トレードオフ - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

トレードオフとは、何かを得るときに何かを犠牲にしなければならない関係のこと。ビジネスではトレードオフが頻繁に発生するので、決断が重要になってくる。

例えば、在庫と販売はトレードオフの関係にある。企業は、売上高を増やしたいので商品の販売個数を増やそうとするが、コスト増になるので商品の在庫個数を減らしたいと考える。しかし、在庫個数を多く持っていないと、たくさんの顧客が現れたときにすぐに商品を販売することができない。ところが在庫個数が増えすぎると、保管コストが膨れあがるだけでなく、手持ちの商品が陳腐化したり、在庫商品を廃棄したりしなければならない。

従業員の人数と人件費もトレードオフの関係にある。企業の売上高は「従業員1人当たりの売上高×従業員人数」で算出されるので、企業規模を拡大するには従業員を増やす必要がある。その一方で経営者は、固定費を減らしたいと考えるので人件費を削ろうとする。事業を拡大するには人手が必要であり、生産性を高めるには高い業務スキルを持った人材が欠かせない。しかし従業員が増えすぎると人件費が高騰するだけでなく、無意味な社内派閥が発生したり、年功序列的な社員ピラミッドができてしまったり、余剰人員が生まれたりしてしまう。

重要案件でトレードオフが発生した場合、経営者や組織のリーダーなどはどちらかを選ばなければならない。そしてその決断は画一的になることはない。

例えば、長年の開発の末に販売にこぎつけた社運をかけた商品があるときや、利益を度外視して市場のシェアを取りにいかなければならないときは、攻めの経営が必要なるため、在庫量を増やし多くの人材を雇用する必要がある。この場合、在庫コストや人件費が膨らむことには目をつむらなければならない。そうではなく、景気が低迷して業界全体が落ち込み、そのあおりを受けて資金繰りが苦しくなっている企業は、生き残りをかけて在庫を一掃したり人員整理をしたりしなければならないこともある。

経営者がトレードオフに陥ると、AかBか、白か黒かの決断を迫られることになり、その結果、選択しなかったほうを犠牲にすることになる。犠牲は多くの損失を生むので、経営者はトレードオフの関係を起こさないようにしたほうがよい。

例えば、ITを駆使した生産システムや流通システムを構築すれば、商品の在庫個数が少なくても、市場の需要に常に応えられる態勢を整えることができる。また、ハイパフォーマー人材を育成したり、人材や業務のアウトソーシングを利用したりすることで、高額人件費に耐えうる経営体力を身につけたり、柔軟性のある人材活用が可能になる。

このようにトレードオフを予防する取り組みは、ビジネスの仕方を変えたり、新しいビジネスを生んだりする原動力になりうる。