DR (Demand Response)とは、電気の需要と供給のバランスにおいて、需要側の使用抑制を促し、ピーク時の電力消費を抑えることで、電力が安定的に供給できる仕組みのことを指す。
従来は電気は生産と消費が同時に行われ、基本的に貯めることができず、変動している電力消費量に合わせて供給する電力量を常に一致させなければならなかった。そのためには、短期間のピーク時用の「ほとんど利用されない設備」が必要となっていた。これに対して、供給量に需要量をあわせるのがデマンドレスポンスである。つまり、市場からの電力需要がピークに達したときに、需要側の電気使用量を制御することを意味する。デマンドレスポンスが導入されることで、電力の需要と供給のバランスを取り、電力の無駄を省き、電力システムの安定化を実現できる。
デマンドレスポンスは、電力消費を抑える「下げDR」、電力消費を増やす「上げDR」、電力消費を増減させる「上げ下げDR」の3種類がある。
【下げDRとは】
DR発動により電力の需要量を減らすことである。たとえば、電力のピーク需要のタイミングで需要機器の出力量を落とし、需要と供給のバランスを取る。※事前の契約に基づいて行うものは、ネガワット取引とも呼ばれる。
【上げDRとは】
DR発動により電力の需要量を増やすこと。たとえば、再生可能エネルギーで過剰出力した分を需要機器を稼働することで消費したり、蓄電池を充電することにより吸収したりする。
【上げ下げDRとは】
DR発動により電力の需要量を小刻みに増やしたり減らしたりすること。送電線に流れる電気量を微調整することによって、電気の品質を一定に保つ。
デマンドレスポンスの型式には、おもに以下の2つがある。
- 電気料金型デマンドレスポンス
電力消費のピークに合わせて電気料金を値上げすることによって、電気需要を抑制する仕組み。実施するのが容易であり大多数に適用ができるが、効果の確実性が低いという面がある。 - インセンティブ型デマンドレスポンス
電力会社との間であらかじめピーク時に節電する契約を結んだ上で、電力会社からの依頼に応じて節電した場合に対価を得る仕組み。契約によるため効果が確実であるが、契約の手間がかかり、小口需要家への適用が困難という面もある。
今後日本では、電力消費者の利便性と電力網の安定性を損なわないような自動的なデマンドレスポンスを実現させる仕組み作りが求められている。