総合商社業界を研究する【内定までの業界研究#05】 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

総合商社のビジネスモデルを紹介します。

かつては原油、鉄鋼、食料を大量に輸入するバルクビジネスが主流でした。しかしその様相は大きく変化し、近年では様々な事業会社に出資することなどが主流となってきています。

広範な分野を取り扱う「総合商社」を一括りに説明することは容易ではありません。商品・サービスの輸出入やインフラの運営事業など、多様な業種と関わりを持つこの業界を分析するため各分野ごとに見てみましょう。

トレーディングによる仲介料

総合商社は物流や金融などの付加価値を与え、需要と供給を結びつける仲介役を担います。この際に総合商社は「コミッション」と「マージン」という2種類の収益を得ています。この2つは以下のように説明されます。

コミッション:仲介の際に発生する手数料収入

マージン:(需要者への売値)ー(供給者からの買値)=(マージン)

また、総合商社が行うトレーディングビジネスでは単なる橋渡しではなく、物流機能・金融機能・情報機能の面で潤滑油としての役割を付与しています。

事業経営や事業投資によって生まれる収益

インターネットの普及やバブルの崩壊を背景に業績悪化した総合商社が、時代の流れに沿って力を入れ始めた物がこの事業投資です。近年では総合商社の主流となっています。

事業投資について説明します。

注目する企業の株を買収し大株主になったあと、投資先の経営に対して継続的に関わることで企業価値を上げるようアプローチします。この際に総合商社が目的としている利益は大きく「直接利益」「間接利益」に分類することができます。

まず「直接利益」とはこの場合、取込利益や配当金、キャピタルゲインが挙げられます。取込利益とは投資先企業の利益を自社の利益に取り込むことができるというものです。株式を保有していることで得られる配当金、キャピタルゲインは株式の売買時に生じる差額についてです。

次に「間接利益」は多様な企業と連携することで優位性を上げることです。詳しく説明すると、会社の資産を多くの事業に分散して投資することで、仮にある投資先が赤字になった場合にも大きく影響を受けないよう、経営におけるリスクを抑えることができます。

有力中心企業は5社

商社サブ1

現在日本の総合商社業界は、「三菱商事」「三井物産」「伊藤忠商事」「住友商事」「丸紅」の5社に、「双日」「豊田通商」の2社を加えた7社で構成されていますが、今回は前者の5社を有力中心企業としてその概要を紹介します。

5社の概要を比較する

5社の概要は以下の通りです。

五大商社比較表

各社の理念は次の通りです。

三菱商事:豊かな社会の実現に貢献することを目指して

三井物産:世界中の未来をつくる

伊藤忠商事:「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」

住友商事:​​​​次の100年を見据えながら、社会とともに、安定的で持続的な成長を目指す。

丸紅:​​丸紅は、社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指します。

5社の売上高と純利益を比較する

5社の直近3年間の売上高と純利益を見てみます。

五大商社売上高比較表
五大商社純利益比較表

総合商社の特徴

総合商社の強みはなんでしょうか。

そもそもの総合商社が携わっている、物流の「仲介役」というところが大きな特徴となります。受け持つ物流の分野は多岐に渡るため、仲介役が必要ではなくなる社会構造が確立しない限り総合商社が消えることはないでしょう

一方で問題点もあります。

総合商社の中での部署配属は、「背番号制」というものがとられています。一般的に商社が抱かれている華やかなイメージとは反対に現場における調査・開発など泥臭い面も多くあり、入社後にそのような部署に配属された場合にはイメージとのギャップを受ける方もいらっしゃいます。

また、これまでの総合商社の主要な収入源はエネルギーや金属といった資源分野からのものでした。しかし、これらの分野は資源の排出が計画通りに行かない、価格の変動が大きい、などのリスクが考えられます。
これにより収入源が安定しないことが問題視されているため、近年では非資源分野、特に食料品分野にも力を入れることで収入源の分散を図る企業が増えてきています。

総合商社の最近の動向

商社サブ2

近年では世界的に環境に対する意識が高まっています。それに伴い投資家もESG(環境・社会・企業統治)活動を重視する傾向も強まってきています。

総合商社も再生可能エネルギーや新エネルギーなどの市場に進出し始めています。

また、総合商社の特徴の部分でも少し触れましたが、かつての原油・鉄鋼などの大口輸入を軸とするビジネスモデルに変化が起こっています。貿易へ介入するビジネスの割合は少なくなり、様々な事業会社に出資し、経営を担うことも積極的に行っています。

給与水準

5大商社の平均年収は下のようになっています。

五大商社給与比較表

日本の平均年収に比べて、かなり高給であることが上の表から伺えます。5大商社であるとはいえ、総合商社の業界は、他の業界と比較しても圧倒的に高い水準を持っています

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