「メーカー」を完全に理解したい。ビジネスモデルや働く魅力を総ざらい【業界を5分で掴む】 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

メーカーとはどのような存在なのか――。

企業研究をまだ始めていない大学1、2年生であれば、メーカーの正体をしっかり把握できていないかもしれません。

メーカーは、製造業という産業に属する企業のことで、モノづくりをしています。

では、モノづくりとはなんでしょうか、メーカーにはどのような種類があるのでしょうか、日本経済においてメーカーはどのような存在なのでしょうか。

詳しく解説していきます。

メーカーとは自動車とか家電とかをつくる会社

メーカーとは、原材料や素材や部品から製品や商品をつくって売る企業です。

したがって、トヨタやホンダなどの自動車メーカーはメーカーです。

家電をつくっているパナソニックも、ゲーム機をつくっているソニーもメーカーです。

また、製品や商品の元になる原材料や素材や部品もモノなので、これらをつくっている企業もメーカーです。

炭素繊維をつくっている東レも、タイヤをつくっているブリヂストンも、鉄をつくっている日本製鉄もメーカーです。

メーカーのビジネスモデル

メーカーサブ1

メーカーのビジネスモデルは、かつては単純でした。原材料や素材を購入し、それを使って部品をつくり、その部品を組み立てて販売していました。

このビジネスモデルは今も健在ですが、現在のメーカーはもっと複雑なことをしています。

ここでは日本を代表するメーカーであるトヨタとソニーのビジネスモデルを紹介します。

トヨタのビジネスモデルとは

トヨタは自動車をつくっていますが、自動車を構成する部品はほとんど外注しています。つまり、別の会社に部品をつくってもらい、それを購入して自動車をつくるのが、トヨタのビジネスモデルです。

デンソーはトヨタなどに向けに、吸気システムや燃料噴射・制御システム、点火システムなどをつくっています(*1)。さらにトヨタは、ヤマハからエンジンを丸ごと購入することもあります(*2)。

そして現在のトヨタは環境企業の側面もあります。ハイブリッド技術は自動車の燃費をよくするので、使用するガソリンの量を減らすことができます。

水素をガソリンの代わりに使う水素エンジンの開発にも力を入れています。

また、トヨタのグループ企業のなかに豊田通商という商社があり、この会社の年間売上高は6兆円を超えます(*3)。

さらに未来の街をつくろうとしています。静岡県裾野市にあるトヨタの工場跡地(約71万平方メートル)に、インフラや生活環境をとことんIT化デジタル化した街をつくります(*4)。

*1:https://www.denso.com/jp/ja/business/products-and-services/mobility/powertrain/

*2:https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/collection/am_lfa/

*3:https://www.toyota-tsusho.com/ir/library/securities-report/upload_files/100th_yuho_dai1bu_1.pdf

*4:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/31170943.html

ソニーのビジネスモデルとは

ソニー株式会社は2021年4月に、ソニーグループ株式会社に社名を変更しました(*5)。

ソニーはかつて家電メーカー、音楽機器メーカーでしたが、今は金融も保険もゲームもエンターテインメントも手がけています。

まだあります。医療機器、半導体、通信、コンピュータサイエンスもソニーの仕事になっています。

そのため家電や音楽機器のイメージが強い「ソニー」という名称ではソニーを言い表すことができず、さまざまな事業を手掛ける「ソニーグループ」とう名称が必要だったわけです。

では、ソニーグループは何をする会社なのか。同社は次のように説明しています。

<ソニーグループの主なミッション>

1)事業ポートフォリオ管理とそれに基づくキャピタルアロケーション

2)グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出

3)イノベーションの基盤である人材と技術への投資を、長期視点でのグループ全体の価値向上の観点から行う

メーカーでの仕事は多種多様で多岐にわたります。

*5:https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/202005/20-039/

主なメーカー業界の市場規模

メーカーは複数社集まって業界を形成しています。

業界は、その種類によって市場規模が大きく異なります。市場規模の定義はあいまいですが、大体「その業界に属する企業の年間売上高の合計」と考えてよいでしょう。

例えば経済産業省は自動車業界の市場規模を、製品出荷額でとらえています。2015年の自動車業界の市場規模(製品出荷額)は約60兆円です(*6)。

世界第3位の経済大国である日本の政府の予算が年間100兆円程度なので、60兆円は国家予算の規模といえます。

家電はエレクトロニクス業界に含まれます。エレクトロニクス業界にはその他に、スマートフォンなどの情報通信機器や電子デバイスなども含まれます。

エレクトロニクス業界の市場規模は約50兆円です(*7)。

素材メーカーは、自動車メーカーや家電メーカーなどと比べると地味な存在に感じるかもしれませんが、素材産業の市場規模(製造品出荷額等)は305兆円にもなります(*8)。

