フェルミ推定とは?ケース面接や覚えておくべき数値も紹介 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜
フェルミ推定とは?ケース面接や覚えておくべき数値も紹介

日本のコンサルティングファームや外資系企業では、フェルミ推定を使ったケース面接がよく行われます。これからコンサルティングファームや外資系企業の選考を受けようとしている学生なら、フェルミ推定やケース面接の詳細が気になる方も多いことでしょう。

そこで本記事では、フェルミ推定の選考でのポイントや覚えておくべき数値の一覧、またケース面接についても概要や要点を解説します。フェルミ推定について学びたい学生や、ケース面接を予定している就活生はぜひ参考にしてください。

フェルミ推定

フェルミ推定

フェルミ推定とは「日本にある電柱の本数」のように、簡単に答えの出ない問題に対して論理的思考によって、短時間で根拠のある回答を出すことです。物理学者の名前が由来であり、コンサルティングファームや外資系企業の現場でよく使われます。この章では、フェルミ推定について詳しく解説します。

概要

フェルミ推定とは調査が難しい問いに対して、フレームワークや大まかな数字から論理的に概算し、答えを導くことです。使いこなすことができれば情報端末や計算ツールを使わずに推定でき、どのような状況や課題、問題に対してもアプローチ法を見つけられるメリットがあります。

ただし、どのような場面で活用できるのかイメージが湧きにくいでしょう。フェルミ推定は企画や戦略などを立てる仕事で役立つことが多く、論理的思考が必要な職種の採用試験で出題される特徴があります。

名前の由来

フェルミ推定の名前の由来は、イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミです。フェルミは統計力学や量子力学、原子核物理学の分野で活躍し、1983年にノーベル賞を受賞しています。

代表的なエピソードとして、フェルミがシカゴの大学生に対して「シカゴには何名のピアノ調律師がいるか」という問題を出したことが知られています。また、フェルミ推定以外にもフェルミ粒子やフェルミウムを発表しました。

使われる業界

フェルミ推定は、日本ではコンサルティングファームや外資系企業でよく使われます。これらの業界では、フェルミ推定は業務に直結します。コンサルティングファームではフェルミ推定を活用することで、論理的思考力や仮説構築力、ビジネスセンスや計算スピードなどが鍛えられるでしょう。

フェルミ推定が使われる業界は上記が主ですが、ほかにも投資銀行や総合商社でも使われることがあります。

フェルミ推定の解き方

フェルミ推定の解き方

フェルミ推定の解き方には3つの手順があります。手順どおりに進めつつ、ミスのないように解き進めましょう。またどの手順も重要ですが、特に最初の「前提の確認」が大切です。この章では、フェルミ推定の解き方を順に沿って解説します。

前提の確認

フェルミ推定に取り組む際に、まずは前提の確認から始めます。前提の確認とは、フェルミ推定の問題で測る対象を明確に定めることです。確認する項目は2種類あり、1つめは対象範囲の確認です。これは、求める数値が及ぶ範囲を確認します。

2つめは言葉の定義であり、面接官との食い違いを防ぐ作業です。これらの内容を確認せずに取りかかると、面接官の意図に沿わない解答となる可能性があります。問題に取りかかる前には、面接官への定義の確認を忘れないようにしましょう。

公式の作成

前提を確認できたら、要素分解して公式を作成します。例えば売上高を求める問題の場合は、売上高を単価と数量に要素を分解すると「単価×数量」で求められます。このように公式を作成する際、注意するポイントは以下の2点です。

1つめは正確に分解できているか、2つめは分解した要素が推定可能かどうかです。両方を満たしていないとフェルミ推定できないので、公式を作成した段階でチェックしましょう。

公式に数値を当てはめる

公式を作成できたら数値を当てはめましょう。例えば、日本全体におけるTシャツの年間売上高は「Tシャツの価格相場×1人あたりのTシャツの年間購入回数×日本の総人口」で計算できます。

数値を当てはめる際は厳密さを求めすぎず、知識や経験から大まかな数字を設定します。設定したら、その数字に無理がないことを確認しましょう。根拠や理屈が通っているか、多方面から確かめる必要があります。

フェルミ推定を解くポイント

フェルミ推定を解くポイント

フェルミ推定を解くポイントは3つあります。ポイントを押さえることでより正確に、なおかつ早く答えを出すことが可能です。ただし、本項で紹介するのは面接の場でできることではなく、前もって準備しておくべきポイントです。この章では、フェルミ推定を解くポイントを紹介します。

