SOHO - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

SOHOはスモール・オフィス・ホーム・オフィスの略称で、小さな事業を営むビジネス形態のことである。企業を退職して個人事業主になった人が小さな事務所を借りて仕事をしたり、自宅を事務所代わりにしてフリーランスとして働いたりすることをSOHOと呼ぶ。

ただSOHOに明確な定義があるわけではない。例えば、2人の個人事業主が協力して事務所を借り、そこで共同で事業を営んだ場合、SOHOともいえるし、起業準備ともいえる。したがってSOHOは、小さなビジネスを営んでいる人、またはそのようなビジネス・スタイル、とだけ理解したほうがよい。

SOHOがビジネス・スタイルとして確立した背景にはインターネットとITの拡充がある。インターネットとITは、1人または少人数で完結する仕事を増やした。さらに、インターネット・ビジネスとITビジネスは、少額投資で始められるという特徴もある。例えば、インターネット通販事業を始める場合、初期投資は数万円で済む。さらにインターネットは、遠隔地どうしのデータと情報のやり取りを可能にするので、仕事をする場所を限定しない。そのため、小さな事務所でも自宅でも、気軽にフリーランスとして活躍できるようになった。

SOHOは起業を促す契機にもなった。ビジネスには「小さく始めて大きく育てる」という格言があるが、SOHOは小さく始めるのに適した形である。投資額が小さいSOHOなら起業リスクを小さくできるので、起業家マインドを持った人の挑戦に適している。アップルの創業者のスティーブ・ジョブズとアマゾン創業者のジェフ・ベゾスが、いずれも自宅のガレージから世界的な企業をつくったことは偶然ではない。このような成功秘話もSOHOのイメージをよくして、独立志向が強い人や起業家の背中を押す。

新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅や社外のレンタル・オフィスで仕事をするテレワークが普及したが、これはSOHOの考え方に近い。テレワークは企業の従業員が行うことを前提にしているので、独立を前提としているSOHOとは根本的に異なるが、ただSOHOのビジネス環境はテレワークにそのまま使うことができる。例えば、インターネット環境が整ったレンタル・オフィスには、SOHOの人もテレワークの人もいる。

「身の丈SOHO」という言葉がある。これは起業や事業の拡大を望んでいないフリーランスなどのことである。身の丈SOHOは、例えば、会社に縛られない働き方を求めて独立したものの、生活費や趣味のお金を稼げればよいと考え、大きな収入増を追求せず労働時間も極力抑制する。ただSOHOにはイメージが先行している面もある。例えば、仕事のスキルが足らずに退職を余儀なくされ、再就職ができていない場合、「求職中」と呼ぶことも「SOHO」と名乗ることもできる。