【3分でわかる】住友不動産 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

企業説明

住友不動産の会社概要・活動内容

三井、三菱に続く3番手。住友不動産にはそんなイメージを持つ人もいるだろう。だが、この3番手を勝ち取るための苦難の歴史があったと知ったら、少しイメージが変わるかもしれない。1949年の財閥解体に際して三井不動産は日本橋、三菱地所は丸の内という東京の一等地を保有することに成功した。だが、住友不動産が保有できたのは大阪のビル3棟のみ。その時点では東京に土地を持たない弱小デベロッパーだったのだ。ゼロから始めて70年、建てるものを問わない独立した部門として存在する用地仕入れ部隊を設け、都心に挑み続けてきた。東京に徹底してこだわり続け、今では東京23区に230棟以上の建物を有し、業界3位にまで登り詰めた。名門と目されがちな旧財閥系のイメージとは一線を画す、ハングリーな同社の詳細を見ていきたい。

事業領域(ビジネスモデル)は主に下記4つのセグメントに分けることができる。

1.不動産賃貸事業— 関連事業(賃貸マンション、ホテル、イベントホール等)
売上高の45%、営業利益の70%以上を占める事業の柱となるセグメント。中でも六本木や新宿、渋谷など都心のオフィスビルがポートフォリオの中心を占めている。その他ではホテルの「ヴィラフォンテーヌ」、イベントホール・貸会議室の「ベルサール」などもブランドとして定着している。

・オフィスビル
新宿住友ビル、住友不動産六本木グランドタワー、ABEMAタワーなど。駅のランドマークになるような高層タワーを多数開発・運営している。コロナを経てなお、都心の好立地にあるオフィスビルの需要は堅調に推移している。

・その他
ビジネスホテル「ヴィラフォンテーヌ」、イベントホール・貸会議室「ベルサール」はブランドとして定着。商業施設は少ないが、同社最大規模の複合施設開発となった「有明ガーデン」や「羽田エアポートガーデン」は注目プロジェクト。

2.不動産販売事業 — 分譲マンション
売上高の25%を占めるセグメント。メインブランドは「シティテラス」「シティハウス」など。2014年~2019年までマンション供給戸数全ディベロッパー中1位を記録。

3.完成工事 — 「注文住宅」「リフォーム」
売上高の21%を占めるセグメント。総合ディベロッパーの中では完成工事事業がポートフォリオの約4分の1を占めるのは珍しい。リフォームサービスの「新築そっくりさん」は戸建て・マンションとも業界No.1を達成している。

4.不動産流通事業 — 住友不動産販売株式会社
売上高の8%を占めるセグメント。1979年に住友不動産販売により中古住宅流通事業に参入、全国で256店舗展開している。

住友不動産が東京で意欲的に土地取得を始めたのは1970年代。中興の祖と呼ばれた当時の社長、安藤太郎氏が舵を取った。現在の中核事業であるビルの賃貸部門を創設し、都心の土地を積極的に取得。「三井や三菱の上にいくには」どうすれば良いかを考え、その2社がやっていないことへ積極的に挑戦してきた。名物社長亡き後も住友不動産の挑戦は続いている。

住友不動産の特徴や価値観

事業ポートフォリオの構成からも分かる通り、住友不動産の収益源はオフィスビルの賃貸にある。分譲マンションや完成工事で業界1位のサービスを持つものの、利益でいうとオフィスビル賃貸が突出している。バランス良く事業が分散している三井不動産や、アウトレットなどの看板商業施設を持つ三菱地所と比較しても、オフィスビル賃貸への一極集中が際立つ。一見するとリスクヘッジが効かなさそうだが、実はコロナ禍の影響を最も受けなかったデベロッパーの1つが住友不動産だ。逆に多角展開している会社のほうが商業施設等のマイナス影響を受け、大きな下方修正が発生した。同社は今後も都心のオフィスビル開発・管理に注力し続ける方針を発表している。都心とオフィスビルへのこだわりから同社の特徴をひも解いていきたい。

土地を創る力
ビル開発を推進する上で最も重要なのが用地の取得だ。特に東京都心の土地は希少。大がかりな区域を取得することは非常に困難なため、細分化された土地を買い纏めたり、地権者の権利関係を調整して土地を創り出すことが必要になる。この小さな「土地を創る力」が住友不動産の強みであり、企業価値創出の源泉となっている。建てるものを問わない独立した用地仕入部隊を持ち、土地の取得を最優先する珍しい組織体制を取っている。また、同社の場合は資産売却をほとんど行わず、自ら創り出したビルを長期にわたって保有賃貸していることも特筆すべきだろう。一時的なキャッシュに執着せず、都心という底堅い需要のある土地を持ち続け、そこでのオフィスビル賃貸を安定した収益基盤にするという強い企業姿勢を読み取ることができる。

都心のオフィスビルが持つ意味
都心にオフィスを持つということは、企業にとって働く場所を確保する以上の意味がある。コロナでリモートワークという選択肢が出来たからこそ、どこに、なぜ、オフィスを持つのかが問われている。そのような新しい時代の要請へ如何に答えるかが、デベロッパーの姿勢や視座を表すだろう。「三角広場」の事例から住友不動産の特徴を探ってみたい。

「三角広場」は住友不動産のフラッグシップである新宿住友ビルのリニューアルから生まれた。三角の空地に屋根をかけ、全天候型のイベント会場として生まれ変わらせたものだ。実はこのプロジェクトには20年越しの時間がかかっている。きっかけとなったのは東日本大震災。それまで様々な規制によって実現できなかったリニューアルが、ビルの防災順応力を高めるという方向性から進められることになったのだ。「三角広場」はスポーツやフードなどの様々なイベント会場になるだけでなく、災害時には約3,000名を収容できる避難所にもなった。これらの取組みが評価された「三角広場」プロジェクトは、グローバルな団体である高層ビル・都市居住協議会による日本初のリノベーション部門優秀賞を2021年度に受賞している。

