ケース面接 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

ケース面接は、調査対象となる人の論理的思考や問題解決能力を確認する手法で、企業の採用面接で使われることがある。

採用面接の担当者は求職者に、通常の思考方法では回答できない問題を出す。考える時間が与えられたあと、求職者は、その答えとその答えに至った経緯を面接担当者に伝える。面接担当者は、出した答えの正確性に加えて、どのように考えたのかや、どのような仮説を立てたのかを重視する。

ケース面接では例えば「月間平均売上高100万円、20席のカフェがあり、この売り上げを3倍にするにはどうしたらよいか」といった問題が出される。模範回答は、問題を整理し、戦略を立てて、シミュレーションをして、「3倍になった」と締めくくる。前提条件は1)月間平均売上高100万円、2)20席、3)カフェ事業、しかないので、回答者(面接を受けている求職者)は自身でその他の状況を仮定する必要がある。例えば自分で、4)30日の月は25.7日営業(週1休)とする、5)平均客単価500円とする、6)1日の回転数は4回とする、といったように仮定する。これで月間平均売上高は1,028,000円になる。計算式は以下のとおり。

●月間平均売上高=月25.7日×平均客単価500円×20席×4回転/日=1,028,000円

ここまでが問題の整理になるが、このとき自分で立てた仮定が合理的でなければならない。カフェであれば週1休でも珍しくないし、客単価500円はコーヒー1杯分+アルファの価格であり、1日に満席なる回数を4回にすることはそれほど難しくはない――したがってこの仮定は合理的である、と主張できる。

次に売上高を4倍にする戦略を立てる。

  • 正社員を雇えば、無休で営業することができる→30日の月なら営業日を4.3日増やすことができる
  • パティシエの友人からおいしいケーキを購入してカフェで提供する→平均客単価を500円増額して1,000円にする
  • 座席数を増やすことはできない→売上高の押し上げ効果なし
  • 開店時間を早め、閉店時間を遅くする→1日の回転数を3回増やして7回にする

これを実現すると、月間平均売上高は4,200,000円になる。計算式は以下のとおり。

●月間平均売上高=月(25.7+4.3)日×平均客単価(500+500)円×20席×(4+3)回転/日=4,200,000円

ここまでの計算はそれほど難しくない。ケース面接で問われるのは、最後に行うシミュレーションである。

この戦略で難易度が高いのは、客単価を1,000円にすることと、1日回転数を7回にすることだ。面接担当者は「おいしいケーキを提供しただけで客単価が倍になるのか」「営業時間を伸ばしただけで1日回転数が3回も増えるのか」という疑問を持つはずだ。回答者はこの疑問を合理的に解消するシミュレーションを実行しなければならない。

ケース面接は、志望動機や入社後にやりたい仕事などを尋ねる通常の面接とはかなり異なる。コンサルティング・ファームや外資系金融機関などでケース面接を課すことがある。

また、新卒者を対象とした面接より、中途採用の面接で使われることが多い傾向にある。

ケース面接は、高度な論理的思考や高い問題解決能力を持つ即戦力を採用したいときに有効だが、それ以外の一般の人材を採用するときにこれを使ってしまうと、むしろ採用担当者が知りたい情報が得られなくなってしまうかもしれない。なぜなら、ケース面接で出題される問題は特殊なので、一般的なビジネスシーンでは滅多に起きないからだ。

ケース面接はグーグルが行ったことで一躍有名になったが、このことはつまり、グーグルが求める人材とは異なる人材を求める企業には、ケース面接は有効ではないかもしれない、ということである。通常の面接で求職者のスキルや人柄を探ることができるのであれば、わざわざケース面接を行う必要はないかもしれない。