PEファンド業界を研究する【内定までの業界研究#09】 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

「プライベート・エクイティ・ファンド」略してPE ファンドという投資がありますが、まだあまり耳馴染みがないと思います。どのような投資を行い、金融業界の中でもどのようなビジネスモデルを持つのか、今回はPEファンドについて、ビジネスモデルや動向などを解説していきたいと思います。

PEファンドのビジネスモデルとは

先にもきしたように、PEファンドは、金融業界の中でも耳馴染みのない業種だと思います。しかしながら、長らく続いている低金利の状況下で資産の運用が厳しかった国内の投資家の間で、PEファンドに対する投資に関心が高まっています。その関心に伴うようにPE ファンドの組織も増加しているのが現状です。では実情の業務はどのような形態でどのような業務を主としているのでしょうか。

分かりやすくシンプルに説明すると、PE ファンドは、運用をする側が投資家から集めた資金を元手に、未上場企業に投資を行います。中長期的に企業へ投資を通じて関与し、企業価値を向上させていきます。

そして、株式市場への上場および、売却を行うことで投資資金を回収し、投資のリターン分を投資家に還元します。このような流れでファンド運営を行っている企業体です。

国内のPEファンドは

PEサブ1

 日本国内の「ファンドの投資額」の大きいPEファンドは以下の通りです。ロングリーチグループ、インテグラル、ポラリス・キャピタル・グループとなっています。

3社の会社概要、メインの商品・サービス、企業理念の紹介

 3社の会社概要は以下のとおりです。数字はいずれも2022年3月1日現在のものです。

PEファンド比較表

ロングリーチグループはアジア、日本を対象とした香港系の独立系投資ファンドです。PEファンドの運用とアドバイザリーサービスを行っています。グループ全体で総額825億円のファンドを運用。ファンドは日本を中心に北アジア地域を含めて投資しています。

インテグラルは日本の独立系投資ファンドです。日本型PEとして多くの成長支援、事業継承案件の実績があります。自己資金を使った投資、PI投資も同時に行っており、長期支援を行うケースも。航空会社のスカイマーク株式会社などの実績もあります。

ポラリスは、2004年設立の独立系プライベートエクイティファンド。日本の金融機関との連携を強みに、中堅企業の事業継承、カーブアウト案件にバランスよく投資を行い多くの実績をあげています。地方中堅企業の事業継承案件などにも投資をしていく方針を打ち出しています。

また、各社の理念は次のとおりです。

・ロングリーチグループ

企業と投資家の信頼されるパートナー(“Trusted Partner”)でありたい

・インテグラル

Trusted Investor

・ポラリス・キャピタル・グループ

業界のフロントランナーとしてあくなき挑戦~グロースバイアウトにもアドレスし、デジタルトランスフォーメーション(DX)とESGによるバリュークリエーションを実践していく~

PEファンドの今後の見通しについて

3社の直近の売上高、純利益などは公開されていません。

日本銀行金融市場局の鷲見和昭氏は、2020年12月11日に発表した「わが国におけるプライベート・エクイティ・ファンドの可能性―アイデアとコミットメントのあるファイナンスへの期待」と題する論文の中で今後のPEファンドの先行きに対して明るい先行きを見込んでいます。

国内企業は人口減少の逆風にさらされる中、グローバル化やデジタル化、ポストコロナ時代の経済構造変化に適応することが求められています。さらには、経営者の高齢化が進む中で、多くの企業で事業承継が喫緊の課題であり、企業再編が進む可能性が高まっています。今後、事業改革のアイデアとコミットメントを有する金融の役割が一層重要になり、PEファンドに注目が集まるでしょう。PEファンドを通じた企業再編は、総じて、従業員数を削減することなく、売上高を増加させる形で、従業員1人当たりの付加価値の増加が期待できる」と分析しています。

PEファンドの最近の動向~マスコミ報道から

PEサブ2

2022年3月29日の朝日新聞デジタルでは、長崎県が佐世保市に誘致をめざすカジノを含む統合型リゾート(IR)で、事業者による資金調達交渉が大詰めを迎えており、その資金調達にPEファンドが介入している旨を伝えています。

米国ではPEファンドによるIR事業への資金提供は一般的な手法でありますが、長崎県民への説明会では、資金を提供する投資家や企業名が公表されないため、不安視する声が出たとのことです。日本の大型の施設、観光スポット、商業施設などは、運営、管理、協力会社、スポンサーなどが明確にされていたり、そのキャラクターや社風などが反映されていたりしますが、今後PEファンドによる資金提供でそのような流れが変わることが予想されます。

また、PEファンドは「金利を重視」するという特性から考えると、その事業や規模が本当に適正なのか、またその地域などにフィットしているかを厳しい目で厳選されることになるでしょう。それも、これまでの無駄になってしまった投資、俗にいう「ハコモノ」などを防止するためには得策かもしれません。

給与水準

日本の金融業界のホールディングスや各社は「有価証券報告書」や各社のWEBサイトの「従業員の状況」などで社員の平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与などを詳細に開示していますが、外資系の企業は公表していないところが多数です。ロングリーチグループ、インテグラル、ポラリス・キャピタル・グループ3社とも、給与についての明確な数字は非公開となっています。PEファンドについては、職種やタイトルによって異なりますが、600万円〜1,700万円と一般の企業と比較すると高額であることは確かです。30代で1,200万円台も超えてくるようですが、採用枠は非常に少なく、転職などの場合でも難易度は高いようです。景気動向に左右されるほか、その動向によっては採用がなくなる可能性もあるシビアな世界です。

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