京都議定書 - ATLAS(アトラス)〜未来をつくるリーダーへの就活キャリアサイト〜

京都議定書は、気候変動について話し合う国際機関、COP-FCCCが1997年に、京都で開催した第3回会合(COP3)で採択した議定書だ。世界が交わした初めての環境に関する約束と言われている。

COPはConference of the Partiesの略語で、締約国会議という意味。COPは国際条約の最高決定機関になる。

COP-FCCCは気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change、FCCC、以下、気候変動枠組条約)のCOPである。COPにはいくつか種類があるが、最も有名なのがCOP-FCCCで、ニュースでCOPといえば大抵はCOP-FCCCを指す。以下、COPとはCOP-FCCCのことである。

気候変動枠組条約は1992年に採択され、1994年に発効された。最初のCOPは1995年、ドイツ・ベルリンで開催され、これがCOP1になる。COP2は1996年にスイス・ジュネーブで開かれ、このなかで「議定書をつくってそれに法的拘束力を持たせる」ことを決めた。ただCOP2では肝心の議定書の内容は定めてなく、したがって次のCOP3で議定書を定めて採択しなければならなかった。これによりCOP3とこれからつくる京都議定書が重要な意味を持つことになった。

COP3は1997年12月に京都市内にある国立京都国際会館で開催された。京都議定書を締結、または署名した国や地域は192に及び、この国や地域の多さでも、京都議定書の重要性がわかる。

京都議定書の主な内容は次のようになっている。

<京都議定書の主な内容>

  • 先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定する
  • 数値目標対象ガス:二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、HFC、PFC、SF6
  • 吸収源:森林等の吸収源による温室効果ガス吸収量を算入
  • 基準年:1990年 (HFC、PFC、SF6 は、1995年としてもよい)
  • 目標期間:2008年から2012年
  • 目標:日本6%削減、米国7%削減、EU8%削減など:先進国全体で少なくとも5%削減を目指す
  • 途上国に対しては、数値目標などの新たな義務は導入しない
  • 国際的に協調して、目標を達成するための仕組みを導入する。具体的には、排出量取引、クリーン開発メカニズム、共同実施など。

京都議定書のなかでは、京都メカニズムも定められた。温室効果ガスの排出を減らしたり、温室効果ガスの吸収を増やしたりした国が、その成果(排出削減単位)を他国に移転することを認めた。排出削減目標を上回った国は、上回った分を排出枠として他国に販売することができ、逆に、排出削減目標を下回った国は、多国から排出枠を購入して目標を達成することができる。

温室効果ガスを減らすことが経済的な利益を生み、温室効果ガスを排出することが経済的な損失を生む。京都メカニズムは、経済効果を導入した点が画期的と評価された。COPは2021年現在、同年10月にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26が最新となっている。