*6:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mobility_kozo_henka/pdf/001_03_00.pdf

*7:https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/pdf/010_s03_02_04_01.pdf

*8:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/chemistry/downloadfiles/180112materials-innovation.pdf

メーカーの経営と景気動向の関係

メーカーの経営は、景気動向に大きく左右されます。

景気がよくなるとモノがよく売れるのでメーカーは潤います。

景気が悪化するとモノが売れなくなるので、売り上げが下がる一方で、従業員の雇用を続けなければなりませんし、工場も稼働し続けないとならないので経費が膨らみ、経営は苦しくなります。

ただ、日本では逆の現象も起きます。メーカーが元気だと景気がよくなり、メーカーに勢いがなくなると景気が悪化することがあります。

例えば、日本の白物家電や半導体やパソコンが世界中で売れていたときは日本の景気はよかったのですが、それらが売れなくなると日本の景気は下降線をたどりました。

例えば、トヨタの2012年ごろの株価は約600円でしたが、2015年には約1,500円と2.5倍になっています。パナソニックも2012年の約600円から、2015年には約1,800円と3倍になっています。

記録的な好景気をもたらしたアベノミクスは2013年から始まっているので、メーカーの動向と景気は見事にリンクしています。

景気がメーカーの経営を左右し、メーカーの経営が景気を左右するのは、日本がモノづくりの国だからです。

日本には外貨を稼ぐことができる資源がないので、外貨を稼ぐには他国から資源を輸入してそれを加工して輸出する必要があります。

資源を加工することは、物質に付加価値をつけることになります。

この「資源を加工すること」と「物質に付加価値をつけること」こそ、メーカーの重要な仕事といえます。

経済産業省はメーカー(製造業)のことを「日本経済の持続的発展の原動力」とまでいっています(*9)。

*9:https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/seizou/index.html

就活生の人気度は、働く魅力は

メーカーサブ2

就活支援サービスの株式会社ディスコによると、2021年の理系学生の就職希望企業ランキングは、1位・ソニー、2位・トヨタ自動車、3位・日立製作所とメーカーがトップ3を独占しました(*10)。

ただこれは理系学生限定のランキングです。

文系学生と理系学生を合わせた総合ランキングでは、1位・損害保険ジャパン、2位・伊藤忠商事、3位・東京海上日動火災保険となってメーカーは入っていません。

トップ10には、かろうじてソニーが7位に入っているくらいです。

しかし、理系学生にはもちろんのこと文系学生にも、メーカーで働くことは魅力があります。

*10:https://job.career-tasu.jp/2022/guide/study/ranking/1_03.html

*11:https://job.career-tasu.jp/2022/guide/study/ranking/1_01.html

魅力1:無から有を生み出す

メーカーで働くことの最大の魅力は、モノをつくる喜びが得られることです。

自動車には多くの鉄が使われていますが、鉄の元は鉄鉱石で、それは地中深くに埋まっています。鉄鋼メーカーと部品メーカーと自動車メーカーがなかったら、鉄鉱石は自動車になりません。

メーカーはまるで、無から有を生み出しています。製品が完成したときの喜びは、メーカーでしか味わうことができません。

魅力2:日本のお家芸

メーカーの仕事は日本のお家芸ということができます。つまりメーカーに勤めれば、日本経済の屋台骨を支えることができます。

国民生活を豊かにするにも環境問題を解決するにも平和を維持するにも国際的な役割を果たすにもお金が必要で、お金を生むのは経済活動です。

メーカーで働けば「日本をいい国にしている」という実感が得られるはずです。

まとめ~企業研究してみては

本記の内容をまとめます。

メーカーはかつては、原材料、素材、部品を買って製品をつくるだけでしたが、現代のメーカーは環境問題を解決したり、金融ビジネスに乗り出したり、街をつくることもあります。

メーカーは日本経済を支えていて、自動車業界の市場規模は60兆円、家電などの業界は50兆円、素材産業にいたっては305兆円にもなります。これは国家予算の規模です。

そのためメーカーの経営は景気に左右され、景気はメーカーの経営に左右されます。

そしてメーカーで働くことは魅力がたくさんあります。

大学1、2年生が1、2年後に就活を始めるときは、ぜひメーカーについても研究してみてください。

この記事ではメーカーを「大づかみ」で解説しました。つまりマクロの視点で企業をみたわけですが、今後は、ミクロの視点で各業界や各企業について細かく分析した記事も紹介します。

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