業界を席巻「マフィア」を次々輩出。人気外資系P&Gはどこがスゴい? - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

就活で外資系企業を希望する学生は、少なくありません。外資は「給与水準が高い」「年齢・性別などによる待遇の差がない」「早くから仕事を任せてもらえる」など、選ぶ理由はさまざまです。しかしどの外資系企業を志望するにしても「なんとなく外資を選ぶ」のではなく、それぞれの企業の理念やカルチャーを、前もって理解しておくことが重要です。

本記事では外資のなかでも学生に人気の高い、P&Gをピックアップします。

P&Gってどんな会社

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は米オハイオ州に本拠を置く、世界最大級の一般消費財メーカーです。創業は1837年で、洗剤やヘルスケア製品・化粧品・小型家電製品・ベビー用紙おむつなどの販売で知られています。約180カ国で製品を提供していますが、P&Gグループの日本法人としてP&Gジャパン合同会社が設立されたのは、2006年のことです。

P&Gはブランドをひとつの企業体のようにとらえ、ブランディングに力を注いでいます。実際「パンパース(乳幼児用紙おむつ)」「アリエール(衣料用洗剤)」「ボールド(衣料用洗剤)」「ウィスパー(尿もれ・吸水ケア製品)」「ブラウン(電気シェーバー・美容家電)」など、私たちの日常生活にP&Gブランドは溢れているのです。

P&Gが大切にする「価値観」

P&Gの価値観とは?

P&Gには「より多くの消費者の生活を少しでも意味ある方法で日々向上させる」という企業目的を掲げ、価値観の共有や、日々の仕事で実践すべき行動原則の浸透を徹底しています。

P&Gの共有する価値観には、誠実さ・リーダーシップ・当事者意識・勝利への情熱・信頼の5つが挙げられます。

なかでもリーダーシップに重きを置いており、P&Gは「リーダーになる学校」といっても過言ではないでしょう。

P&G社員の「リーダーシップ」がスゴい

P&Gがリーダーシップを非常に重視していることは、世界各地で活躍する人材を輩出していることからも明らかです。例えば、フォーチュン誌が選ぶ「社員の能力」では、企業ランキングトップに選ばれ続けています。

活躍事例

昨今、マーケティング業界を席巻しているマーケターの多くはP&G出身であり、その影響力の大きさから「P&Gマフィア」と呼ばれることもあります。マーケターだけでなく、経営者や実業家として活躍している方も多く、背景にはP&Gで培ったリーダーシップがあると考えられるでしょう。

具体例を挙げてみましょう。

リーダーシップは天性の資質で、属人的なものと誤解している人も少なくありません。一方で、P&Gではトレーニングによって、誰でもリーダーシップを身に付けられると考えています。実際、P&Gではリーダーシップを「影響力」、リーダーは「影響力をもつ人」と定義します。

オーストリアの経営学者、ピーター・ドラッカーもリーダーシップは「資質ではなく仕事」「地位や責任ではなく責任」「『つき従う者』がいること」としており、P&Gの考え方との共通項を見いだせるでしょう。

実際、上記の方々も生まれながらのリーダーだったわけではありません。P&Gをはじめ、段階的にキャリアを重ねることでリーダーシップを培い、身につけて、成功をおさめたのです。

P&Gのリーダーシップ「5つのE」

P&Gのリーダーシップは「P&Gで成功している人の共通点」から生み出され、以下の「5つのE」で表されます。

それぞれの「E」について詳しく見てみましょう。

Engage(エンゲージ):コラボレーションする

仕事を成し遂げるためには、周囲の人やほかの部門もうまく巻き込み、コラボレーションしなければなりません。そのためにはチームのほかのメンバーが「なぜそうする必要があるのか」説得力のある言葉で説明し、相手の心を動かすことが大切です。

具体的には、チームでプロジェクトを進める際に、誰もがチームメンバーだと感じられるように全員に明確な役割分担をします。また、上司が自分のアイデアや意見に耳を傾けてくれないと感じるときに、あきらめたり否定したりするのではなく、まず上司の信頼を得るように努めます。

Energize(エナジャイズ):やる気を出す

ビジョンを達成するために、メンバーのやる気を引き出すことです。周りに声をかけ、相手の強みを評価することで、誰もが動きたくなるような環境を作ります。

具体的には、チームのメンバーがモチベーションを失っているとき、そのことを責めるのではなく、まずは抱えている不満を聞いて活力を取り戻すことをめざします。また、資格の取得に消極的な社員に対して、昇給や昇進につながることを伝えるといった、勉強に励みくなるようなアイデアを出すのも「Energize」です。

Envision(エンビジョン):未来を描く

チームメンバーの目標になるようなビジョンを描き、共有することです。漠然とした、壮大なテーマを掲げるのではなく「今の仕事に問題点や課題がないか?」「現状をもっとよくできないか?」という身近な問題意識からスタートします。

例えば、部活で「2024年までに都立大会優勝」という目標を掲げたなら、達成するために一人ひとりの個別目標を設定し、各自のビジョンを明確にします。

Enable(エネイブル):パフォーマンスを上げる

Enableが指すパフォーマンスの向上は自分の強みだけでなく、妨害(不安や恐れ、スキル・リソース不足など)を除いたうえでの結果のことです。つまり、パフォーマンスを上げるためには自分の強みをさらに強化することに加え、妨害となる要素をできるだけ取り除くことが必要です。

