パリ協定 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開かれた第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された、温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みである。

パリ協定の概要は以下のとおりだ。

<パリ協定の概要>

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとる
  • 主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新する
  • すべての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告しレビューを受ける
  • イノベーションの重要性の確認
  • 5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み「グローバル・ストックテイク」を設定
  • 先進国による資金の提供と、途上国の自主的な資金提供
  • 2国間クレジット制度(JCM)を含めた市場メカニズムの活用

パリ協定が画期的といわれている理由は2つある。

1つはすべての国に温室効果ガスの排出削減を求めていることだ。1997年のCOP3で採択された京都議定書では、先進国にのみ排出量削減の法的義務を課していた。しかしCOP3の1997年からCOP21の2015年にかけて、途上国や新興国のなかでも経済発展を遂げた国が増え、それに伴って温室効果ガスの排出量も増えている。IEA(国際エネルギー機関)のCO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION2016によると、世界の排出量シェアは次のようになっている。

1位中国23.2%、2位アメリカ13.6%、3位EU10.0%、4位インド5.1%、5位ロシア5.1%、6位インドネシア3.8%、7位ブラジル3.2%、8位日本2.7%、9位コンゴ民主共和国2.3%、10位カナダ1.5%(この時点のEUにはイギリスも含まれている)

トップ10のなかには、新興国と途上国も多く含まれていることがわかるだろう。

パリ協定が画期的である2つ目の理由は、各国に自主的な取り組みを求めた点である。京都議定書は、排出削減目標をトップダウンの形で先進国に求めていた。それに対しパリ協定は、すべての国にボトムアップで排出削減を目指すよう求めた。このボトムアップの手法は日本が提唱した。

パリ協定ではさらに、先進国が途上国に資金支援するだけでなく、途上国にも自主的な資金提供を奨励した。ボトムアップと合わせて、各国間の公平性が高まったとされている。

しかし、パリ協定には課題もある。アメリカは2017年にトランプ大統領がパリ協定からの脱退を表明し、その後2021年にバイデン政権が発足して復帰するという、ドタバタ劇を演じている。環境問題に取り組むと、一時的、もしくは長期的に経済発展が犠牲になることから、アメリカの迷走は、環境問題への取り組みがときの政府の姿勢によって簡単に棚上げされることを露呈した。パリ協定では、日本の2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減する目標も定められた。