイト トーマツ コンサルティング」「PwCコンサルティング」「KPMGコンサルティング」「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」です。

これら4社は元々大手監査法人であり、企業の会計監査を通して顧客の経営状況を把握していました。
これを利用して、経営課題の解決に繋がるアドバイスも行うようになったことで、コンサル業界にも進出してきたのです。

さらに、有名な総合コンサルとして、アクセンチュアが挙げられます。最近ではBig4にアクセンチュアを合わせて「Big5」と呼ばれることもあるそうです。

ここでは、グローバル売上高トップ3であるアクセンチュア・デロイト・PwCを有力中心企業として、その概要を紹介します。

会社概要・サービス・企業理念

会社概要は以下の通りです(数字はいずれも2022年6月21日現在のものです)。

総合コンサル比較

コンサルティングは案件によって提供サービスが異なるという性質上、3社とも事業案内は抽象的にまとめられています。

各社の理念は次の通りです。

アクセンチュア:テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現する

デロイト:Deloitte makes an impact that matters.

PwC:Build trust in society and solve important problems.

企業規模の比較から見る3社それぞれの特徴

3社の直近3年間の拠点のある国の数、国内の従業員数、グループ全体の従業員数を見ていきます。

総合コンサル比較表

3社のうち、デロイトとPwCが世界中の幅広い国と地域に拠点を持っている一方で、アクセンチュアは圧倒的に従業員規模が大きいということが見て取れます。3社とも、その圧倒的なグローバルネットワークによって、世界各地の仲間と情報交換を行い、常に最新の知見を提供できることを強みとしたビジネスを行なっているようです。

では、3社が得意とすることにはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。

アクセンチュア

アクセンチュアは、IT技術の活用が非常に得意だと言われています。

2020年には、デジタル事業専門部門を廃止し、全ての部門にデジタル人材を配置、エンジニアの採用も行い、クライアントのDX(デジタルトランスフォーメーション)を全方位にリードできる体制を整えました。

また、日本企業の海外展開案件も多く手がけています。長年、変革を好まない日本企業に対しても手厚い支援を行い存在感を増してきているのがアクセンチュアになります。

デロイト トーマツ コンサルティング

デロイトは、監査法人からコンサルティングへの事業展開という流れから、企業の経営課題の解決を得意とし、会計や税務の専門知識を用いたソリューションの提供を行っています。

日系企業を主なクライアントとし、日本企業の国際競争力の低下による日本経済の停滞を打破するために、デジタルテクノロジー分野での支援に力を入れているようです。

PwCコンサルティング

PwCは、業種別に細分化されたチームを組織し、業種ごとの特色やトレンドを取り入れたコンサルティングを得意としています。

アクセンチュアやデロイトと比べるとグローバル色が強く、海外案件が比較的多いため海外支社とのやりとりが日常的に行われていることも特徴的です。

総合コンサルの特徴

アクセンチュア、デロイト、PwCといった総合コンサルファームの特徴を眺めると、一口にコンサルといっても、世の中のあらゆる事業に携われるという総合コンサルの魅力に気づくと思います

総合コンサルの最大の強みは、これまでに培ってきたビジネスに対する知見やノウハウの提供、さらに、国内にとどまらずグローバルな視点からの最新の情報を用いたソリューションの提案にあります。
高度な専門知識を掛け合わせることで、業種の垣根を越えてクライアントの変革を最大限にサポートすることを実現しているのです。

例えば、PwCグループは42カ国に11の拠点を持ち、監査法人、コンサルティング合同会社、アドバイザリー合同会社、税理士法人、弁理士法人、総合研究所合同会社、サステナビリティ合同会社、ビジネスアシュアランス合同会社、ビジネスソリューション合同会社といった多岐にわたる組織を包括しつつ、コンサルティング合同会社内においても公的機関、流通サービス、自動車・製造・エネルギー、情報通信・メディア、医薬・ライフサイエンス、金融サービスなど業種別チームを組織し、業種ごとの特色やトレンドを熟知したプロフェッショナルの集まりとして、卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。

よって、総合コンサルでは最高水準の解決策を提示するために、チームで一丸となって協力できるようなコミュニケーション力の高さが求められることになります。
これは、クライアントの課題解決に寄り添う場面においても必須のスキルとなってくるでしょう。

また、この業界は、クライアントの変革のサポートという仕事上、時代の変化に非常に影響を受けやすいという特徴があります。
後述の通り、昨今ではどの業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要視されており総合系コンサルティングもDX部門でのサポートが求められていますが、必要な変革が時代とともに移り変わるとコンサルティング内容も自ずと変化が求められることになるでしょう。

総合系コンサルティングで働いていくには、時代の波に乗り、常に最新の情報にキャッチアップしていくことが必要となります。

業界の最近の動向

最近のマスコミ報道から、総合系コンサルティングの動向を探ってみます。

DX

昨今では、インターネット環境の普及やそれを利用するデバイスの進化、ユーザーの増加とともにどのような領域の企業もDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が増してきています。

さらに2020年の新型コロナウイルスの流行もあり、さらなるデジタル化の波が押し寄せました。
さまざまな企業が各方面でのオンライン化を進める中で、コンサル業界もDXの場面でその存在価値を高める機会が増えているようです。

日本経済新聞でも、総合系コンサルティングのDX分野での活躍を多数報じています。

例えば、2022年5月28日の記事では、アクセンチュアの人工知能(AI)を活用し社内に埋もれた知見やデータを経営や事業の改善につなげるサービスの提供の開始を報道しています。

また、2022年6月21日の記事では、トーマツの不正のリスクを検知するAIの開発とこれの30社程度への導入について報じています。いずれも、扱うデータや情報の量が膨大であるためとても人間の手には追えず、AIの学習と分析が必須となっています。

このような流れの中で、特にIT技術に強みを持つアクセンチュアは、2020年時点において、過去20年で売上高が4倍に増えた企業です。
2020年2月27日には、『デジタル変革の突破口は』という題でアクセンチュア最高責任者であるジュリー・スウィートCEOへのインタビュー記事も掲載されました。
同記事内で、彼女はコンサルティング業界の変革について「今は戦略やシステム開発の手伝いをすればいいという時代ではない。技術の変化を先取りしないと顧客企業の要望を満たせない。」と語っています。

しかし昨今、総合コンサルにとって懸念すべき業界の流れもあるようです。

経営コンサル、システム・インテグレーション&テクノロジー、アウトソーシングサービスのうち、かつての戦略コンサルは経営コンサルに絞っていて、戦略立案から実行支援までを行えるのが総合系コンサルティングの強みでした。

近年では、各コンサルティングファームの事業拡大によって戦略コンサルファームも実行支援の域に足を踏み入れているようです。

これからの時代には、ファームの生き残りに向けて、他者との差別化を図るためにもさらなる価値創造が求められていく業界かもしれません。

給与水準

アクセンチュア、デロイト、PwCのコンサルティング部門の給与水準を確認しておきます。

アクセンチュア:平均年齢34歳程度、年間平均給与858万円

デロイト:平均年齢31歳程度、平均年間給与924万円

PwC:平均年齢30歳程度、平均年間給与928万円

いずれも外資系企業であり、日本企業と比べると中途採用が多く平均勤続年数が短いといえそうです。

平均年収についても、ベース給に個人の成果によって手当が出る実力主義が採用されているため、人によって大きく差が開くことになりますが、平均給与はいずれの会社も高く、人気の高い就職先となっています

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