前提となる数字は覚えておく

事前に前提となる数字を覚えておくことをおすすめします。なぜなら、面接や現場ではゆっくりと考える時間はないことが多く、またある程度有名な数字は知っている前提で問題が作られているからです。一部ですが覚えておくとよい数字の例には、以下があります。

  • 日本の面積
  • 東京都の人口
  • アメリカや中国、日本のGDP

上記のように決まっている数字をある程度知っておくと、計算を楽にできます。ただし、そのためだけに数字を覚えるわけではありません。自身のもっている情報を使ってどのような解決方法を導くかというのが、選考におけるフェルミ推定の本来の目的です。また、覚えておくべき数値に関しては、後ほど表でまとめて紹介します。

限られた時間で解答できるようにしておく

選考によって異なりますが、フェルミ推定で考える時間は数分間のケースが多いといえます。そのため、限られた時間で解答できるように練習しておくことが大切です。また、練習によって自分の得意・不得意な問題も把握しておきましょう。

また、数字にこだわりすぎると時間が足りなくなる恐れがあるため、全体を俯瞰して時間をかける部分を見極める必要があります。答えが出ないまま時間切れになってしまうと評価が下がるので、時間内に解答をまとめられるようにしておきましょう。

考え方のバリエーションを増やす

フェルミ推定は自身の考え方をベースに問題を解くため、バリエーションに富んだ考え方をもつことが大切です。例えば「全体を把握したうえで、細かく情報を捉える視点をもつ」「仮説を複数立て、精度の高いものをブラッシュアップする」などの思考法があります。

ただし、思考法をただ覚えればよいわけではありません。物事を柔軟に考えたり、本質的な考え方ができたりしなければなりません。仮説と実践、検証を繰り返し、考え方の引き出しを増やしましょう。

覚えておきたい公式

覚えておきたい公式

覚えておきたい公式の例には、以下が挙げられます。

  • 速度=距離÷時間
  • 円周=半径×2×円周率
  • 球の表面積=半径×半径×円周率×4

上記のような公式を覚えておけば、素早く数値を当てはめられます。ほかにもさまざまな公式があるので、可能であれば覚えておきましょう。

覚えておくべき数値

フェルミ推定を解く際には、日本と世界に分けて代表的な数値を覚えておきましょう。特に日本の場合はフェルミ推定に使われやすい数値の種類が多いので、暗記に時間がかかる恐れがあります。対策として早めに覚えるようにしましょう。

さらに、数値と一緒に代表的な単位も覚えておくと便利です。この章ではフェルミ推定を解く際に、覚えておきたい数値を紹介します。

日本

日本に関する覚えておくべき数値は、以下のとおりです。

日本の人口1.2億人(2050年1億人/2060年9000万人)
世帯5,000万世帯
平均世帯人数2.5人
平均寿命84歳
平均年収430万円
給与所得者5,000万人
給与所得者(大企業)1,500万人
中小企業3,500万人
1年に生まれる子供の数約100万人
東京都の人口昼間人口1,500万人/夜間人口1,200万人
フリーター人口200万人(若年層)
フリーター平均年収100万円
日本の国土面積40万㎢(30%平地/70%山岳地)
小学校の数20,000校
中学校の数10,000校
高校の数5,000校
短期大学の数400校
大学の数780校
大学進学率約50%
大企業の数1.2万社
中小企業の数420万社
市の数800か所
町の数700か所
村の数200か所
市町村の数1,700か所
0-14歳(年少人口)の割合13%
15-64歳(生産年齢人口)の割合60%
65歳以上(老年人口)の割合27%
第一産業の就業者数250万人(5%)
第二次産業の就業者数1,500万人(25%)
第三次産業の就業者数4,500万人(70%)
日本のGDP500兆円
自動車・同付属製品製造業の市場規模(第一位)60兆円(10分の1)
建設業の市場規模(第二位)50兆円

日本に関する覚えておくべき数値は、多数あります。覚えておくと問題を解く際に役立ち、また問題自体もこういった数値を覚えていることを前提としていることが多いので、可能な限り暗記しておきましょう。