例えば、アルバイト先で売上が上がらない(=パフォーマンスが上がらない)場合、妨害している理由を分析し、取り除きます。また、ゼミのメンバーが仲違いする理由を考察し、原因を取り除くための解決策を提案することも挙げられます。

Execute(エグゼキュート):最大効果の実践

効果を最大化するためには、実行力でビジョンを現実にしなければなりません。それは単純に個人の意思の力に頼るのではなく、成功要因を分析し、活動を継続可能な仕組みにすることが求められます。

例えば、チームで設定したビジョンを現実のものとするためには、まず自分が率先して練習に参加して、周りを率いることが重要です。また、資格試験に合格するために毎日の勉強時間や内容をプランニングすることも、Executeとして挙げられます。

P&Gでの「働き方」

P&Gで働くこと

誰もが社是を実行している

上記の価値観やビジョン、社是などは大企業ならどこにでもあり、言葉で伝えられると説得力があります。しかし、残念ながら、形骸化していたり、浸透していなかったりするのが実情です。往々にして立派な企業理念は「絵にかいた餅」で終わってしまうこともあります。しかし、P&Gの魅力はこれらの社是を、誰もが実行していることです。

具体的には「Challenging work from Day1」が挙げられます。他社では考えられませんが、P&Gでは入社初日から重要なプロジェクトを任されます。

新入社員は業界についての知識やワークフローもわからないままに、自分の能力をはるかに上回る仕事に取り組まなければなりません。その過程で先輩社員とコミュニケーションをとり、メンバーを信頼することで、チームが機能することを学びます。そうした経験を通じて「リーダーシップとは責任」であり、誰もが「リーダー」になれることを学んでいくのです。

本社CEOを目指せる

通常、外資系企業に就職しても本社勤務になるケースはほとんどなく、出世できてもアジアエリアの経営者層が限界でしょう。しかし、P&Gでは、本社勤務はおろか、本社幹部、そしてCEOさえもめざせるフェアな評価システムを設けています。努力や会社への貢献に応じてリターンがあるため、やりがいを感じながら働けます。

女性が活躍できる

政府は2020年までに「指導的地位に占める女性の割合30%」を目指していましたが、2021年7月に全国約2万社を対象に行なわれた調査によると、女性管理職の割合は平均8.9%に過ぎませんでした。

それに対して、P&Gでは女性の役員相当職が29%、課長相当職については40%と、高い水準を維持しています。先述した活躍事例のなかで紹介した野上麻里氏も、関連会社であるマックスファクタージャパンのプレジデントやP&Gジャパン副社長を歴任しました。

(参照:P&G『P&Gについて

帝国データバンク『女性登用に対する企業の意識調査(2021年)』)

就活でP&Gをめざすなら…

就活でP&Gをめざすなら

リーダーシップをはじめとするあらゆるスキルを身につけられ、やりがいのある仕事ができるP&G。

本項では、P&Gへの就職を目標にするうえで、覚えておきたいポイントをまとめました。

外資系企業と日系企業の選考プロセスの違い

前提として、P&Gのような外資系企業は、日系企業と就活スケジュールが大きく異なります。外資系企業は、日系企業より選考が早いケースがほとんどです。特にP&Gでは、多くの場合2次面接とインターンで採用が決まります。

ただ、日系企業のインターンは長くても3日で終わる傾向にありますが、外資系は1週間程度と長期に渡る場合もあります。外資系は全般的に採用までのステップが少なく、夏採用であれば最短で3年生の冬までには内定を獲得できるでしょう。

エントリーシート対策

先述したように、P&Gではリーダーシップを重要な価値観に据えています。そのため、希望する部門に関わらず「リーダーシップ」について問われることが多い傾向にあります。

エントリーシートに自分のエピソードを書く際にも、どのように「5E」を発揮し、自分の役割を果たすことでどのような結果になったのか、具体的に記述すると良いでしょう。

面接対策

P&Gの面接では、前述した価値観や、それに基づく経営戦略への理解を求められます。リーダーシップを発揮した経験や成果に加え、P&Gの経営戦略のひとつである「イノベーション」と絡めると良いでしょう。それらの要素を仕事や学生生活に活かし、新しい価値を生み出せたエピソードを話せるとより好印象です。

また、単にP&Gについて調べた知識を披露するのではなく、志望動機と結び付けて、自分の言葉で熱意を込めてアピールしましょう。さらに、P&Gでは日本人同士でも英語で会話し、メールを送り合うため、面接でも候補者の英語力を試す場合があります。面接に向けて、英語力のブラッシュアップは必須でしょう。

転職もしやすい

入社後しばらく勤務したうえで、P&Gの価値観やカルチャーが肌に合わないと感じる可能性もあります。さまざまな理由ゆえにP&Gを退職することになっても、多くの活躍事例が示すとおり「P&Gの社員=優秀な人材」というラベリングがつくため、その後のキャリアでもメリットは大きいでしょう。

職種もマーケティングから同職種への転職もあれば、業種や企業規模が異なる大手商社やベンチャー幹部まで幅広く選択できます。

まとめ

数多くの優秀な人材を輩出してきたP&Gですが、選ばれた少数精鋭しか入社できない、と最初から敬遠するのではなく、積極的にエントリーしてみましょう。また、就職支援アプリの活用や、内定者に実際の経験をインタビューしてみるのも有効です。

著者

トイアンナ

2012年、慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループのマーケターを経て、独立。
数千人の就活生から相談に乗った経験を活かして書籍『確実内定』を出版し、発行部数2万部以上のヒットとなる。
複数の就活媒体で監修・執筆を歴任。

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