再生可能エネルギー - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

再生可能エネルギーは、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」で、非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものと定義されている(同法第2条第3項)。

再生可能エネルギーの具体的な種類は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」で1)太陽光、2)風力、3)水力、4)地熱、5)バイオマス、6)その他と定められている(同法第2条第4項)。

石油や天然ガスなどの化石資源に乏しい日本では、国内で生産できる再生可能エネルギーは安全保障上重要な意味を持ち、その開発と利活用は国策になっている。例えば、内閣官房には、内閣官房長官が主宰する「再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」があり、内閣府には「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」がある。

日本政府は世界に向けて2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルという公約を発表している。その実現には再生可能エネルギーの拡充が欠かせない。

同タスクフォースは、再生可能エネルギーを主力電源にするための障壁となる規制を総点検している。ここでは

  • バイオマス発電の拡大に向けた廃棄物やリサイクルの在り方
  • 洋上風力発電の主力電源化
  • 大規模山林開発を伴うメガソーラおよび風力発電の課題
  • 地域に根差した再生可能エネルギーの導入
  • 住宅・建築物における省エネ対策の在り方
  • 地熱発電の導入に向けた自然公園法、温泉法の在り方

など、多岐にわたるテーマを取り扱っている。

再生可能エネルギーは理想のエネルギー源と考えられているが、課題も多い。最も困難とされているのが、コストの壁の克服だ。例えば太陽光発電には、太陽光パネルを置く広大な土地が必要である。火力発電所は、太陽光発電所の半分の広さで、太陽光発電所の1,300倍発電することができる。家庭用の太陽光発電が普及すると、家庭で使い切れない分の電気を電力会社に売ることになるが、その配電線網を新設しなければならない。そして天候によって発電量が大きく変動する太陽光発電や風力発電が増えると、電気が足りなくなったときに補う仕組みが必要になりこれもコストを押し上げる。しかし新しいエネルギー・インフラを構築するときにコストがかかることは当然のことであり、再生可能エネルギーの利活用が進む欧州ではコスト削減に成功している。

再生可能エネルギーの議論は新しいステージに突入しており、それは水素の利用である。化石燃料と再生可能エネルギーは、そのまま地球から取り出すことができるが、水素は他のエネルギーを使ってつくり出さなければならない。それでも水素には大きなメリットが3つあり、それは1)貯めておけること、2)燃やしても水になるだけ(二酸化炭素を排出しない)、3)原料が水であることだ。日本は幸運なことに、水は安価でほぼ無限に手に入る。再生可能エネルギーは天候によって生産量が左右されるが、生産量が高いときに水素をつくっておけば、実質的に再生可能エネルギーを貯えたことになる。また、水素の原料はほぼ無限に存在ししかも安価なので、やはり原料費が無料である再生可能エネルギーで水素をつくれば、将来的には低コストで二酸化炭素を排出しないエネルギーを確保できる。水素は輸送や保管が課題になるが、それを克服できれば、再生可能エネルギーと組み合わせることでエネルギー問題の解決は大きく前進すると期待されている。