ここで注目したいのは防災という観点から突破口が開き、屋根をかけるという唯一無二のアイディアが生まれたこと。長期計画に基づく形ではなく、臨機応変に大規模プロジェクトが進められたことだ。三井不動産や三菱地所とはある意味で対照的とも言える。長期の開発計画を複数担当者が入れ替わりで進め、一致団結して同じ方向を向くことを重視する前2社と比べて、住友不動産は担当者個人の考えや仕事の仕方が尊重されると言われている。前任者の想いを踏襲するよりも「他にもっと良い方法はないか」と考える姿勢が求められる。そう言うと聞こえは良いかもしれないが、裏を返せば個の力が問われる厳しい環境でもある。だが、同社の一番の特徴と強みは厳しくたくましい仕事環境と、そこで成長した人材にあるかもしれない。

住友不動産の最近の動向

有明開発プロジェクト
「有明ガーデン」は住友不動産史上最大の複合開発プロジェクトだ。2020年3月に竣工した 「有明ガーデン」の開発は、2010年に破格の値段で有明の土地を取得した時から始まった。当時は東京オリンピックの開催が決まる前、多くの会社にとって有明は東京の郊外と見なされていた。タワーマンションを有明に竣工予定だった同社は、マンション需要のための再開発を予定していたはずだが、結果的には非常に幸運なことに東京オリンピックが決まり、何もせずとも有明の地価は急上昇した。無観客となってしまったため予想より客入りは少なかったものの、「有明ガーデン」もまずまずの稼働から始まった。だがオリンピックが終わった今、有明が真の意味で価値のある街であり続けられるかが問われている。2022年度には住友不動産が主導して、周辺施設と提携した地域活性化プロジェクトの運営や、「有明ガーデン」の出店者や従業員を巻き込んだ町おこしイベントが行われている。今のところは他の大手デベロッパーが培ってきた知見をなぞっているような取組みに見える向きもある。住友不動産はオフィスビルに注力してきた分、街ぐるみの再開発に関しては後発。今後、有明という街にどのような自社らしさを見出し、付加し、挑戦していくのかに注目が集まる。

ムンバイでのオフィスビル建設
大手デベロッパー各社がこぞって海外に注力する中、住友不動産は東京都に今後も注力するとしている。海外への投資にそれほど積極的には見えない同社であるが、例外的に目立っているのがインド、ムンバイへの進出だ。インドでの開発に約5000億円を投資し、12,486m2(約3,780坪)もの広大な土地を取得。100%出資の現地子会社を設立し、2027年度までにオフィスビルの建設を目指している。建設後は日本と同様、テナント誘致や管理まで一貫して自社で行う。デベロッパーの海外進出は現地デベロッパーを買収したり、アライアンスを組むパートナー企業を探し出すところから始まるのが定石。それをせず、完全に自力で開拓に挑むところに他社と異なる強い独自性がある。同社の海外進出の足がかりとなることが出来るか、その試金石となるプロジェクトだ。

住友不動産での働き方・キャリア

住友不動産の総合職は、全社員5,800名程度のうちわずか600名程。総合職の大半が新卒で採用されているが、年間の採用人数は20名程度と、他の大手デベロッパーと比べても少ない。新卒の総合職を明確に際立たせ、「経営幹部候補」として優遇し会社の制度や文化を牽引させる一方、営業職や技術職の人的リソースが必要な部分は中途採用で補充するという方針を貫いている。非常に分かりやすい人材戦略を取っていると言えるだろう。そんな同社のキャリアと働き方の特徴をより具体的に見てみたい。

キャリア
結論から言うと、新卒で入ったとしてもキャリアは人によって大きく異なる。10年で3部署をジョブローテーションすると決まっている三井不動産や三菱地所に比べて、1部署に長くいることもできる。定期的なジョブローテーションや希望のヒアリングというものはなく、入社後の適性とアピールによってスペシャリストなのか、異動を重ねてジェネラリストになっていくのかが決まる。また、新卒社員の場合は早めにポストに就かせる方針があり、30代の社員の9割が何らかのポストに就任している。同社が新卒総合職に求めるものは「過去や常識を疑う独自の発想」「失敗を恐れず成し遂げる信念」「経営幹部として会社を引っ張る気概」の3つ。先述したとおり、チームや組織というよりは「個の力」が重視されるところに特徴がある。

働き方
ここまで記載してきた特徴からも分かる通り、住友不動産には強い成長欲求と仕事に没頭する気持ちのある人間が向いている。若いうちから大きな責任と裁量を持って働くことが出来る一方、マニュアルや育成制度のようなものは希薄な傾向がある。手厚い指導のもとで育てられるというよりは、現場でのOJTを通して自ら学び取る環境だと言えるだろう。もっとも、そのような厳しい環境の中で成果に執着できる人間には相当の待遇が与えられる。平均の給与水準は1,200万円を超え、大手デベロッパーの中でも高水準だ。また、給与に関しては年功序列で決まるというよりもハイパフォーマンスを出したメンバーに対して、ハイリターンとなる制度が採用されている。万人にとって働きやすい職場とは言えないかもしれないが、合う人にはとことん合う個性の強い環境だ。

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企業情報

企業名 住友不動産
設立日 1949年12月1日
従業員数 13,676名(2020年3月31日現在・連結)