世界

世界に関する覚えておくべき数値を紹介します。

人口196か国(約200か国)
世界国の数196か国(約200か国)
地球の直径1.2万km
地球の円周4万km
地球の表面積5億㎢
海:陸7:3
世界の名目GDP80兆ドル
アメリカの名目GDP20兆ドル
日本の名目GDP5兆ドル
中国の名目GDP15兆ドル
世界の平均特殊出生率2.4
日本の合計特殊出生率1.4
アメリカの合計特殊出生率1.7
中国の合計特殊出生率1.7

選考でのフェルミ推定でよく使われる覚えておくべき世界に関する数値は、日本に比べると少なくなります。できる限りすべて覚えておくとよいでしょう。ただし日本と世界の数値が混ざらないよう、注意が必要です。

単位

覚えておくべき数値と一緒に、単位も覚えておきましょう。

単位
長さ1m = 100cm1cm = 1/100m1mm = 1/1000m1km = 1,000m
容積1L = 1,000cm31m3 = 1,000L
質量1kg = 1,000g1g = 1/1,000kg1t = 1,000kg

単位は基本的なものではありますが、緊張しているととっさに思い出そうとすると出てこない恐れがあります。問題が解けても単位がわからない状況は避けたいので、事前に単位も復習しておきましょう。

ケース面接とは

ケース面接とは

ケース面接とは、フェルミ推定を使った面接のことです。限られた時間のなかでディスカッションにより解答を導くケースが多く、難易度の高い面接といわれています。ケース面接はただ問題を解けばよいわけではなく、評価されるポイントがある程度明確なのが特徴です。この章では、ケース面接について詳しく解説します。

概要

ケース面接とは、課題が出され一定時間考えたあとに、面接官に解答する面接を指します。なぜこのような面接があるのかというと、限られた時間で面接官を納得させる説明が求められるため、論理的思考力やプレゼン能力の高い人材を見極められるからです。

ケース面接で出される課題は、実際にコンサルティングの現場で向き合うようなフェルミ推定が主となります。選考のなかでも難易度が高く、十分な対策が必要です。

ケース面接での評価ポイント

ケース面接で評価される主なポイントを3つ紹介します。ひとつでも欠けていると評価が下がってしまうので、すべてクリアできるようポイントを意識しましょう。

論理的思考力

論理的思考とは問題を分解・整理して結論を導き出す思考を指し、本質的な問題解決に必須です。ケース面接では、答えのない問題に対して論理的に考えられるかどうかが判断されます。ケース面接で重視される主なポイントは、以下が挙げられます。

  • ひとつの情報を多面的な視点で解釈できる
  • 解答までの過程に論理の破綻がない
  • 出題に対して適切に解答している
  • 前提条件と矛盾なく解答できている
  • 複数の情報を組み合わせて答えを導き出せる

論理的思考を身につけるためには、普段からの練習や意識づけが必要です。また、フェルミ推定を使いこなせると仕事や日常生活などさまざまな場面で役立つので、身につけておくことをおすすめします。

コミュニケーション能力

ケース面接ではグループでディスカッションをしたり、解答を面接官にわかりやすく伝えたりする必要があるためコミュニケーション能力が求められます。実際に仕事の現場でも、クライアントから本質的な問題を発見するためには信頼関係が必要であり、そのためには円滑なコミュニケーションが不可欠です。

コミュニケーション能力は、さまざまな心がけによって身につけられる能力です。将来的にチームやクライアントから一緒に働きたいと思ってもらえる人物を目指し、コミュニケーション能力を身につけましょう。

修正力

ケース面接では算出した数値が誤っていることもあり、その場合は修正力も求められます。例えば、予想していた数値をはるかに超えてしまい、理屈に矛盾が生じることがあるでしょう。

ケース面接では面接官とのディスカッションがあるため、解答の矛盾点を指摘される可能性があります。その際、素直に指摘内容を受け入れて、修正に活かせるかどうかも評価のポイントです。

まとめ

日本のコンサルティングファームや外資系企業では、フェルミ推定を使ったケース面接が行われます。フェルミ推定とは、調査が難しい数値に対して、一般的なデータや公式などを用いて論理的に概算することです。

フェルミ推定の解き方やポイント、覚えておきたい数値を理解してケース面接に備えましょう。コンサルティングファームや外資系企業を目指している学生は、ぜひ本記事を参考にしてください。

著者

ATLAS

未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト「ATLAS」の編集チーム。

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